少年の声を聞く姫君

「俺の父ちゃんを知りませんか!!」


街中にいる人達に向け、そう叫ぶ少年。


その少年の服装がボロボロだったからか、それとも、ゴート商会に逆らいたくないのか.....誰もその声に反応しなかった。


......思った以上にここの闇は深そうですね。


そう思いながら、私は少年の元に近づくと


「どうかしたのですか?」


少年に対し、そう声をかけた。


「る、ルルー様!?」


少年に声をかけた私に対し、驚いたように声を上げるデイジーさん。


......そんなに驚くことなのでしょうか?


「.......お姉さん誰?」


声をかけてきた私に向けて、そう言う少年。


「私はルルー。ワケあってここの鉱山に来た者です」


私がそう言うと、少年は目を見開き.......こう叫んだ。


「じゃあ、お姉さんも父ちゃんみたいな人を探しに来たの!?」


父ちゃんみたいな人。


その言葉が気になった私は、少年に対してこう尋ねた。


「....あなたのお父様に何かあったのですか?」


私がそう言うと、少年はコクリと頷いた。


一方、そんな少年を見たデイジーさんはゴート商会の目を警戒したのか


「ルルー様、とりあえず話は人目の無いところで聞きましょう」


と言った。


「えぇ、そうですね」


私はデイジーさんに対してそう言った後、少年を連れて路地裏へと入って行き....そこで話を聞くことにした。


「それで....どうしてあなたはここに?」


私がそう聞くと......少年はシャツをギュッと握った後、ポロポロと涙を流しながら、こう語った。


「出稼ぎに行った父ちゃんが.....帰ってこないんだ」


少年は私達に向けて、泣きながらそう言った後、こうも言った。


「父ちゃんだけじゃない。マシューおじさんもトーマスお兄ちゃんも、みんな帰ってこないんだ。だから、だから....」


少年のその言葉を聞いた私は、ギュッと唇を噛むと......少年に向けて、こう言った。


「大丈夫、私達があなたのお父さんを見つけてみせますわ」


私がそう言った瞬間、少年は涙を服の袖で拭くと


「.....本当に?」


私に向けて、そう尋ねた。


「もちろんですわ」


少年に対し、ニッコリと笑いながらそう言う私。


それを聞いたデイジーさんはため息を吐くと


「全く....人助けも程々にしてください」


呆れた様子でそう言った。


しかし、そんな私達の会話を聞いていたのか.....


「余計なことには首を突っ込むなって親から言われなかったのか?」


どこからか、怪しげな男達が現れるのでした。


「それに.......ここにはお前の父親は居ない。だから帰」

「帰らない!!俺は父ちゃんを見つけるまで帰らないんだ!!」


リーダー格らしき男の言葉に対し、そう叫ぶ少年。


余計なことに首を突っ込むな......ですか。


「あなた達.......ひょっとしなくてもゴート商会の関係者ですよね」


私がそう言うと、ピクリと反応する男達。


.....やはり、そうだったのですね。


「デイジーさん、彼らは私が片付けます。ですから.....この子のこと、お願いします」


そう言った後、剣を取り出す私。


「......分かりました」


デイジーさんはそう言うと、少年を守るような態勢になった。


......さてと


「詳しい話、聞かせてもらいましょうか」

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ヴァルキュリアクエスト〜魔王に攫われた姫ですが、今は魔王軍の幹部をしています〜 @marumarumarumori

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