鉱山に行く姫君

ヴァニア鉱山は、パヴァロア王国の西の辺りにある鉱山で.......数百年前、オーガからその所有権を奪ってからというもの、採掘されたオリハルコンは、パヴァロア王国名義で世界中に流通していました。


.......その影で、オーガ達の命が失われたことを隠しながら。


だから


「傲慢かもしれませんが、私はそれが許せなかったんです」


パヴァロア王国内のヴァニア鉱山の近くにて、デイジーさんに向け、そう言う私。


そんな私に対し、デイジーさんは


「.......あなたらしいですね」


と、呆れながらそう言った後、続け様にこう言った。


「でも......傲慢さがあった方が、四天王らしくて良いと思いますよ」


そう言うデイジーさんの顔は、少しだけ微笑んでいて、それを見た私がホッとしたのは、言うまでもない。


「しかし.......鉱山のお膝元なだけに、発展してますね」


鉱山の近くにある街を見ながら、そう言うデイジーさん。


発展......ねぇ。


「まぁ、この街はゴート商会の息がかかった場所なので、発展してもおかしくはないでしょうね」

「ゴート商会?」


聞き慣れない言葉に対し、そう呟くデイジーさん。


「大きな商会の一つで、パヴァロア王国では、一つの街や村に支店が必ずと言っていいほどにあるんです」

「へぇ!!そうなんですか!!」


私の言葉を聞き、そう言うデイジーさん。


「ただ.....私個人としては、ゴート商会には良い印象がないんですよね」

「え?どうしてですか?」


案の定、わたしの話に食いついて来たデイジーさんに対し、私は、ため息を吐いた後、こう言った。


「ゴート商会は、利益を得るためならどんな手段も選ばない奴らなんです。それに、そのお金を王族に献上して、良からぬ関係を築いている節があるので、嫌いなんです」


あの人達は、悪どい手で利益を出しているにも関わらず、お父様と良からぬ関係を築いているから、余計に嫌というか、何というか。


「つまり.....ヴァニア鉱山を攻めるということは、ゴート商会を敵に回す。ということですね?」


デイジーさんがそう言うと、コクリと頷く私。


「王族に良からぬ方法で集めた金を献上。ゴート商会は王族の権威のおかげで捕まることはなく、逆に王族はゴート商会のおかげで臨時報酬を受け取ることが出来る......なるほど、よく出来た仕組みですね」

「そんな仕組みを思い付く暇があるのなら、内政に力を入れたら良いのに.....」


デイジーさんの言葉を聞きながら、やれやれという様子でそう呟く私。


.....お父様は、そういう意味では暗君ですね。


そう思っていたら


「俺の父ちゃんを知りませんか!!」


どこからか、そんな声が聞こえるのでした。

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