第2話

それから、数日。

昼間彼女を見かけると、どうやら年上で先輩のようで、それなりに友達がいるようだった。

まるで、あの日の夜の姿なんて嘘のようにその姿は平凡に見えた。

まぁ、自分と比べたら特別なのだろう。

「ねぇ、見てあの子」

「本当おかしい」

あぁ、まただ。雑音が聞こえる。先が見えないくらい、視界が狭まって暗くなって、見えにくい視界が更に見えにくくなる。

本当は視力が悪いのにメガネをかけないのも、後ろの席にいるのも何も感じたくないからだ。

そのうち、後ろから何やら紙ボールを投げられて、嫌な注目の的になりつつある自分に泣きたくなった。

視界が潤んだ時、誰かが手を取ったのが見えた。何かされる、そう身構えた。

「こっち」

すると、聞こえてきた声にハッと顔をあげるとあの日の彼女が手を引いてくれていた。

そのまま着いていけば着いた先は、無人の保健室。ベットまで連れて行かれて、仕切りのカーテンを閉められる。

そこで、ようやく彼女はこちらを向いてあの日と同じく、こちらを覗き込んだ。

「よかった〜、泣いてないね」

安心したような顔をして、頭を撫でて抱きしめてくれた。

その時に鼻腔に感じる彼女の匂いに酷く安心した。

「ごめんなさい‥」

小さな声でそれしか発せない自分が情けない。

それでも、彼女は先輩は笑わずに抱きしめてくれた。

本当に彼女が私の天使なのだとわかった。

だからこそ、離れないといけないとその瞬間感じた。

だって、私の中には醜い悪魔がいるのだから。

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暗い空の告白 ルイ @5862adr

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