施餓鬼の供食

『私は大喰郷に地主の招きで長兄と共に訪ねたのだが――』


 大喰郷はオオハミサマという土地神が祀られた土地で山の社の麓集落から離れている隣の集落であり、兄と私は大喰郷の地主で纏め役を務める大喰家宗家から相談を受けて大喰郷を訊ねた。

 大喰家の先祖で氏神であるオオハミサマの気配がなくなってしまったとの事でお呼ばれしたのだった。

 気配は無くとも土地が活性化した事で存在が何処かへあることが判明し、暫くして凶報が伝えられた。




 オオハミサマは土地に縛られた鬼である。

 人から蠱毒で鬼に変えられ、巫覡に人に戻され、また土地神として祀り上げられたのだ。

 

 子供を餓えさせるとオオハミサマは餓えた子供に降臨して全てを喰らってしまう。

 オオハミサマを土地に返すには全てを喰らわせるか嘗ての巫覡の様に、呪に捕らえウマシネを捧げる他ない。


 ウマシネは植わった幸であり、廻るモノである。





 私達兄妹はオオハミサマを鎮める為にウマシネを探し求めたのだった。

 




『いやもう本当に、あの時は大変で兄と私でそれぞれ役割分担をして切り抜けたよ――』

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怪談奇談 すいむ @springphantasm

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ