番外編
Terminal of Corpse Travelers (Marshalling Yardの後)
「……取り敢えずやるか」
低速で去っていった比良坂を見送り、鬼自身も中身の入った死体袋を担いで収容施設に向かっていった。見送った鬼は担いだ死体袋を収容場所まで持っていく、まず、ゴミ手前扱いの死体は死体袋を少し開けて最終確認したあと死体袋ごと燃料として炉に放り込んだ。
「あとはとりあえずヤバいのを収容するか」
鬼は残った死体袋を持って危険物の収容施設へ向かう。
「どうしましたか、轍さん……うぉ!?」
施設の奥の部屋から危険物の収容施設の職員がやってきた、そしてパンパンの死体袋を見てギョッとする。
「すまん、コレを宜しく頼む」
そう言って、職員にパンパンになってる例の死体を渡す。
比良坂から受け取ってから更に体積も怨念も膨らんでいた。
「うわぁ、これだけ凄いのは久しぶりですねぇ、わかりました」
職員は受け取り、死体袋から書類を剥がす。すると更に死体から怨念と霊力が吹き出した。職員は怯まずにそこに御札を貼りそれらを抑えつけて先程職員が出てきた部屋に戻る。出てきた部屋にはそして四方に縄を張って作られた空間があり、四隅には蝋燭と塩が置かれており中心付近には水盆などが置かれたその中心へそっと置いた。
「また凄い危険物でしたね。何に使おうかなぁ、どうしようもない傲慢な怨念と霊力が渦巻いてますね」
職員が楽しそうに言いながら鬼の下に戻る。そして袋から剥がした書類を見た。
「あ、この死体、霊峰のモノなんですね。どうやって手に入れたんです?」
職人は書類を見たあと不思議そうに鬼を見る。
鬼は小さい声でぼそぼそと話しだした。
「……比良坂が霊峰側と輸送物に関してのトラブル起こしてな、放置したら廃車寸前になりかけてた。結局霊峰側から対価を供出する形で手打ちになった」
上司に説明するの本当にやりたくなかったぞ、とげんなりとした顔でぼやいた。
「比良坂がですかぁ、彼大雑把ですもんね」
良くも悪くもと職員は言った、この職員は比良坂よりは格が上だったりする。
「大量輸送が出来て処理の手際も良いんだがな、この死体を持ってくるくらいには鈍感というか大雑把だな」
だから
「まぁ、彼は死体や霊魂には滅法強いですからねぇ、危機感を覚えにくいのでしょう。さっきのアレ割と洒落にならない死体なんですけどね。」
本当にこの死体、呪物そのものみたいな代物ですね、と職員は言った。
「呪物……なんだろう、何か忘れてる気がするな」
何だったかと思い出せず鬼は考え込む。
職員は鬼が黙って考え込むのを見て、とりあえず、確かにお預かりしました、と言って部屋に戻って縄の向こうに行く。
「では、宜しく頼むぞ」
鬼は職員にそう言って施設から外に出た。
そして残った微妙な死体は別途収容場所に運びとりあえずそれぞれしまい込んだ。
「コレで終わりか」
俺も明日書類書くか、と鬼は呟き休憩施設へと去った。
お読み頂きありがとうございます。
人間Sideの続編が『日の下に帰れども』https://kakuyomu.jp/works/16818093078668196163
として続いています。良ければ是非
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