第17話  修司、桔梗と共に戦う!

「何がおかしいんだよ、聖!」

「だって、何かと思ったら、そんなくだらないことだったなんて、拍子抜けしちゃったのよ」

「くだらなくない、僕はAV女優さんを否定はしない。だが、隠されるのは嫌だ。僕と婚約していた時も、他の男と付き合っていたことを隠していた。こんなに隠し事の多い女性なんて信用出来ない。信用出来なければ結婚も出来ないんだ!」

「隠してたわけじゃないわよ、言う程のことでもないと思っていたのよ」

「3本も出ていたのにか?」

「修司、調べるならちゃんと調べなさいよ、私、10本以上出てるわよ」

「なんでAVに出たんだ?」

「スカウトされたからよ、最初はお金が目当てではなく好奇心ね。でも、1本でたらめちゃくちゃ好評だったらしいのよ。ギャラも上がったし、好評だって言われたら、なんだか嬉しいじゃない。気付いたら10本以上出演してたの。でも、この数年は出てないわよ」

「なんだよ、『美熟女、童貞を奪う』、『美熟女と童貞3人』、『お姉さんが教えて上げる』って、どれだけ童貞が好きなんだよ!」

“修司さん、ツッコミ入れるの、そこじゃないです”

「あ、ああ、しかし、僕は納得出来ない」

「そんなこと、どうでもいいじゃない。過去の話なんだから。あなたは私と結婚すればいいのよ。ダメなら、100歩譲って種だけちょうだい。そろそろ子供を産まないと、年齢的にキツイから。だから早くしてほしいのよ」

「いやいや、僕は聖を抱かないよ」

「なんでよ! いいじゃない、種だけくれたら」

「これを見ろ!」


 修司はバサッと写真の束を広げた。


「聖は今も、この3人と付き合ってるじゃないか!」

「うん、付き合ってるわよ」

「え! じゃあ、この若い子は?」

「英太君? うん、大学生。若くてカワイイの。体の相性がいいから付き合ってる」

「じゃあ、この中年は?」

「啓司君? イケメンなの。啓司君には妻子がいるんだけどね。時々遊んでる」

「最後、この爺は?」

「治郎さん? 私、治郎さんの愛人もやっているのよ。何でも買ってくれるし、毎月お手当をくれるし」

「聖は、この3人と付き合ってることも隠してたじゃないか!」

「言う必要ある?」

「あるだろ! それでよく結婚したいって言えたな」

「別れたらいいの? だったらいつでも別れるけど。結婚してくれるなら。種を貰うだけだったら別れないけど」

「もう、呆れて何も言えないよ」

「ちょっと待ってよ、そこの桔梗さんと私、どっちが魅力的なの? どうして桔梗さんを選ぶのよ」

「だって、どう見ても桔梗さんの方が魅力的じゃないか、そんなこともわからないのか? 聖は自分のことをどう思ってるんだよ?」

「私はパーフェクトレディよ」

「聖さん、スリーサイズと身長は?」

「166センチ、90,63,88のFカップよ」

「私は169センチ、93,59,90のGカップだけど、何か文句ある?」

「ちっ、嫌な女ね」

「あなたの方が嫌な女でしょう? あなたは修司さんを苦しめ続けていたのよ」

「大丈夫よ、私と1回寝れば、それで解決することじゃない。修司のトラウマも吹き飛んで、私は種が貰える。一石二鳥じゃない」

「修司さんは、もう私のものなの。あなたは過去の女性なのよ。気付いてるんでしょ? 私は修司さんと結婚を約束してるから、あなたには貸せないわ。婚約者の種をあなたに渡せるわけがないでしょう?」

「私、あんたなんかに負けてると思ってないんだけど」

「どう思おうがあなたの勝手だけど、私達の視界からは消えてね」

「ムカつく……あんた、めちゃくちゃムカつくわね」

「でも、私は修司さんを傷つけないから。あなたと違って」

「私も今付き合ってる男達と別れてもいいって言ってるじゃない」

「遅いのよ。身辺を整理してから修司さんの所に来るべきだったのよ」

「だから、種だけよこせって言ってるのよ!」

「あなたに修司さんの優秀な遺伝子は勿体ないわ。幾ら修司さんの遺伝子が優秀でも、あなたの遺伝子が混ざったらぶち壊しよ。その点、私は△△大学(←難関校)卒だから、私と修司さんの遺伝子ならスゴイ子が出来ると思うわ」

「ああ、ムカつく、ムカつく、ムカつく! 私だって××大学(←お嬢様学校、偏差値は高くない)卒なのよ」

「お金持ちが行くだけの学校でしょ? 偏差値が全然違うから一緒にしないで」

「ああ、ムカつく! 女はねぇ、キレイでスタイルが良くて、男を喜ばせることが出来ればそれでいいの、それが“イイ女”なのよ。私、夜はスゴイのよ。伊達に年齢を重ねたわけじゃないの。男はみんな、私で満足するのよ。あなたに出来ないプレイだって、私には出来るんだからね!」

「私達は満足し合ってるから、それで充分。私達の間には、誰も入って来れないのよ。どうしてそれがわからないの? かわいそうに、真剣に恋愛出来る相手と出会えなかったのね」

「あなたにそんなことを言われたくないわよ!」

「私にはわかるの。私も真剣に好きになれる男性がなかなか現れなかった。でも、修司さんと出会えた。私は修司さんのおかげで満たされることが出来たのよ」



 桔梗と聖は、互いに一歩も引かない。弥生は興味津々で2人を見物していた。







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恋人は地縛霊。願いは復讐! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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