皮を被る

昔ながらの特権

　東堂上間（とうどうじょうま）

　数日が経った。

　家にこもっていても、誰も何も言わないし、様子も見に来ない。

　見放されたんだな～って思った。

　これまで、見放されなかったのもなかなかだったけど、ここまで呆気なく見放されたら、少し味気なかった。

　まぁだからといって、傷ついたりはしない。

　ここ最近の俺は、八雲と話すための計画を立てていた。

　学校へ突入もちょっとだし、八雲のこと知ってそうな奴も周りにいねぇ。

　高橋に聞くのはヤバい。

　......こうなったら、あれしかないな。

　スマホからメールを送る。　こいつDMとか出来ねぇしな。

　適当にメールを送る、送った瞬間返事が来た。

『なんだよ。急に。』

　文面はいつも通りだった。

『八雲に会えないか伝えといて、大事な話があるからって。』

　変なところでめんどくさがりだから了承してもらえるかが問題だが。

『別にいいけど、最近八雲来てないから。返事いつになっても怒るなよ。』

　最近来てない？

『なんで来てないんかわかる？』

『わかんないけど、高橋さんも来てないからなんかあるかも。』

　高橋？

何で高橋が関わってくるんだよ。

『体調不良かもだろ。』

『休む前日に八雲が高橋さん家に配布物とか持ってったらしいから、もしかしたらってだけ。』

　.....そうなると、めんどうだな。

『君さ、あんまり八雲困らせるなよ。あいつ精神的に弱いんだから。』

　は？

急になんだよ。

『別に困らせてない。』

『君はそう思ってるかもしれないけど、意外と心でダメージ受けてるんだよ。最近八

雲の家でプチ騒ぎが起きたの知ってる？』

『知らんかった。』

『多分今精神的に弱ってるから、君と会ってくれるとは思うけど、言葉に気をつけなよ。』

　.....どういうことだ？

　精神的に弱いとか、家で騒ぎとか。ずっと頑固で融通が利かないやつだと思ってたのに、今更知ってももう遅いだろ。だってもう、喧嘩して暴言めっちゃ言ったんだから。

信じられないけど本当なんだろうな、竹間の言うことだしな。