ごえd,ごえd,ごえd,

私の家の教育方針は、「とにかく厳しく教え込めろ」だ。

多少厳しくしているが、まあ仕方ない。

私の娘を一目置かれる存在にして、天才で、何でもできる娘にしなくちゃ。

私だって・・・そう教え込まれたんだから。

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まあそんなこんなである日のこと。

今日も私は、お茶をこぼしてしまった娘を、殴って叱った。

「なんでお茶をこぼしてんだよ!ふざけてんのか?」

「ち、ちがくて・・・そういうことじゃなくて、」

娘は今にも泣きそうだ。

「ちっ」

「うう・・」

ほら、娘は泣き出した。

まあでも当たり前だよね。

ミスした娘が悪いし、私だってこう教育されてたんだし。この娘だって耐えぬいてほしいし。

でも、この教育方針を夫は反対する。

『児童虐待はダメじゃないか』

っていっている。何が児童虐待だ。

イライラしながら上に行くと。

夫のパソコンに変な字が入力されていた。

「え・・・何?『ごえd,ごえd,ごえd』!?何言ってんだろ・・・ああ、多分これ娘が遊んで入力したんだなあ。あとでまた叱らないと」

そして階段を降りようとすると。

後ろから、ドンッと、誰かに突き落とされた。

「きゃあっ!」

上を見ると、娘が汚いものを見つめるような目で、見つめていた。

口は笑っているが、目が笑っていない。見てわかる。

「お母さん、死ね」

「う・・・」

薄れ行く意識の中で私は思う。そっか・・・ごえd,ごえd,ごえdは、そういう意味だったんだ・・・

あの娘、まだ、ひらがなしかわからなかったよね・・・

gは「き」。oは「ら」。eは「い」。dは「し」。,は「ね」

あの娘が言おうとしたことは、「嫌い死ね嫌いしね嫌い死ね」だったんだ・・・

私の意識は完全に、なくなった。

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