太陽の女神の話 その1
「他の神様について教えていただけますか?」
アスカは本題へ切り込んだ。
「弟のツクヨミと、他の神です。確か、それぞれ火、水、風、雷、土に関わる神です」
「さすが神様、そういうのやっぱりあるんだ」
「この国は神が多く存在していますからね」
「どんな神様なんですか?」
「火の粉と露とそよ風と静電気と砂粒の神です」
「…なーるほど」
アスカはリアクションに困っているような間で声を発した。
確かに神というには少々地味、という印象を抱いてしまう神々だが、人間と身近なものも多い。彼らも大切な存在だろう。
「さすがは八百万の神、この日本にはいろいろな所に神様は宿っているのですね」
「実に面白い神たちですよ」
アマテラスは微笑む。
「この手紙の送り主に心当たりはありませんか?」
アスカは懐から手紙を取り出しテーブルの上に置いた。
アマテラスは力なく首を振る。
「いいえ、わかりません。誰がどんな目的でこんなことを…」
「そうですか…」
アスカは手紙をテーブルの脇へ寄せた。
「他の方の印象とかはどうですか? いつもと違うなとかありますか?」
この質問にもアマテラスは首を振る。
「正直、わかりません。弟のツクヨミ以外はほとんど初対面なんです」
それはどういうことだろうと慧は不思議に思う。ほとんど初対面の者と旅館に来るだろうか。
「初対面で一緒にこの旅館に?」
「えぇ、今回は他の神と世界を回るのです。私の一族が創ってきた世界を見回る目的で。そして今回は彼らと一緒に」
そう言いながらアマテラスはアスカと慧の茶碗にお茶を注ぐ。
「では他の方について、印象を教えてもらえませんか?」
「はい。ではまず弟からいきますね。弟は月の神です。性格は、そうですね、控えめで真面目といったところでしょうか」
「正直アマテラスさんの話は多く伝わっているのに、弟さんはあまりでてこないですよね?」
アスカは質問を重ねる。
「彼はあまり表舞台には出てこないんです。その方が性に合っていると言って。でも今回は我々の一族にとっても大切な行事ですので参加しているんです。それに…、これは弟の口から聞いて下さい」
「他の方はどうでしょう?」
「赤毛の方は元気で若い女性ですね。小さい方は愛らしい子供。巻き髪の方は色気のある大人っぽい女性。短髪の方はさわやかな男性。髪の長い男性は見た目は少し怖そうですが、気のいい方。印象というとこんな感じでしょうか」
アマテラスが語る神々の印象は慧が持った印象とそう変わらなかった。
どうやら現状アマテラス自身から得られる情報はとり終えたようだ。
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