第終話 終わり

 最初に旅に出た時に、ほぼ何も聞かずに出たのが悪かったらしい。何故ならこの世界の設定を俺は熟知していなかったからだ。

 ゲームにだってルールがある。アニメや漫画にもその世界独自のルールがある。チート能力や現代の知識を使って無双なんてのは、その世界のルールであって、俺が今いるこの世界のルールじゃない。


 だからこそ俺はザビエルになったんだろう。苗字=禿頭ザビエルを表すとはこの事だ。だがしかしッ!俺の名は一護まもるだが、ハゲを護りたいワケじゃあない。むしろ、今となっては残された髪の毛を護りたい!

 その気持ちは一層強くなったと言っていいだろう。



 まぁ、とにもかくにも、俺は再び旅に出る事にした。ただし今回の旅の仲間はもう居ない。


 あの時、尼さんになったあの女性は蘇れなかったそうだ。まぁ、無理もない。最後まで名前も知らない女性だったが、冥福を祈る事しか俺には出来なかった。



 とは言っても……だ。前と同じ旅をすれば、今度は一人で魔王に挑む事になる。そうすればまた、あのクソダサ魔王に殺され、髪の毛を奪われるのは目に見えていた。

 だったら何をするかって?そんな事、考えなくても分かるだろう?今ある髪の毛を護る為に、無理な戦いをする事無く、日本に帰る方法を探すだけだッ!


 こっちの世界にどうやって来させられたのかは結局分からなかったが、こっちに来れた以上、帰る方法も必ずあるハズだ。

 だったら俺は、魔王を倒さずに日本に帰る方法を探す。それが唯一、残された髪の毛を護る事に繋がると考えたからだ。



 こうして俺は、死んだこと抜け毛から始まったこの異世界生活で、禿頭になるハゲ散らかすまでに日本に帰る方法を見つけ出し、自分の髪を護り抜くと固く誓ったのさ。


 でも結局どうなったかってのは別の話。またの機会があったら、その時は楽しんで欲しい。

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抜け毛から始まる異世界生活 〜俺がハゲるまでに日本に帰れるのか?!〜 酸化酸素 @skryth @skryth

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