第36話 ローゼマリーと北部の鎮圧

 カミルたちはまずは一番近いレーリヒ男爵の領地へと乗り込んだ。フラーケ男爵の軍はグーテンベルク卿によって蹂躙された結果、50人に満たない兵士で防衛することになった。立て籠もるような立派な城もないので、男爵の屋敷で籠城してカミルに包囲されている。


「さて、どうしましょうかね?」


 グーテンベルク卿はカミルの隣にたち、指揮官であるカミルに訊ねた。


「軍師殿からは城攻めはするなと言われているが、これは城じゃないからなあ。難しいことを考えるのが苦手だし、糧秣ももったいないので一気に踏み込んで制圧してしまおうか」


 こう答えたカミルにローゼマリーが待ったをかける。


「お待ちください。このような状況でも踏み込めばこちらの被害もあるでしょう。ここは私に説得をさせてください」


 カミルは少しだけ考えると、ローゼマリーに任せることにした。


「説得してみて、駄目なら突入する」


「わかりました」


 ローゼマリーは屋敷の方に進み出ると顔を覆うヘルムを取り、大声でフラーケ男爵に呼びかけた。


「フラーケ男爵、私が誰だかわかりますか?」


 しかし、屋敷の中からは反応が無い。それでもなお、ローゼマリーは呼びかけた。


「今降伏すれば、家族と兵士の命は助かります。いまこそ上に立つ者としての矜持を見せなさい」


 だが、やはり反応は無かった。それもそのはずで、フラーケ男爵は一緒に籠城している家族や兵士に、降伏勧告は偽りで、出ていけば殺されると言い続けていたのだ。

 10分待っても動きが無いため、カミルはローゼマリーに突入することを告げる。ローゼマリーも諦めてその命令に従う事にした。


「何も返答がないし、突入だな」


「力及ばず申し訳ございません」


「気にすることは無いさ。俺も逆の立場なら降伏しないだろうしな。さて、狭い屋敷の中での戦いだから、剣とダガーナイフを持って行こうか」


「ダガーナイフですか?」


 カミルの言ったダガーナイフという単語にローゼマリーは嫌悪感を示した。カミルはローゼマリーの嫌悪感に気づく。


「嫌か?」


「暗殺者が持つようなイメージがあり、公王様への無礼な振る舞い以降、正々堂々と戦いたい自分にとっては持ちたくないものです」


「短いから室内で使うのには最適なんだけど、本人が嫌と言うなら無理には持たせないけど、剣が壁に当たった時に無手となるぞ。俺は社長から無手となった時に使える体術をいくつか教えてもらっているからいいけど、ローゼマリーにはそれをまだ教えていないからなあ」


 カミルはマクシミリアンというか、山崎武則の持っている知識としての、柔道と空手を教えられていた。マクシミリアン自身は武力が低いので実践は出来ないが、その知識を元にジークフリート、ヨーゼフ、ユディット、カミル、エルマーで再現する事が出来たのだ。ただし、指導方法が確立していないため、軍への導入は出来ておらず、扱えるのもその5人だけとなっている。


「まあいいか。剣が駄目になったら手近なものをぶん投げろ。時間を稼いでいれば俺が助けに行く」


「自分でなんとかします。ダガーナイフを持ちたくないと我儘を言っているのも自分ですから」


「そう言うなって。卿に何かあれば俺が社長から怒られる」


 そのやり取りを見てグーテンベルクがニヤニヤと笑う。


「バイシャ卿もこんな時に口説かなくてもいいじゃないですか」


「く、口説く???」


 そう言われてローゼマリーはカミルの言葉を反芻して、顔が真っ赤になった。


「男が女を守るって言っているのが、告白以外のなんだって言うんですかね」


「からかうなよ、グーテンベルク卿。突入は先発隊の10人と、後から10人とする。俺とバルツァー卿が先発隊で、グーテンベルク卿は後から来て、こちらが制圧した場所の安全を確保して欲しい」


「了解しました、指揮官殿」


 グーテンベルクは最後まで軽い態度でカミルに返事をした。

 グーテンベルクの態度にカミルは顔をしかめたが、直ぐに気持ちを切り替える。突入する先発隊と後続のメンバーを直ぐに指名した。


「よし、最後にダメ押しだ」


 カミルはそう言うと、屋敷の方に大声で呼びかけた。


「今から突入するが、逃げる者の命までは取らない。武器を捨てて出てくれば、その者を攻撃しないことを約束しよう」


 それを聞いたとたんに、屋敷の窓が割れて兵士が飛び出してきた。ひとりが逃げ出すとそれが連鎖して、あっという間に30人ほどが屋敷から外に出てきた。窓以外にも正面の扉からも兵士が出てきたため、扉はあけ放たれたままとなっている。それを確認したカミルは突入の命令を下す。


「突入!」


 10人が走って扉から突入を開始した。二人一組で屋敷の制圧を狙う。カミルはローゼマリーとコンビを組んだ。屋敷の中に残った者たちは覚悟を決めており、カミル達に攻撃を仕掛けてくる。貴族の屋敷なので廊下はそれなりに広いが、剣を振るうには狭い。そんな廊下でカミルは敵と対峙した。敵が横薙ぎに振るった剣をカミルが躱すと、剣はカーテンに絡まった。そのため、次の攻撃が出来ないところをカミルに斬られる。

 カミルが倒した敵から剣を抜いている横をローゼマリーは駆け抜けた。

 廊下の曲がり角を曲がると、そこに敵が待ち構えている。ローゼマリーは敵よりも先に剣を振るうが、その切っ先は宙を切り柱に突き刺さった。


「ちっ」


 舌打ちして剣を抜こうとしたが、思いのほか深く刺さってしまい、簡単には抜けなかった。そうしている間にも敵は剣を振るおうとする。

 ローゼマリーは自分の剣を抜くのを諦めて後ろに飛んだ。直後にその場所を剣が通り抜けた。

 さあ反撃にうつろうと思ったが、手には武器が無く敵もそれはわかっているので距離を詰めて来た。

 カミルに言われていたとおり、何か手近に投げるものは無いかと探すも、そんなに都合よく投げられるものは無かった。ローゼマリーは自分の愚かさに腹が立ったが、ただ歯嚙みする事しか出来なかった。


(こんな事なら自分の嫌悪感など押し殺して、ダガーナイフを持ってくるべきだった)


 そう思って自分の頭を殴ろうとして、その時ヘルムがあるのを思い出した。


「これでもくらえ!」


 ローゼマリーはヘルムを取り、敵に投げつけた。運よく、ローゼマリーが武器を持っていないと油断していた敵の顔にヒットする。


「くそう!」


 と敵が口にしたが、それ以上の言葉は無かった。

 カミルがローゼマリーに追いついて、ヘルムが当たって怯んでいた敵を剣で貫いたのである。

 カミルは柱に突き刺さった剣を見て状況を察した。


「やはり柱に刺さって抜けなくなったか」


「申し訳ございません」


「無事でよかった。終わった訳ではないから、釈明は後で聞く」


 カミルはローゼマリーの謝罪をいったん止めさせると、柱に刺さっていた剣を引き抜いてローゼマリーに手渡した。

 その時である、


「フラーケ男爵確保!」


 と声が聞こえた。他の組がフラーケ男爵の身柄を拘束したのである。

 カミルとローゼマリーは声の方に向かった。既に敵には交戦の意思はなく、生きている者達も床に伏せて抵抗しないことを態度で示していた。


「閣下、こちらです」


 部屋の入り口に立つ兵士がカミルを案内する。部屋はサロンであり、室内には椅子やテーブルが転がっていた。フラーケ男爵がバリケードとして使おうとした結果である。その他には人が血だまりとなった床に転がっていた。ひとりは息があり、こちらの兵士に拘束されている。それがフラーケ男爵だとわかった。その他は女性と子供であった。


「女子供を殺したのか?」


 カミルが兵士に問うと、兵士はそれを否定した。


「我々が室内に突入した時には、既に床に倒れておりました」


「では?」


 カミルがフラーケ男爵を睥睨する。フラーケ男爵は吐き捨てるように


「貴様らの手にかかるくらいならと俺が殺した」


 と白状した。


「何故殺した!そして、何故貴様だけ生きている!」


 ローゼマリーはフラーケ男爵の言葉に激怒する。倒れている母子に過去の自分を重ねたからだった。バルツァー公爵が戦死し、ユディットに降伏するときに自決するか、逃亡するかの選択を迫られて、結局逃亡を選んだので今こうして生きているが、違う選択をしていれば自分もこうなっていたと思った。そして、マクシミリアンとユディットは暗殺まで企てた自分を生かし、母にもなんら責任を問わなかったのである。だから、今回の叛乱においても貴族の家族の命は助かると考えていた。しかし、それを当主の手によって変えられてしまい、家族を手にかけた当主だけが生き残った事に激怒したのだ。


「死にたくない。死にたくないんです」


 フラーケ男爵は泣きながら命乞いをした。それを見てローゼマリーは自分がマクシミリアンに暗殺を評価された理由が理解できた。自分の命をかけてまで親の仇を取ろうとしたことが出来るような貴族は少ない。目の前のフラーケ男爵のように自分だけは助かろうとする者ばかりなのである。

 大勢の者がそうであるからという理由でフラーケ男爵を赦す事も出来ず、ローゼマリーは怒りに任せて剣を振り下ろした。


「この卑怯者が!あの世で家族に詫びるがよいっっ!!」


「ぎゃああああああ」


 剣はうなじからおとがいに抜け、フラーケ男爵は絶命した。剣を突き立て体を小刻みに震わせるローゼマリー。カミルがその肩をやさしく叩いた。


「戦場であまり感情的になるな」


 ローゼマリーはハッとしてカミルに謝る。


「申し訳ございません」


「今日の卿は謝ってばかりだな」


 カミルは笑う。それを見たローゼマリーは赦されてよかったと思うが、自分を振り返り恐縮して小さくなった。


ローゼマリー・バルツァー 16歳

武力56/S

知力89/S

政治62/A

魅力85/S

健康77/S

忠誠93


 この戦闘でローゼマリーはまた成長した。

 そして、次の標的であるガイスラー子爵の領地へと直ぐに向かう。

 ガイスラー子爵は2千の兵がまるまる温存されており、やはりそれを収容できるだけの城塞を持っていなかったので、野戦を決意して平野に陣取りカミルたちを待ち構えていた。

 斥候がその様子を確認してカミルに情報を伝える。カミルはただちにグーテンベルクとローゼマリーを呼んで今後の対応を協議した。


「ガイスラー子爵はこの先の平野で2千の兵で布陣していることが判った。2千程度であれば正面からぶつかる正攻法で行こうと思うが、卿らの意見を聞きたい」


 ふたりはカミルの正攻法に賛成した。採用されたのは伏兵を置くような場所もない見通しの良い平原なので、必勝パターンの鉄騎兵での突撃で相手を崩して、歩兵と反転した鉄騎兵で挟撃する作戦である。

 そして両軍は翌日激突した。

 最初の突撃ではガイスラー子爵を討ち取る事は出来なかったが、反転して再度子爵を狙った突撃を行い、ローゼマリーの槍がガイスラー子爵の体を貫いた。

 ガイスラー子爵が死亡したことで戦闘は終了。ガイスラー子爵側の兵士は全員武器を捨てて投降した。

 戦闘が終了したその日の夜、ローゼマリーはカミルにガイスラー子爵の家族がどうなるのかを確認した。


「ガイスラー子爵の家族はどうなるのでしょうか。公王様は罪は問わないとおっしゃいましたが」


「まずはキルンベルガーブルグに移送することになるかな。赦すといっても平民となった彼らが、当主が叛乱を起こしたこの地で生きていこうとするのは難しいだろう。なので、キルンベルガーブルグで過ごしている間に、受け入れ先を見つけることになるだろうね」


 実はマクシミリアンは赦すと言っただけで、その後の事は考えていなかったのである。つまり、現地の最高責任者であるカミルの判断が、叛乱を起こした貴族の家族に適用されるのだ。


「私や母も、準男爵の地位が与えられなかったら、そうなっていたのでしょうか?」


「どうだろうね。今までは叛乱じゃなくて敵対勢力との戦いだったから、圧政を敷いていなければ領民たちもそこまで領主とその家族を恨むことも無かったんじゃないかな。実際に命の危険があるから他の領地で暮らしたいっていう陳情もなかったし。それに、一気に領地が増えすぎたせいで、元々の領主の家族を代官に任命したなんていうのもあるよ。領民からも代官を追い出して欲しいなんてことはあがってきてないから、うまくいってるんじゃないかな」


「結局、今回は相手に大義名分が無いから、領民としても支持できるようなことは無く、むしろ恨みが募るというわけですね」


「そう。あとは、ガイスラー子爵の家族には早まったことをしないようにと先触れを出してある。明日、こちらが面会する前に自決されたら後味が悪いからね」


「そうですね」


 カミルが懸念したように、ガイスラー子爵の家族は公王の処置を恐れて自決をしようと相談をしているところだった。そこに先触れがやってきて、連座させることは無いので早まらないようにと伝えられ、それならばと思いとどまったのである。

 そして翌日、カミルに正式に降伏することを告げてガイスラー子爵領は消滅した。


ローゼマリー・バルツァー 16歳

武力60/S

知力89/S

政治62/A

魅力85/S

健康76/S

忠誠93


 今回の戦闘でもローゼマリーは大きく成長した。武力は60となって、山崎武則が使えなくはないと判断するところまで上がってきたのである。

 そして残るはザクサー男爵のみとなった。

 ザクサー男爵は兵力差から野戦を諦め、屋敷に籠城する事を選んだ。しかし、籠城してみたはよいものの、周囲を包囲する圧倒的な兵力差に、籠城も直ぐに諦めた。

 そして出してきたのが、ローゼマリーとの一騎討ちだった。


「俺がこうなったのもバルツァー公爵が戦に負けたせいだ。だから、その娘であるローゼマリーと一騎討ちをさせろ!」


 無茶苦茶な理屈で一騎討ちを申し込んで来た。カミルは頭にきて部下に


「あいつの口をふさいで来い」


 と怒鳴ったが、それをローゼマリーが止めた。


「一騎討ちを申し込んで来た相手をそのような手段で黙らせたとあってはバイシャ卿の名誉に瑕がつきます。ここは私が一騎討ちを受ける事で済ませましょう」


 ローゼマリーの申し出にカミルは渋い顔をした。ローゼマリーが討ち取られるような事があってはマクシミリアンに申し訳が立たないからである。


「しかしなぁ……」


「私とて公王様の武将の一人。一騎討ちを断って公王様の名誉に泥を塗るような事は出来ません」


 強い決意を秘めた目で見つめられたカミルは、決断を下した。


「わかった。ただし、卿が討ち取られるようなことがあれば俺が社長に会わせる顔が無い。そのような事になった場合には、グーテンベルク卿が俺の首を落として社長のところに持って行ってくれ」


 突然大役を仰せつかったグーテンベルクは困ってカミルに苦情を言う。


「そんなことをしたら一番損するのは俺じゃないか」


 そのやり取りを見てローゼマリーはクスッと笑った。


「大丈夫です。負ける気がしません。では行ってまいります」


 そう言うと馬にまたがり、屋敷の前に進み出る。


「一騎討ちの申し出、ローゼマリー・バルツァーが受けよう。出てまいれ」


 その言葉を受けて、ザクサー男爵が屋敷から出てきた。手には槍を持ち金属鎧で身を固めているが、不摂生が服を着て歩いているような体形で、とても強そうには見えなかった。それもそのはずで、ザクサー男爵の武力は46であった。これが叛乱当初であれば、一騎討ちでもローゼマリーに勝てていただろうが、ローゼマリーはこの叛乱を鎮圧する戦いにおいて急成長を遂げている。本人たちにはわからない事であるが、武力の数値が14開いているというのは、絶対に勝てないということである。

ザクサー男爵は脂ぎった顔でニヤリと笑う。


「姫様、いくら姫様といえども、一騎討ちでは手加減いたしませんぞ」


「貴様の顔は見たくもない。はやくヘルムをかぶって欲しいものだ」


 ローゼマリーは嫌悪感をあらわにしてから槍を構えた。ローゼマリーをなめきっているザクサー男爵はヘルムを着用せず、連れてこられた馬にまたがる。


「行くぞ!」


 ローゼマリーが先に動く。余裕綽々で構えていたザクサー男爵は最初の一撃の速さに驚き、急いでローゼマリーの槍を払おうとしたが間に合わず、口の中に槍の穂先を突き刺された。その後は一言も発せず、落馬して仰向けに倒れた。

 血を流してピクピクと痙攣するザクサー男爵を睥睨し、ローゼマリーは大きく息を吐いた。そこにカミルが駆け寄ってくる。


「見事な一撃だったな」


「此度の戦で得た経験から、自分の成長を感じられるのです。生意気なようではありますが、大きく成長したと」


 ローゼマリーの言う事は事実だった。今回の一騎討ちでさらにステータスが上昇し、武力は62となったのである。短期間で18もの上昇をすれば、その成長は確実に感じられる。


ローゼマリー・バルツァー 16歳

武力62/S

知力89/S

政治62/A

魅力85/S

健康76/S

忠誠93


「その感覚はわかるよ。俺だってジークフリート殿やヨーゼフ殿に鍛えられていた時、すごい勢いで自分が強くなるのがわかったんだ。そういう時ってあるよな」


 カミルが同意するが、そうではない人物がいた。グーテンベルクである。


「それは一部の化け物じみた人達だけが感じるものですよ。自分なんて強くなったのかどうなのかわかりませんからね」


 拗ねたように言うのをカミルがフォローする。


「社長なんて、何年訓練してもちっとも強くならないから、武功を立てて来たグーテンベルク卿は卑下する事はないよ」


「そんなもんですかねぇ」


 そういうグーテンベルクに対して、ローゼマリーは暗殺しようとしたときに、当時の自分の刃がマクシミリアンに届いたことを思い出した。


「ああ、あれはそういう事だったのですね」


「何が?」


 思わず口をついて出てしまった言葉をカミルに訊ねられたが、暗殺しようとしたことと言いづらく、何でもないといって本当のことを言うのを避けた。


「さて、報告に帰るか。今回はどんな褒美が待っているかな」


 カミルの指示で、叛乱軍鎮圧部隊はキルンベルガーブルグに帰還することにした。



※ここから山崎武則視点です


「っていうNPCの成長の裏にある設定なんだけど」


 俺はゲームマスターから、北部の叛乱鎮圧に送った部隊の詳細を聞いていた。ゲームであれば数値の上下だけなのだが、どうしてこんなストーリーを入れてくるのだろうか。


「こんなストーリーを言われたら、余計に感情移入しちゃうじゃないか」


「いい話だろう」


「ゲームじゃなくて物語を読んでる感覚になるけどね」


 俺がそう言うと、ゲームマスターが笑った気がした。声だけなのでその感情はわからないが、確かに笑ったように感じたのである。そして、それはどこか懐かしい気がした。

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