春を待つ名探偵たち
八凪 蜜
前書き
時は20××年。
日本政府のシステムは全て電子化されていた。その何年か前に国政電子管理法という法律が制定され、それがきっかけとなったらしい。
そして、それが日本政府のサイバーシステムだけでは追いつかなくなった今、ミライ社という会社がその役割を肩代わりすることにしたのだ。ミライ社が手がけるミライクラウドサービスは世界一とも言われる難攻不落のセキュリティと極めて複雑な計算でも刹那にこなしてしまう技術の高さを兼ね備え、それが評価されたというのだ。
ただ、ミライクラウドサービスには少々不可解な部分があった。それは、プログラムとプログラムの間に不必要な膨大な空白があるということだ。それを多くの人が疑問に思っていたが、ミライ社側はあまり応じなかったようだ。
それ以来、生活は日本政府の監視のもと、ミライ社が一括管理するようになった。国民は一人一台、政府管理用Mirai タブレット端末、略して管ミラが持たされるようになった。ミラ端の管理権はどうやらミライ社にあるようだが、従来のMirai タブレット端末とは違い、メッセージと政府のアプリしか使えないのが特徴だ。
そしてしばらくの間、管ミラが使われてきたが、ある時事件は起こった。正体不明のハッカー集団がそれを乗っ取り始めたのだ。ミライ社は構成員は不明、おそが本拠地と推定されることを述べていたが、大人数であることも予想されると言っていた。このことを受け、日本政府は迅速に対策を進めようとしたが、その苦労も管ミラ無しでは無であった。そうして日本国民が絶望している中、それにさらに追い討ちをかけてきたのが一通のメールだった。
「デスゲームを始めます」
最初はみんな、訳がわからず、笑い飛ばしたり会話のネタにしたりするだけだった。しかし、ある時起こった殺人事件の犯人の供述内容が全国民を震撼させることになった。
「あの人を殺した直後、なぜか自分の家に札束の入った箱が置かれてあった。その箱には貼り紙が貼ってあり、そこには『先日の事の褒美です』と書かれていた。しかもそれだけじゃないんだ。管ミラには60億円くらい補充されてたんだ。もともと2000円くらいしか入れてなかったというのに!嘘じゃない。絶対に嘘なんかじゃない。この目で見たんだ!」
この言葉は、全放送局で一斉放送されて、その後にも何回か特集があったため、知らない人はほとんどいないと考えられるだろう。
この直後、SNSや、掲示板などあらゆるところにこれについての事柄が乗っていた。また、井戸端会議でも半分以上はこの話題を取り上げていた。つまり、このことが日本人の心を大きく動かすものだったということだ。
以後、日本の治安はどんどん悪くなり、それと同時に人々は精神的に追い詰められつつあった。
しかし!
この状況をどうにかして変えようと試みるものがいた。これが、今回の話の主人公たちとなる名探偵である。コーヒーを飲みながらでも、葉を跳ねる露を見ながらでもいいので、是非本書をスクロールしてみて欲しい。きっとそこには名推理が待っているはずだ。
それでは探偵たちの物語をご堪能あれ。
春を待つ名探偵たち 八凪 蜜 @hachimichu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。春を待つ名探偵たちの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます