第4話

私が治癒する時間もなく、勇士の命があっという間に切れました。


すでに命が絶たれば、治癒術のようなものは何の意味もありませんでした。


そんなことは時間を戻す力が必要です。


『勇士は特に味が良い。』


頭の中に入るような声。ぐずぐずしていた液体の形から戻ってきた大将の姿は、典型的な魔族でした。


額についた羊の角、皮膚を覆ったうろこのように硬く見える黒い肌、白目が全く見えない奇異な目。


基本的な「枠」そのものは人間と似ていると言えるでしょうが、それ以外のものが全部人間というには感じがかなり違いました。


ゲームでやっと悪魔と感じが似ているなーと思って見過ごしたのですが、直接見たら悪魔と龍を半々に混ぜた感じと言うべきでしょうか。


いずれにせよ失敗しました。


『あなたはもう私が魔族だという事実を知っていた?』

「人食い、言わないこと、理解できないほどの強さ。 そういうものを見ると、予想はするしかないです。"

『それでも今回の勇士はかなり強かった。 勇士の石を無垢化させることができるほど'勇士'という運命によく似合う存在だから···』


ゲームでいうと運良くスタットのいいキャラクターが出てきましたが、チュートリアルで死んだ感じというか。


正直に言うと、心が少し折れました。 それでも可能性が一番高かった瞬間だったと思いますが。


『また石ころを拾うつもりか?』


私が別に石ころを集めておくことにも気付いていましたか。


考えてみたら分からないはずがないです。 私が完全に死んでいなくなった時も、起きると石ころが揃っていましたから。


『あがきなさい。あがきする あなたが 愛しいだ。』

「狂人···」


しかし、チャンスを与えるというので、ためらう理由もありませんでした。


私は床に落ちた勇士の石を拾って、以前の石を集めておいた袋に入れました。


『無駄だ。』


その通りでした。 7個集めれば何でもできると思ったのに、本当に何の反応もないなんて。


『じゃあ、今度はどうやって殺してあげようか。 思い出すのは全部使ってみた気がするんだけど。』


隊長は微笑んで私にゆっくり近づいてきました。


『両腕を取り除くてから始めようか? あ、これこの前やったっけ?』


呪われた身。


私は無意識に後ずさりしました。


毎日7時に体調が初期化されても、私の記憶に刻まれた痛みは消えませんでした。


『それとも両目を抜いて? 今回は願いがあるのかな?』


悪魔のようなやつが微笑を浮かべる。


病気になりたくない、あいつが私の体を欲しがるのが嫌だ、死ぬ経験をするのが嫌だ、このように無力に死なないためにあがきをしなければならない自分自身が嫌いです。


またこのようなことを繰り返さなければならないのでしょうか。


いや、私はこうなることを予想していました。そうでなければ期待感とともに抱いていた不安感は説明できませんでした。


私は知っていました。


繰り返して6番を失敗するのを見てきました。


純粋に期待感だけを抱いたとすれば-


それは嘘です。


それにもかかわらず、ここから抜け出したかったから抱いた一抹の希望です。


「私」という存在が完全に絶望に消えるのが嫌でしたあがきです。


またこのように失敗したら、どれくらい待たなければなりませんか。


その時もまたこうなると思いながらも-


期待を抱かなければなりませんか。


いっそのこ、このまま死んでしまうことができるのであれば。


私はそう思いながら、ポケットの中の石ころを、手から血がにじみ出るほど強く握りました。


『愛しいね、愛しい。 こんなにも生への渇望が濃いとは。』


鋭い爪がついた手で私のあごを撫でるやつです。 こんな状況で縁起の悪いあいつの顔に唾を吐いたのも数十回です。


そのように唾を吐くたびに、うっとりするという顔で私を見つめました。 愛らしいとか、毎回違う聖女の反応に殺される気がしますとか-


この前の聖女のように簡単に崩れないでほしいという言葉まで。


『今度は勇士と同じやり方で殺してやる。』


奴は口を大きく開けました。


体の構造上、あんなに大きく開くことができない口腔構造ですが-


がりりと。


骨が軽く砕ける音とともに苦痛が押し寄せてきました。 すでに死んでいるに違いないのに、「聖女」という呪いの特性は私の精神をまともな状態に維持した。


あらゆる苦しい感覚が、聞こえてはいけない音が、奴の口の中で入り混じって感じられました。


「人間」ではなくタンパク質でできた何か、と表現してもいいほど潰れた状態。 7時になると、再び世界が「私の最上の状態」と考えた時と場所を指定して蘇らせる。


そして、その終着地はいつも刑務所でした。 私にとってその時より良かった瞬間はたった一度もありませんでした。 監獄に鎖でつながれて、ぼんやりと天井を眺める生。


「くぅ…」


その時だった。 生きている人のうめき声です。


まだ死なない勇士が、魔族の偽装の中で生存していました。


しかし、生きていると表現するにも曖昧でした。 事実上、いつ死んでもおかしくない状態。


体の半分がつぶれたのに、どうやって生き残るのでしょうか。


「私は...私は生きたい。」


自分の体から流れ出た勇士の石たちを、半分しか残っていない手で握りながら勇士が言いました。


「アグニ!」


さっきのように燃え上がることはありませんでした。 上から眺める神々が、運命が彼女はすでに勇士の道から抜け出したと判断したようです。


アグニ、アグニと叫んでいた勇士も結局息が切れたように、もう声が聞こえてきませんでした。


いっそのことです。


あの力が私のものだったら。


私が聖女ではなく、勇士の運命を持って生まれた体だったら…


どんなに良かったのだろう、と切望しました。


このひどい苦痛のくびきの中から抜け出せるのであれば-


何でもできると思いますが。


なんでもです-


そんな思いを抱いた瞬間です。


[勇士の石があなたの渇望に感応します。]


というフレーズが私の前に浮かびました。


同時に宙に浮く7つの石です。


熱く燃えそうな熱気と共に7つの石が一つに合わさった。


現れたのは銀色に輝くシックス·ラウンド·リボルバー。


[チュートリアル終了!]


[ 勇士になられたことをお祝い申し上げます! ]


[村のアルケで聖女を救い、魔王を始末しましょう!]


ピストルが私に与えられた瞬間、体が元通りに再生されました。


体が戻ってきてから朦朧としているように感じられた類似感覚が、鮮明に近づいてきました。


この忌まわしいほど繰り返してきた死の瞬間が、チュートリアルのようなものだったのですか?


元々ゲームでは、 こういうのはなかったじゃないですか。 やったってスタート村でスタットがゴミのような女を探すくらいです-


スタットがゴミのような女、と思うと毎回スタットのせいでスタート村に置き去りにしてきたスタット仲間を思い出しました。


あまりにも効率主義でしたから。 数百回スタットリセマーラをしながら、ただのゴミのような仲間だと思って捨ててきたやつ。


それが聖女だったんですか?


そうではありませんでした。 その時はただの村の少女だと説明に書かれていたのを覚えています。


どうしてその少女が聖女に、それも私が指定されたのですか-


いいえ。今、この考えをしている場合ではありません。


この黒い液体が私を完全に溶かす前に、ここから抜け出さなければなりません。


そのまま撃てばいいんです。 深く考えないようにしましょう。 どうせだめなら滅びるんです。


胃腸の外を狙います-


私は銃を持った腕を上に持ち上げました。


単純に抜け出すことが重要なのではないですから。 コアのある位置を撃ってあの魔族を殺します。


『何してるんだろう? 止まれ。今、おまえの選択はおまえを破滅の道に導くだけだ。』


頭の中であいつの声が聞こえてきました。


どうやら私が選んだのが正解のようです。


「破滅?慣れてます。」


その言葉と共に私は引き金を引きました。


爆発音とともに目の前が真っ白に光りました。 私の顔にべたべたする何かが飛び散りました。 ビニールごみが燃える、いやなにおいです。


[魔族を殺害しました! 魔族スレイヤータイトルを獲得します! 種が魔族である人に敵愾心を簡単に獲得し、魔族を攻撃すると追加ダメージを与える恐れがあります! ]


光と文具が収められた後に見えたのは、相変わらず雨が降っている、暗雲が満ちた空でした。


黒い液体とともにスライム状の雨が空から降りました。


[最下位の魔族が死んで残した呪いがあなたにかかってきます。]


その文句が灸と同時に私の入っていた、魔族の下の部分が力なく床に倒れました。


考えてみると、魔族たちは死ぬ度に変な呪いを残したりしました。 沈黙とか衰弱とか脱力とか腸炎のような汚い病気を残したりします···


あまりにも久しぶりに他のシステム文句が出てくるのを見て、ここがゲームの中の世界だということを再び思い出すようになったようだ。


グサ、と倒れた魔族の死体を刺してみました。


反応がないのを見ると、どうやら一発でまともに撃って殺したようです。 単純に銃というにはレール大砲みたいな感じではあったんですが···


何年間苦労したことに比べて仕上げがとても虚しかったです。


グサ、グサ。


ずっと刺してみても反応がないですから··· 成功したんでしょう?


実際、ゲームでもコアが破壊されると、魔族は糸が切れた人形のようにそのまま死んでしまいました。 設定上、コアが脳と心臓の役割を同時にするとか。


もちろん、それを壊す破壊力になるのか、とは別の話ではありました。


胃腸は亜空間魔法のようなものもかかっていたのか、奴が死ぬやいなやあれこれ飛び出してきました。 こんなにたくさんのものを噛んで飲み込むことができるのかと思うほど「何か」がたくさん飛び出した。


私はその中からまだ形の残っている勇士の死体を取り出したのです。 すでに下半身はなく、残っている体の形も魔族の体液に侵食されたのか、黒く濁っています。


「殺して…」


しかし、勇士の命綱というのは、こんなことにも切れないのか、まだ息がついていました。


もぞもぞ。


黒い液体が付着して侵食による怪異化まで進んでいるようですが、今すぐ殺さなければならないかもしれません-


「ピーク!ピーク!なんでこうなったんだよ!」


その時、他の方向に逃げていた勇士の同僚たちが帰ってきました。


「これはどういうことですか、聖女様?」


これをどう説明すればいいですか?


追いかけてきた大将を勇士が倒したものの、実は魔族だったので蘇り、二人ともその魔族に食べられたが、わからない理由で勇士の石が反応して私が倒したと説明しなければなりませんか?


まず、そうやって説明しないといけないと 言おうと思ったんですけど······


[呪い - 沈黙の効果により、あなたは 16 時間 57 分 38 秒間話すことができません。 ]


いや、これはどういうことですか。


「はい?ちょっと話してみてくださいよ。」

「.....」

「殺…」

「ピーク!何だって?もう一度言ってみろ!」


勇士の細い叫び声がミライの声に埋められました。 多分殺してくれと言ったのでしょう。 あいつも「ゲーム」なんとかそうだったのを見れば、私のような憑依者である可能性が高かったです。 だからああやって殺してくれと言うのでしょう。


完全に侵食されて怪物になってしまう前にです。


私は力の入りにくい体をやっと起こし、ぶるぶる震える手で銃を握りました。


「聖女様、今何をしているんですか?」


説明する時間もありませんでした。 すでに勇士の体は黒い液体で完全に覆われる寸前の状態です。 こいつが怪物になってここにいる皆が死ぬよりは、ひとまず殺すのが正しかったです。


あの侵食状態が何を意味するのか、ちゃんと理解できない奴らのような気もします。


私はそれで一旦銃を持って勇士を狙いました。


「今··· 何を?」


こいつらが理解できない隙を狙って引き金を引きました。


銃口から白い光が出てきました。 さっき見たレール大砲のようなものが銃から撃ち出されましたが、前ほどまぶしくはありませんでした。


殺してくれともがいていた勇士の体が止まりました。 ピーク、ピーク、と名前を叫んでいたミライの声も聞こえませんでした。


[勇士を殺しました! 勇士スレイヤーのタイトルを獲得します! 善良な性向の市民から、簡単に敵愾心を獲得することができます! 勇士属性を持つ存在に追加のダメージを与えることができます! ]


私の視野を埋め尽くすフレーズです。


ゲームなら「ダメだ」と言ってもいいほどの称号。 しかし、今は仕方がありませんでした。


「この狂った女が!」


その仕方がないという考えであまりにも埋没したせいか、エルが後ろで剣を振り回すのも認知しにくかったです。


しっかり深く切ったのか、下の方に感覚がありませんでした。 この程度の致命的な状態でも、他人なら生き返らせることができますが。


治癒術は自分自身に使うことができませんでした。


ミライが勇士の名を唱えながら、頭が飛んでいった死体の世話をし、エルが聖女だった私について何か言っているのが聞こえてきました。


正確には聞こえませんでした。 すでにきれいに死んだと判定されたのか、 すべての感覚が朦朧としています-


徐々に沈んでいきました。


もちろんです。


いい感じではありませんでした。


このまま、また目を覚ますところが刑務所でなければいいのですが···


---


目を覚ますと、私が切られたその位置でした。


7時です。


さっと-


依然として雨が降っているのか空には暗雲が立ち込めており、肌に透明なスライムがべたべたとくっつきました。


幸い監獄に位置が指定されることはありませんでした。 こちらに村人たちがやってきたようでもないですし…


いや、訪ねてきても見つからなかったのでしょうか。


たくさん降ったスライムのせいで発見するのも大変ですし、雨の日の夜に動くのは最悪の選択肢の一つですから。


「これから、どうしましょう…」


これからが問題でした。 外に出たことはあるんですけど。


何て言えばいいんでしょうか··· 基盤が一つもないので、窮屈な感じというか。


とりあえず、アルケの近くにある他の村でも訪ねてみましょうか。


そこでどうすればいいのか状況をちょっと整理してみなければなりません。

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私は聖女と呼ばれています @fallenopen

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