最後の鍵である夢月凛を攻略。

〈繁華街・昼〉


――俺は瞑との仮眠を終え、繁華街へと出向いていた。


……これから、夢月凛を探さなくてはならない。


最後の最後――。


俺達は凛に奇襲を仕掛けられ、全滅エンドを喰らったのだ。


なら……やる事はただ一つ。


最初から凛を落とし、今度こそ恋の計画を潰す。


コレが最終章なのだ――。


多少……汚い手を使ったとしても、凛を落とすと決めていた。


【燈馬】

「ふむ……腹は減ったし、凛のヤツは見当たらねえし、外は寒いし――どうしたものか……」


暫く、繁華街を探索するも……凛が見当たらない。


普通に考えれば、俺を“監視”していてもオカシクはない。


恋に関しても、ほんっと――絶妙なタイミングで遭遇したり、色々と都合が良過ぎるのだ……。


【燈馬】

「……チッ――近くにいるなら出て来いよ、マジでよ……一体、ドコに潜んでんだ夢月凛は――」


カチッ……ボボッ――ジジッ……チリリッ――。


【燈馬】

「ふぅ……“木を隠すなら森の中”――だが……」


【燈馬】

「……っすぅ〜〜ふぅ……“闇に紛れるなら闇の中”だよな? どう考えてもアイツ……闇属性だろ――」


普通は人混みに紛れて、監視でもする筈だろう。


今日は休日の最終日だ。


繁華街はとても人で賑わって、ザワザワしている。


しかし――なんとなく、アイツの気配がしない……。


そんな気がして、俺は咥えタバコをしながら、裏路地へと足を運んだ。


〈裏路地・荒廃したセカイ〉


――繁華街の裏側は、表の綺羅びやかなセカイとは違い、どこか……薄暗く陰湿な気配が漂う、表のセカイとは違う、薄汚れたセカイだった。


表のセカイとは違い、ゴミが落ちていたりして、衛生面がとても悪く、辺りを見渡すと……ネズミなんかもいて、本当に怪しい場所なのだ……。


そんな裏路地で俺はタバコを吸いながら、コツコツ足を鳴らし、凛を探す。


【燈馬】

「……すぅ〜〜ふぅ……おい――“夢月凛は居ねえのかよ”? “居るならサッサと出て来てくれや”……」


――外の寒さに加え、不快な裏路地の気配に痺れを切らし、俺は文句を言いながら凛を探していた。


【燈馬】

「っても……居るわけねえか――こんな場所に……」


俺はイライラしながら、タバコを携帯灰皿にブチ込み、揉み消した。


そのまま、二本目に手を掛けようとすると――。


ガサッ――ガッ……。


【凛】

「ふぅ……なに? “森燈馬くん”」


【燈馬】

「……コッチがふぅ……だよ? まぁイイや――なに、“お前に用”があってな? 探してたんだよ」


――凛はまさかの……。


積み重なったダンボールの陰から現れた。


凛は瞑より背が低い為、容易に隠れられたのだろう。しかし――俺が声を掛けたせいでソレは破綻する。


凛は少しだけ動揺した様に、俺から目を逸らし、腕を組んで少し寒そうに震えていた。


相変わらず、薄汚れて少し臭う制服姿で現れた凛。


これから、“攻略するのには好都合”だった。


【凛】

「私に……用? それに探してたってなに?」


【燈馬】

「……そうだなぁ――とりあえず、こんな場所じゃ長話も出来ねえし、コンビニ寄って飯買って、他の場所でゆっくり喋ろうや?」


【凛】

「いや……イイよ別に――“お金無いし”……」


【燈馬】

「――イイから着いて来いよ、腹減ってんだろ?」


【凛】

「いや……あの――なんなの? “別にアナタに接点無いんだけど”……私」


【燈馬】

「……いや、あるね――“お前自身が分かってんだろ”? んなコト……“特大に接点があるって事”」


【凛】

「うぐっ――?! あな……“アナタはナニを知ってるの”?」


【燈馬】

「あぁ……なんでも知ってるよ? “あのカマ野郎のツレ”なんだろう?」


【凛】

「えっ……? うそ――なんでそんなコトまで知っているの?」


【燈馬】

「なんでって――“お前らが悪いコトを企んでる”からだろ? ちなみに、お前が俺に歯向かって来ても、無駄だぜ? “お前の手の内”知ってっから」


【凛】

「ははっ……参ったなぁ――ほんっと……」


【燈馬】

「まっ――“抵抗しない方が賢明”だぜ? ハッタリじゃなく、コッチは本当にお前のこ――」


――シュンッッ!! バヂヂッッ――!!


ガッッ!! グイッ――パシッッ!!


【燈馬】

「……おっとっと? そうはいかないねぇ……甘いよ凛ちゃんよぉ?」


……ググっッ!! バヂヂッッ――!!


【凛】

「チッ――“ナニが目的なの”? “こんな手荒な真似して”……」


俺は凛を後ろで押さえ付け、奪ったスタンガンを凛の首元で鳴らした。


少しでも触れれば激痛に見舞われ、気を失うコトだろう。


前回受けたスタンガンの威力は凄まじく、首元でバチらせたらどうなる事か――。


俺自身も分からない……。


【燈馬】

「ふぅ……“ナニが目的”だって? 決まってんだろうよ? “今からお前を喰ってやるのさ”……」


【凛】

「んなっ――?! ど……“どう言うコト”なの?」


【燈馬】

「どう言うコトもなにも――そのままの意味だぜおい……? “姫乃恋に雇われてんだろお前”? いや違う……“正確にはカマ野郎が受けた依頼”か……」


バヂヂッッ――ググッッ!!


【凛】

「うぐっッ――?! ぐっ――放して……そんなの首に受けたら死んじゃう……」


【燈馬】

「死にたくなかったら……“コッチの仲間になれ”」


グイッッ――グググぅ〜〜メキッ――ググッ!!


【凛】

「ガッ――ァ……ぐぁッッ――ぐぅぅ゙〜〜ぐぅ――グギギッ――あがっ……ガッ――?!」


俺は片方の腕で凛のお腹辺りをグググッ――と、大きく締め付けた。凛は苦しくなり、悶絶した声をあげて……。


【燈馬】

「どうする? ふふっ……“ココでくたばるか”――大人しく俺に着いて来るか――“早く選びな”?」


【凛】

「ググッ――わ……かっ――た――ついて……いく――」


【燈馬】

「あっそ……ほいっと――」


……ググッ――ふわっ……ぐらっ……ドサッ――!!


【凛】

「……ひゅう、ひゅう、ひゅう、んっ――ゲホッ、ゴホッ……んぇっ――んっ……はぁ、ハァ、ハァ――」


凛は汚い地面に崩れ落ちた。


俺はそのまま……。


【燈馬】

「悪いね――“コッチも遊びじゃないんでね”?」


【凛】

「ゲホッ――ゴホッ……んんっ――ふぅ……“本当にアナタは”――“森燈馬なの”? “私の知ってるアナタじゃないみたい”だけど……?」


【燈馬】

「さぁ……“どうだろう”なぁ? そんなコトはどうでもイイんだよ――とりあえず行くぞ……こんな薄暗い場所いても、気が滅入るだけだ」


【凛】

「ハァ……分かった。着いて行けばイイんでしょ? 本当に……意味分からない――どうしてこんなコトになったの……」


【燈馬】

「後で説明してやるから、まずはコンビニだ。昼飯買ってから、ゆっくり話せる場所に行こうや」


【凛】

「ふぅ……分かった」


【燈馬】

「あと……もし、“変な気を起こしたら”――“俺はお前を地の果てまで追い掛けてやる”」


【凛】

「……“逃げ場は”――“無いか”」


【燈馬】

「“ねえよ”……見付かったお前が悪いし、まず俺に絡んだ時点で詰みなんだよ」


【凛】

「じゃあ……さっさと連れて行って――」


【燈馬】

「あぁ……そうさせて貰う」


――そのまま俺は凛を脅し、凛と共に裏路地を後にする。


瞑との幸せな未来へ向かう為、俺は動き出す――。


ココで悲しみしか無い日々を終わらせ、未完のWEB小説を完結まで導くのだ。


――作者じゃない、“俺自身で創りあげる物語”として……。


〈ラブリーなホテル・怪しいピンク色な部屋〉


――コンビニへ寄り、ペットボトルのお茶や弁当を購入し、俺達はすぐにホテルへと向かった。


【燈馬】

「さて……昼飯でも喰おうか――腹減ったし」


【凛】

「……“変なの”とか入れてないよね――?」


【燈馬】

「“入れてねえよ”……そんなの必要ねぇし……」


【凛】

「なら……イイけど――それじゃ、頂くわ?」


【燈馬】

「あぁ……喰え、んな痩せ細ってよ――ろくなモン喰ってないんだろ?」


【凛】

「ふぅ……そうよ――“あんまり食べてない”」


【燈馬】

「なら喰っとけ……“コレから体力使うんだから”」


【凛】

「うぐっ――?! そ……“それってまさか”――?」


【燈馬】

「あぁ……“俺がお前を喰う”からなぁ……ククッ――」


【凛】

「な……なんでそうなるのよ? それに――こんな貧相で汚れて臭い女を……」


【燈馬】

「なんでって――“俺は悪役だからね”……? お前の思っている、“想像の一億倍は悪い男”なんだぜ?」


【凛】

「お……“お風呂は”――」


【燈馬】

「言ったろ? “必要ないって”……ふふっ? 俺はさぁ……“本当に関係無くお前を喰える”んだわ――」


【凛】

「し……知らないよ? お風呂――何日も入ってないから、汚れてるし臭いだろうし……」


【燈馬】

「あぁ……“問題ねえよ”? んなもん――“慣れてんだよコッチは”……ククッ――? まっ……昼飯喰ってから教えてやるよ」


【燈馬】

「“本当に俺が嘘を言ってないってコト”を――」


【凛】

「ハァ……“本当に変なヤツ”に絡まれちゃったな」


凛は椅子に座りながら頭を抱えていた。


俺は顎に手をあてながら、凛の様子を眺めて悪い笑みを浮かべる。


ココまで来たならもう……最後の最後まで――。


“悪役に徹する”と決めたのだ。


【燈馬】

「まぁ……“否定はしない”。さぁ……弁当喰おうか」


【凛】

「う……うん――」


そのまま俺達はコンビニ弁当を食べ始めた。


――相当お腹が空いていたのか、凛はガツガツと弁当をかっ喰らい、お茶の入ったペットボトルをがぶ飲みして、飢えを満たす。


俺はそんな凛の姿を時折眺め、ゆっくりとコンビニ弁当を食べて――。


〈ラブリーなホテル・悪役の時間〉


――ガッッ!! ぶんっッ――ドサッッ!!


俺は昼飯を食い終わり、少しボーっとしていた凛の腕を掴み、強引にベッドへぶん投げる。


【凛】

「……ゔぎゅっ――?! ちょ――まっ――?!」


……ガッ――!! グイッ――!! ズイッ――。


【燈馬】

「さぁて……そんじゃ――“頂こうか”……?」


――グイグイっ……グネグネ〜〜っッ!!


【凛】

「くっ――ほ……本当に――“私を食べるの”……?」


凛は俺に覆い被され、両手を捕まれて……。


嫌そうな表情をしながら、綺麗なお顔にしっとりと汗を浮かべ始める。


俺は悪役に徹し、悪い顔をしながらグイッと……顔を近付けて、じっくりと凛の顔を捉え続けた。


【燈馬】

「あぁ……そうさ――“たくさん悦ばせてやる”」


【凛】

「うぐぐっ……さっきも言ったけど――お風呂何日も入ってないし、汚いし臭いよ? バカなんじゃないの……アンタ――ほんっと……!!」


【燈馬】

「……気にしねぇよ? コッチは慣れてんだよンなこたぁ……ハハッ――? そんなもんで、俺がお前を喰えないとでも? ソレこそバカ言うなよマジで」


【凛】

「ほんっと……知らないよ? うぅ〜〜なんでこんなコトになってるのよ……もう!! クソッ!!」


【燈馬】

「あぁ……そんじゃ――“喰うわ”、“お前のコト”……」


【凛】

「うぅ゙……わ――分かった、もう……好きにして――」


【燈馬】

「あらら……もう少し抵抗すると思ったんだがな」


【凛】

「どうせ……“しても無駄”なんでしょ? 分かってるわ……そんなコト――」


【燈馬】

「ヂュルッ――あぁ……そうだよ? お前はココで俺に喰われて、クッタクタになるまで悦ぶだけさ……」


【凛】

「ふぅ……“ならイイよ”? あっははっ? あっひっひひっ……ほんっと――バカな男だ……こんな薄汚れた女を喰うなんて――ほんっと……センスない」


【燈馬】

「どうでもイイんだよ……ンなコト――“お前はただ俺に喰われて”……“終わり”」


【凛】

「うん……ならイイや――ヤッてみてよ? あっははっ……こんな不味くて臭い女が本当に喰えるのか」


【燈馬】

「あぁ……ふふっ――」


……ぶぢゅっ!! ずっ――れろれろれろぉ〜〜!!


【凛】

「――んぶっ?! ンっぢゅレロレロレロぉ〜〜んっぶっ――んっちゅんぶっ――んっれろれろれろぉ」


【燈馬】

「……んっぢゅれれれっ〜〜んっぢゅぢゅっッ――んっふふっ……ほれじゃあぁ……ぢゅるるっぶぶッッううぅ〜〜はひめようかぁ……んっぢゅぶぅ〜〜」


【凛】

「んぶっ――んっぶれろぢゅるるぶぶぅ〜〜んっぶふっ、ちょっひょ――ンっぢゅるるっれろれろれろれぉ〜〜んっ――はげひ!? んっぶぅうぅ〜〜」


――こうして俺は凛を喰い始めた。


凛の唇を奪い、激しくキスをしながら……。


凛をドンドンと――堕としていく……。


〈ラブリーなホテル・お風呂場・夜〉


――チャポチャポ……ぴちゃぴちゃ……。


凛を完全に堕とすコトに成功した俺は、大きな湯船に二人で浸かり、少し話をした。


【燈馬】

「さて……“本当の話”をしなきゃならないな――」


【凛】

「うん……話があるって言ってたよね――ふふっ?」


【燈馬】

「あぁ……実はな――俺は二度……いや、“三度死んでるんだよ”――ははっ……信じられない話だろ?」


【凛】

「いや……本当に意味分からない話なんだけど?」


【燈馬】

「まぁ……聞けよ? ちょっと長くなるけどよ……」


【凛】

「うん……分かった」


そのまま俺は、凛を後ろから抱き締めながら、淡々と事実を語っていく。


凛はちゃんとジッとしながら、俺の話を聞いてくれた。


本当にバカみたいな話をずっと……大人しく。


【燈馬】

「……そんなワケだ――嘘みたいな話に思うかもしれないけど、全部本当の話なんだ」


【凛】

「そう……なんだ――私が……燈馬くんを――でも、そうか……お仕事だったんだし、そうなっちゃうよね? なんかごめんね? 変なコトに巻き込んで」


……キュッ――。


【燈馬】

「イイよ……過去のコトだ。でも――“今回は俺に味方してくれよ”? もう懲り懲りだ……最悪な終わり方を迎えるのは――」


【凛】

「ふぅ……ねぇ? “ただで味方にさせるつもり”?」


【燈馬】

「……えっ? そうだけど――“ナニか問題か”?」


【凛】

「大アリよ……“私達ご飯食べられない”んだけど?」


【燈馬】

「ソレなら……“報酬を恋から”、“無理矢理出させてやるよ”? どうだ……?」


【凛】

「う〜〜ん……足りないなぁ? ふふっ……“また私と遊んでくれない”? こんな強引なコトして……“ただで済むと思っているの”?」


【燈馬】

「……彼女いるんだって――悪いけどさ?」


……ジャポッ――ジャバッ――グイッッ!!


ぎゅっ――ぎゅうぅうぅ〜〜ボソッ――。


【凛】

「“ダメだって”……ココまでして――うふふっ……ねぇ……あんなに私の体を弄って――“使い捨てるツモリなの”? ちょっと……酷いんじゃないかなぁ?」


【燈馬】

「うぐっ――?! 仕方無ねぇだろ……お前を落とさなきゃ俺が死ぬんだから……」


凛は向きを変え、俺に抱き着きながら囁いた。


本当に……ごもっともな話で何も言えない――。


【凛】

「はぁ……あ〜〜んなに――“恥ずかしいコトをされて”、燈馬くんに好き勝手されてさ……どうしてくれるのかな? 私……“好きになっちゃったんだけど”」


【燈馬】

「い……いや――そ……そう言われましても……?」


【凛】

「ねぇ……? “彼女になれなくても”――たまに遊んでよ……私――とっても気に入っちゃったんだもん」


【燈馬】

「……たまにだぞ? ソレに……“彼女も一緒にだ”」


【凛】

「へぇ……? 彼女さんも一緒に? ふふっ……“随分彼女さんもイカれてる”んだね?」


【燈馬】

「まぁ……俺も彼女も一緒くらいぶっ飛んでるよ」


【凛】

「うん……分かった。本当は二人がイイけど――それも贅沢な話だよね? さてと……“私についても教えてあげよっか”――聞いてくれるかな?」


【燈馬】

「あぁ……教えてくれ――“お前のコト”を」


【凛】

「うん……“ちょっと重い話”かもだけど――」


【燈馬】

「構わねえよ……話してみな?」


【凛】

「分かった――」


――そのまま凛は、俺の耳許で自身のコトを伝える。


カマ野郎のコトも……自分の境遇についても――。


……ちゃぽっ――ピチャっ――ポチャンっ……。


【凛】

「ははっ――“変な話”でしょ? まさか……“自分の親をヤッたヤツ”に育てられるなんて……?」


【燈馬】

「……まぁ――そう……だな――」


凛の話は本当に重たいモノだった。


両親は元々仲が悪く、しょっちゅう喧嘩ばかりをしていて、ある時……凛の母親が怒りのあまり――。


父親を刃物で……。


そんな凄惨な光景を目撃した凛は、ビックリして外へ飛び出すと、たまたま近くを歩いていたカマ野郎と遭遇した。


カマ野郎はすぐに状況を飲み込み、凛の家の中へ入り、暴走する母親を止めようとするも、父親は既に虫の息で……とどめを刺す瞬間だった――。


カマ野郎は寸でで母親を止めに掛かるも、暴走した母親はとても力が強く……カマ野郎はぶっ飛ばされてしまう。


そこまでは良かった……悲劇はココで起きる。


無理矢理、カマ野郎をぶっ飛ばし、バランスを崩した母親はそのまま……刃物を手に持ったまま――。


転倒し……結果――両親はどっちも死亡。


カマ野郎はそのまま警察に連行されて――。


暫く経った後、凛とカマ野郎は再開を果たす。


カマ野郎は、凛の学費やらなんやらを工面したりして、凛を養ってくれていたとのコトだった。


事故ではあるが……止めに入らなければ、母親は生きていたかも知れない……。


そう思うと――なんとも言えない気持ちにさせられる。


【凛】

「それに……まさか――ふふっ? “私が結果”……“アナタを殺す”コトになるなんてね――ほんっと……笑えない話だわ――」


【燈馬】

「まぁ……“恋単品”でも殺されたんだから、本当にヤベェ話だよ――」


【凛】

「ふふっ……そうね? あの恋ちゃんが――まさかアナタを拘束して……監禁しながらヤルなんてね?」


【燈馬】

「あぁ……ほんとにな? 最悪だったぜ……」


【凛】

「全く……“本当にお互い”――“数奇な運命”だね?」


【燈馬】

「ほんっと……“その通りだ”――」


数奇な運命で導かれたのかなんなのか――。


それとも、巻き込んだのか……。


それは分からない――。


でも……数奇な運命だからこそ、人の温もりを感じられた事も事実。


俺が知らないセカイを知れた事は悪くはない――。


こうして、可愛い凛と抱き合えるコトも無かった。


現実世界では、こんなシュチュエーションなんて、皆無だったのだから……。


【凛】

「ふぅ……もうココから出るんでしょ?」


【燈馬】

「あぁ……ちょっと喧嘩買いに行かないとな?」


【凛】

「……もう少しこうしてたいけど――もう駄目だよね?」


【燈馬】

「もう少し……落ち着いたら遊んでやる」


【凛】

「うん……また――“今日みたいに”……“シテ”?」


【燈馬】

「……“今日よりハードになるけどな”? ソレでもいいなら……“俺達”に会いに来い」


【凛】

「今日より――ハードなんだ……あはは? そりゃいいや――とっても……満たされそうだしね?」


【燈馬】

「あぁ……“満たされるさ”――“普通の日常に戻れなくなる程”……な?」


【凛】

「うん……分かった。“楽しみにしてるね”?」


……ぎゅっッ――ぐにゅっ……ギュッギュッ!!


【燈馬】

「お……おん――? はぁ……とりあえず出るぞ――」


【凛】

「うん……出よっか――」


――そのまま俺達は解散した。


〈ラブリーなホテル・入口前・夜〉


――ヒュウぅうぅ〜〜ぶわぁ〜〜ッッ!!


外に出ると、強くて冷たい風が俺達を歓迎する。


風呂上がりのホッカホカな体はすぐに冷えて、俺達はガクガクと震えていた。


【凛】

「さ……寒い――ゔぅ〜〜冷えるなぁ――今日は」


【燈馬】

「ホントだよ……やってらんねえよ――ったくよ」


【凛】

「……はぁ――コレでお別れだね?」


【燈馬】

「あぁ……またどっかで会おう」


【凛】

「うん……ソレじゃ――さよなら……」


【燈馬】

「あぁ……じゃあな――凛」


――凛はブルブル震えながら立ち去った。


最初のミッションはコレで完了した。


凛を喰らい、凛を堕とし――仲間に引き入れて……。


後はもう――“姫乃恋を潰して終わる”だけ。


……カチッ――ボボッ……ジジッ――チリチリ……。


【燈馬】

「ふぅ……さてっと――四人と合流しますかね……」


俺はタバコに火を着けて、廃工場へ向かった。


毎回、なんの変化もない喧嘩シーン――。


でも……その前に“大きな変化”が起きたのだ。


少しだけ――かったるい気分は緩和されて、なんとなく気分が良かった。


【燈馬】

「あぁ……今日も――すぅ……ふぅ〜〜」


【燈馬】

「“タバコがうめぇや”……まったくよ――」


俺はタバコを味わいながら……。


ゆっくりと――前へと進んで行く。

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無職、作中の悪役にすり替わる。 鬼位様 @mahounoudewa

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