第121話


 この時、自分たちはオースティン南部、フラメールとの国境付近の森林地帯に居ました。


 ここは対フラメール戦線の激戦地でしたので、民間人は残っていません。


 森林内の倒れた木々や開けられた大穴が、その戦闘の苛烈さを物語っていました。


「お、おおお、敵が走ってきているぞこっちに!」

「ええ、来ていますね」

「接敵まで2分ってところか」


 敵は森林内から飛び出て、雄叫びをあげ突撃してきました。


 その剣幕にガヴェル曹長はパニック状態でしたが、部下達の方は冷静でした。


「……戦うったってどうする気だ、衛生兵長殿」

「普通に、ですよ。特別な事は必要ありません」


 自分は改めて敵を観察しました。


 ここはオースティンの領土内です。敵兵が潜んでいることがまずおかしい。


 では何故、あの敵部隊はオースティン領内で待ち伏せしていたのか。


 後方の輸送部隊を襲うため、オースティン軍に気づかれぬよう忍び込んできていたのか。


 ─────否。その理由は、敵の姿見れば一目瞭然でした。


「勝手な方針を立てるな、隊長は俺だぞ! もう、早く、逃げろってば!」

「……見てください、ガヴェル曹長」

「何をだ!」


 敵の中隊が、こんなオースティン勢力圏ど真ん中で待ち伏せできた理由。


 それは、



「彼らはどうやら、敗残兵みたいです」

「あ?」



 彼らは最初から奇襲する目的で、このオースティン領土内に潜伏することが出来た部隊ではなく。


 既に戦闘に敗れ、我らの勢力圏内に孤立して・・・・しまった潰走軍だったのです。



 姿を隠しながら近づいてくる敵には、血塗れで治療も受けていない負傷兵が散見されました。


 統率もまばらで、銃を失っている兵すらおりました。


 彼らは皆、必死の様相で我々に突撃を仕掛けてきたようです。


 ……生き残るために。


「恐らく彼らは敗走後、オースティン領内に潜伏したのでしょう。そしてたまたま我々の輸送部隊を見つけ、襲撃してきたのです」

「む、そうなのか。確かに、ずいぶんとボロボロだな」

「あの有様なら、敵に弾薬はあまり残っていないでしょう。我々にも勝機は十分にあります」

「……」

「むしろ、ここで我々が逃げ出せば、みすみす敵の補充を許すだけではありませんか。ガヴェル曹長」


 窮地に陥っているのは、敵も同じでした。


 いえ、むしろ敵の方が絶望的な状況と言えました。


 我々は敗走しても保護を求めればいいですが、敵は負ければ死ぬしかないのですから。


「……もしかして、本当に勝てる感じ? 林に隠れた後はどうすんだ?」

「敵が森に入ってくるまでは、銃で迎撃を。森林内まで侵入を許してしまえば、遭遇戦を仕掛けましょう」

「それで勝てるのか」

「ええ」


 そして障害物の多い森林で、ゲリラ戦法以上に有用な防御戦術を自分は知りません。


 ヨゼグラード市街戦で嫌というほど味わった「いつ死角から鉛弾が飛んでくるかわからない」恐怖は、攻撃側の士気を恐ろしく下げます。


「だが……俺の部下は輸送部隊だぞ? 銃なんか撃てるのか?」

「撃てと言われれば撃てますがね。歩兵時代のような働きは期待せんでください」

「それで十分でしょう」


 輜重兵の多くは、元歩兵です。


 負傷により腕や脚が動かなかったりで、前線を退いた兵士が多いのです。


 なので十全に戦えるわけではありませんが、実戦経験だけはかなり豊富と言えました。


「敵を全滅させる必要はありません。敵に我々を諦めさせれば勝ちなのです」

「だが……しかし。絶対に勝てるとは限らんじゃないか」

「無論、それでも曹長殿が逃げるというのであれば自分は従います」


 片腕を失い銃を持てない人には、手榴弾を投げてもらえばいい。


 満足に走れぬ人には、茂みに隠れて待ち伏せしてもらえればいい。


 我々は攻められる側です。五体不満足な兵士でも、十分に活躍できるでしょう。


 障害物に隠れて敵を待つという行動は、この時代の戦争において、何より有利なのです。


「しかし貴方の敬愛するヴェルディ様は、四方を敵に囲まれた窮地において、見事に物資を運び出し撤退に成功したのでしょう?」

「む」

「あの時よりも、遥かに状況は良いです。ガヴェル曹長が率いている輜重兵の方々は、歴戦の勇士ばかり。存分に頼ってみてはいかがでしょうか」


 自分はヴェルディさんの話を例に出し、ガヴェル曹長を説得しました。


 ここまで進言してなお却下されるなら、大人しく撤退に従うつもりでした。


 自分の立場で出来るのは提案まで。最終的に判断するのは、ガヴェル曹長だからです。


「お前等、やれるか?」

「やれと言われればやりますよ曹長。それが兵士ですから」

「久々に敵を撃てるのか、良いねぇ」


 輜重兵の方もそれなりに乗り気でした。


 軍人でいる事が好きで負傷後も軍に残った兵士にとって、むしろ嬉しい展開なのかもしれません。


 一部の、前線が嫌で輜重兵に志願したっぽい人は顔を青くしていましたが。


「……そうか。じゃあ、やってみるか」

「おっしゃ。久々の実戦だ、銃を寄越せ!」

「俺の荷物が銃火器と弾薬だ、ほら全員装備しろ」

「手榴弾もあるぞ。こいつは危ないから、扱った事がある奴だけ持っていきな」


 こうしてオースティン軍に復帰して早々、自分は再び戦火に巻き込まれたのでした。






「……厳密に自分はまだ、軍に復帰していないので。これはセーフと言う事にしてください」


 自分もオースティン銃と風銃(手榴弾を撃ち落とす兵器)を借り受けて、戦闘に参加しました。


 オースティンの軍規では、衛生兵は戦闘に参加してはいけないハズです。


 ですが、まだ復帰を認められていない今だけなら、きっと問題にはならない……のですかね?


「ん? 何のことだ」

「自分は衛生兵なので、その、銃を撃つのは不味いかなと」

「ああ、そう言う事か。大丈夫、去年から衛生兵の銃所持は認められてるぞ」

「そうなのですか」


 ところが話を聞くと、どうやらオースティンの軍規が変わり、衛生兵でも銃を使用できるようになったみたいです。


 ドールマン氏あたりがゴネたのでしょうか。


「ま、でもお前は無理すんな。どうせ当たんねーんだから、撃っても弾の無駄にしかならん────」

「11時方向、小隊長格と思しき敵兵を発見、撃ちます。……左腕に命中しました」

「……上手いな」


 自分は木々に姿を隠しながら、こちらに走ってくる敵に攻撃を開始しました。


 距離はおよそ50mほどでしょうか。左胸を狙ったつもりでしたが、少しズレましたね。


 使い込んでいたサバト銃と勝手が違うので、少し狙いの感覚がおかしいようです。


 当て勘を取り戻していかないといけません。


「狙撃、【盾】。狙撃、【盾】。……敵の小隊長、今度こそ仕留めました」

「おお、なんだ嬢ちゃん本当に衛生兵か? 装甲兵みたいな動きしやがって」


 改めて振り返ると装甲兵のエース、ザーフクァ曹長に課された訓練内容は恐ろしく実戦的でした。


 今、こうして自分が使用している動きの大半は、彼の部隊との訓練で身につけた動きです。


 障害物越しに敵を捕捉した後、短時間で構え、撃ち、そして【盾】を張って身を隠す。


 これを徹底するだけで、死亡率はぐっと減るのです。


「手榴弾投げまーす、曹長殿許可をくれ!」

「え、ああ、許可する」

「おーいしょぉ!!」


 自分の隣では髪の薄めでマッチョな男が、足元に手榴弾の詰まった箱をおき、満面の笑みで投擲を始めました。


 ……彼の狙いの敵は100mほど離れており、流石に遠いのではと思ったのですが、


「えっへへ、どんなもんよ。まだまだ現役やれたんじゃねぇかなぁ」

「良い肩をしていますね」

「昔は投擲榴弾兵ってな、遠くに手榴弾投げれる奴は特別な兵科を名乗れたんだ。専用銃が開発されるまで、こうやって手で投げてたんだぜ」


 40歳後半とおぼしきこのおじさんは、かつて擲榴兵としてブイブイ言わせていたみたいで。


 久々に手榴弾を投げることが出来て嬉しいのか、ウキウキと投擲をし続けました。


 昔はエース級だったりしたのでしょうか。


「よーいしょぉ! こーらしょぉ!! 投げても投げても手榴弾が余ってるってなぁ素晴らしいな!」


 恐らく今回の戦闘のMVPはこの手榴弾投げおじさんだったでしょう。


 彼は非常に強肩で、次々と敵兵を爆散させ続けました。


 その凄まじさは、ちょっとした砲撃と言えました。


 自分もチマチマ狙撃をしたのですが、仕留められたのは数人だけです。


「ぎゃー! 腹を撃たれた、死ぬ、死ぬ」

「……ガヴェル曹長、治療の許可をください。彼はいますぐ処置しないと、死にそうです」

「あ、ああ。治してやれ」


 自分が攻撃に参加したのは、最初の30分ほどだけでした。


 わざわざ衛生兵である自分が銃を撃たなくても、輜重兵の方々だけで十分な防衛力を発揮できていたからです。


 途中から自分は、敵に撃たれた兵士の治療に専念する形になりました。


「医療物資の入った荷物はありますか?」

「えーっと。すまん、どれか分からん」

「じゃあアーミーナイフを貸してください。それ1本で何とかします」


 ……せめて針と糸があれば魔力が節約できたのですが、仕方ありません。


 どうせ長期戦にはならないでしょうし、出し惜しみなしで治してあげましょう。


「お、おお。楽になった、サンキュー」

「とりあえず、しばらく安静にしておいてください。傷が開いたら死にますので」

「了解です衛生兵殿」


 この戦闘では、兵士数だけ見れば敵の方が多かったでしょう。


 しかし敵は弾薬が尽きかかっており食料も水も足りておらず、かなり弱っていました。


 そんな状況で物資を運ぶオースティンの輸送部隊を見つけた時は、天に上る心地だったでしょう。


 彼らは万全を期すため、今すぐにでも襲いかかりたい気持ちを堪えて待ち伏せを選択したのです。




 しかし残念ながら待ち伏せは看破され、彼等は突撃せざるを得なくなりました。


 我々ガヴェル輸送部隊から積み荷を奪えなければ、敵に未来はありません。


 窮鼠猫を噛むが如く、彼等は追い詰められていたのです。



 ガヴェル曹長が当初の命令通り逃げ出していれば、きっと彼らは再び活気を取り戻していたでしょう。


 場合によっては、このまま賊としてオースティン内地に侵攻していったかもしれません。


 ここでガヴェルが「敵を迎撃する」と判断が出来たことは、オースティンにとって大きな利になりました。



「……もう、敵が向かってこなくなったな」

「自分の目にも、敵は見当たりませんね」



 戦闘開始から半日ほど。


 死に物狂いで襲ってきた敵兵は、やがて力尽き撤退していきました。


 多くの骸を、オースティンの大地に置き捨てて。



「彼らはフラメール兵ですか?」

「そうだろうな。フラメールの軍服だ」


 これが自分にとって、初のフラメール兵との戦闘でした。


 彼らこそ火事場泥棒のようにオースティンに侵略し、南部の民衆を脅かした「敵」。


 今のオースティンが、何としても倒さねばならぬ敵です。


「勝った……、勝ったぞ……、大戦果だ!」

「ええ、そうですね。おめでとうございますガヴェル曹長」

「ああ、ああ、よくやったぞトウリ衛生兵長! お前の事も、ヴェルディ様に褒めておいてやるからな!」


 初の実戦、そして初めての本格的な戦争。


 それをこれ以上無い形で乗り越えられたガヴェル曹長は、感極まって飛び跳ねていました。


 彼なりに、未熟な指揮官として勇気を出した結果でしょう。


「結局、敵さんろくに撃ち返してこなかったな」

「こっちの被害は負傷兵が数人だけ、か。完勝じゃないか」

「敵は敗残兵ですし、そんなものでしょう」


 この一件はガヴェル曹長の評価を、大きくあげました。


 涙を流して大喜びする15歳の指揮官を、自分を含めた年上の部下たちは生暖かく見守っていました。






「約束通り、お前をヴェルディ少佐に引き合わせてやるからな。ちっと待ってろ」


 数日後、我々は無事に対フラメールの最前線へ到着しました。


 そこには野戦病院のテントや、設営型の武器弾薬倉庫など、西部戦線で見慣れたものが数多く並んでいました。


「ヴェルディ大隊長殿に報告に来た。ガヴェル曹長だ」

「はい、お待ちください」


 自分はガヴェル曹長に引き連れられ、司令部のテントへと足を運ぶことになりました。


 ……ヴェルディさんは、ここで自分たちを待っているそうです。


「……お、緊張してきたのか?」

「ええ、少し」


 彼とは実に1年ぶりの再会です。


 自分は一体どんな扱いを受けるのでしょう。



 よく生きていた、と喜んでくれるのでしょうか。


 それとも1年間も脱落して何をしていた、なんて怒られたりするのでしょうか。


 いえ、公の場では事務的に「復帰を認める」と短く言葉をかけられるだけなのかもしれません。


「じゃあ、俺が先に入って話を通して来るからよ。トウリはちょっと待っとけや」

「はい、曹長殿」

「その間に緊張ほぐしとけ、カチコチになってヴェルディ様に余計な時間を取らせるなよ」


 ヴェルディさんは、今や少佐になられたそうです。


 少佐と言えば、初めて出会った時のレンヴェルさんと同じ立場。現在のオースティン軍の、最高権力者の一人と言っても過言ではありません。


 もう彼は、昔のように気やすく「ヴェルディさん」と声を掛けられる相手ではなくなっているのです。



「……失礼します。ガヴェル輸送隊長、入室します」

「ああ」



 テント越しに、懐かしいヴェルディさんの声が聞こえました。


 その声には、どこか威厳が乗っているかのように感じました。


「─────日の午後13時、我がガヴェル輸送小隊は敵兵を事前に発見し、これを迎撃する決断を致しました」

「ほう。続けてください」

「敵の規模は中隊と予想され……」


 彼はもう、オースティン軍の重鎮の一人です。


 今迄の様に、気さくな態度で部下に接することは難しいのでしょう。


「最後に、移動中に一人の落伍兵を保護致しました。歳若い少女兵ですが、先の戦闘にいて一定の戦果を挙げております。ヴェルディ少佐殿と面識があるとの事で、現在幕外に待機させております」

「ふぅん。ガヴェル曹長、報告は了解しました。よくやりましたね」

「あ、ありがとうございます。光栄です!」


 しっかりと、上下関係を意識した態度で面会に臨みましょう。


 自分が妙な事を言って、ヴェルディさんに恥を掻かせるわけにはいきません。


 誠心誠意、敬意をもって挨拶をしましょう。


 きっと彼ならば、昔のように優しい笑顔を浮かべて出迎えてくれると思いますが────



「ですが、最後の話は少し聞き逃せないですね。貴方は、何と仰いましたか?」

「え?」

「ガヴェル曹長。最後に、貴方が最後に発言した内容を確認しています」



 そんな感じに、ヴェルディさんに会うため呼吸を整えていると。


 目の前のテントから、底冷えのするような冷徹な声が響いてきました。



 ……あれ?


「不思議ですね。ガヴェル曹長、どうして貴方は何の身分の保証もされていない人間を、戦闘に参加させたのですか」

「いや、その、それは、アイツが落伍兵だと……」

「その証拠はありますか? 通信で、その方の軍籍の照合は行いましたか?」


 何の感情も籠っていないような、冷たい台詞。


 それは自分の知人の声の筈なのに、全然知らない人の話を聞いている様な感覚でした。


「貴方の見た通り、実は3日前の戦いでフラメールの敗残兵がオースティン領土内に逃げ込んでしまいました」

「……」

「そのフラメール人の兵士が私の命を狙うつもりならば、どういう手を使うでしょうね」

「あ、その、ソイツはオースティン語がペラペラで。それにまだ少女兵で」

「スパイがオースティン語を勉強していないなんて事がありえますか? ……無害そうな少女兵を、暗殺者として差し向ける可能性は考えませんでしたか? 貴方がすべきは、その者の軍籍を照合した後に私にアポイントを取って、連れてくるべきでした」


 くどくど、とテントの中でねちっこいお説教が続きます。


 自分からその様子はうかがえませんが、顔を青くして縮こまっているガヴェル曹長の姿が目に浮かぶようでした。


「先程の話によるとガヴェル曹長は、その娘の身分を確認せず私のテントの前に連れてきているのですね」

「あ、はい、その」

「彼女が手榴弾を隠して持ち込んでいれば、私も貴方もお陀仏だったわけですが。その自覚はありましたか」

「い、一応、ボディチェックは行っていまして」

「女性であれば隠す場所は幾らでもありますが。その全てをつつがなくチェックしたのですか」

「そ、そこまでは」


 ……ガヴェル曹長は、冷静に叱責をされ続けました。


 自分は、その、本当にヴェルディさんのテントに連れてこられているのでしょうか。


 別の、物凄く怖い人に紹介されそうになっているのではないでしょうか。


「途中の敵の撃退報告までは、貴方を褒める気でいたのですが。非常に残念ですよ、ガヴェル曹長」

「す、すみません」

「それで、どうするのです」

「あ、アイツはいったん連れて帰ります。それで軍籍を照合した後、身分を確認して改めてアポイントを」

「よろしい」


 ガヴェル曹長はボソボソと、意気消沈して返事をしました。


 どうやら今日は、ヴェルディさんに会うことは出来ないみたいですね。


 ……まぁ、確かに今の自分が怪しいというのは納得です。


 少佐になったヴェルディさんが警戒するのも無理はないでしょう。




「……あ、その」

「話は聞こえていました、ガヴェル曹長殿」

「そっか」


 彼はテントを出てきた後、申し訳なさそうに自分に話しかけてきました。


 残念ですが、今日は出直しましょう。


「すまんな、その、軍籍の照合は少し時間がかかるらしいが。それまでは俺の隊で保護してやるよ」

「ええ、ありがとうございます」

「お前の、フルネームを聞いていいか?」

「トウリ・ロウです。……ですが恐らく、軍籍はトウリ・ノエルで登録しています」

「トウリ・ノエルね。分かった、じゃあ今から情報部に────」


 ガヴェル曹長はしょんぼりした顔で、肩を落としていました。


 厳しいお説教でしたが、これもヴェルディさんの愛あっての事でしょう。


 自分が原因の一端ではあるので、よく慰めてあげましょう。



「────って! トウリちゃんだって!?」

「ひあっ!?」



 そんな事を考えつつ、テントに背を向けた直後。


 凄い声を上げて、眼鏡姿のヴェルディさんがテントから飛び出してきました。

 

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