第39話4月24日①

 今日は休日なので、デートの日だ。午前はガーベラと過ごすことになる。

 そうして街中へ出掛けたのだが、ガーベラは片っ端から屋台の食べ物を食べている。実はガーベラは、その体のどこにそんなに入るのかというほどによく食べる。

 学園からの支給金は恐らく全て食費になるのではないかという勢いだ。それでも俺たちと食べるときは、作るのが負担になってしまうのである程度セーブしてくれているらしいが。

 そうやって食べているとようやく落ち着いたのだろう、屋台に並ぶのをやめた。


「まだまだ食べられるけど、折角のデートなんだしアルスともっと話したいよね!」


 違った。まだ食べられるらしいが、デートを楽しみたいとのことだった。そういうことであれば、俺もガーベラと会話を楽しみたい。食べている姿も見ていて楽しいものではあるのだが。ということで、話を振ってみる。


「昨日のトーナメントは残念だったね」


「そうだね~、あの本に書かれていたことを試してみたんだけどカトレアには通用しなかったよ」


「見ていた限りじゃ分からなかったけど、そんなことをしていたんだね」


「そうだよ!闘気を溜めて一気に放出するんだ!でもカトレアには完全に受けられちゃったんだけど。硬すぎるよね!」


「俺からはなんとも言えないけど、カトレアは真名にも誓ってるからな。簡単にはいかないと思うよ」


「だよね!僕どうしたらいいのかな?」


「ガーベラはガーベラのやりたいことをやればいいと思うよ。ガーベラも真名に誓っただろ?」


「そうかな?そうだね!僕は僕が信じることをやっていくよ!」


「その調子だよ。頑張って」


「うん!ありがとう!お陰でなんだか吹っ切れたよ。安心したらまたお腹空いてきちゃった。あっ、あれ美味しそう!すいませーん!それ3本ください!」


 今、食べに行くのか!?と驚いてしまったが、これがガーベラらしさかなとも思う。一番自由で一番まっすぐ。いつも笑顔を浮かべていて、周りも明るくしてしまうような太陽みたいな存在。


「そんなまぶしいガーベラが好きだよ」


「うん!僕も好きだよ!」


 なんとも清々しい返事だ。でも、こういうのもありだろう。そのあとも楽しく話をしたり、ガーベラがなにか食べているのを眺めながらいつもの露店に行く。

 そこで商品を銀貨1枚で買い、去ろうとしたところで、声を掛けられた。


「今日も店仕舞いなんだ。悪いがもう一つ買っていきな」


 ということなので、もう一つ銀貨を払い商品を受け取ってから店を後にする。そのあとはいつもの広場に行き、ガーベラにプレゼントを渡す。


「ありがとう!さっそく着けちゃうね!」


 そうしてガーベラの腕には、瞳と同じ赤い竜の模様が入ったブレスレットが着けられていた。


「よく似合うよ」


「ありがとう!なんだかガーネット様みたいだね!」


「俺もそう思って、ガーベラに似合うと思ったんだ」


「そうなんだ!僕とっても嬉しい!」


「喜んでもらえたなら良かったよ」


 そのあとはベンチに座って静かな時間を、なんてことになるはずもなく。ガーベラと時間になるまで楽しく話し続けるのだった。

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