第37話4月23日①

 それは誰かの──恐らくはアスターだったと思う──からの一言で始まった。私たちの中で一番強いのって誰なのか?と。一番強いで言えば全員を魅了できるリコリスではあるだろう。しかし、その他は全く予想が着かない。そんなわけでトーナメントが始まった。殿堂入りのリコリスとまだ未熟であまり戦闘のできないクロユリを除いて、シード2枠でくじ引きをすることになった。霊力の高いスイセンとネモフィラがシード枠なのがまた。これも実力のうちなのだろう。


 最初はアスターとナデシコで模擬戦だ。

 ナデシコが多彩な技を使いアスターがナデシコの力を写し取り、真名の力も使って力押しで破っていくという最初から高度な戦いが展開された。最終的には力を使い果たしたナデシコが棄権する形で決着が着いた。


 ちなみにアスターがリコリスに変身すれば、それで終わってしまうのでは?と聞いたら、その手があったっす!と気付いていなかったようだ。これはアスターも殿堂入りなのでは?と思ったがシードであるスイセンがやってみたいと言ったので続行することに。


 次はカトレアとガーベラの模擬戦だ。

 カトレアの防御をガーベラが抜くことができず、これはあっさりとカトレアの勝利で終わった。


 次は中でも注目のスイセンとリコリスの魅了を写し取ると宣言しているアスターの模擬戦だ。

 スイセンはどう攻略するのかと思っていたのだが、アスターがリコリスの力を写し取って魅了を発動させるまでの間に不透明な氷の壁を張ってしまった。そしてそのままアスターを氷で囲って勝利という、アスター対策として完璧に対応してみせた。


 リコリスもこういった形で、魅了の弱点を付いてくるとは思わなかったと語った。これは実際にリコリスに通用するのかスイセンに聞いてみたが、ノータイムで魅了をかけられるリコリスの場合は間に合うか分からないとのことだった。


 実際に挑んでみるのかと聞いたところ、そのつもりはないがもしやるなら俺の知らないところでやるらしい。

 序列争いはしないが、プライドは持っているとの回答をいただいた。そういうことであれば、俺も無理に見ようとは思わない。


 次はカトレアとネモフィラの模擬戦だ。

 これはカトレアの防御を抜けないネモフィラと、ネモフィラを捉えられないカトレアで膠着状態に陥った。

 カトレアは眷属であるコウモリを使う、物量作戦にも出たのだがそれでも捉えることはできなかった。

 結果として、引き分けということになった。


 ここで、変則的ではあるがスイセンとそれぞれ模擬戦を行うこととしトップを決めることとなった。


 カトレアとスイセンの模擬戦は、スイセンがあっさりとカトレアを氷で囲ったことで決着が付き。

 スイセンとネモフィラの模擬戦はスイセンが開幕で周囲に吹雪を起こしたことで攻防一体としつつ、ネモフィラの逃げる場所を氷で潰して捕らえることに成功し勝利。


 ということで、リコリスを抜かした場合スイセンがトップということが決まったことでこの唐突なトーナメントは終わりを告げた。

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