わ~い
『
おまえは魔法使いか。
いいえ。
「私は魔法使いではありませんし、妖精やペガサスなどの魔法生物でもありません」
魔法生物。
生まれつき特定の魔法を使える人間以外の生物を指す。
人化できる種族もおり、その中には自分が魔法生物だと隠して人間として暮らすものも居る。
「申し訳ありません。社長が、もしくは私がこれからも命を狙われる可能性がある以上、魔法使いであれば、いいえ、せめて、何らかの護衛技術を得ていれば、自らの身を守る事ができたばかりか、社長と
「いやいやなに。謝罪する必要はない。ただの確認じゃ。魔法使いしか入れない地区もあるのでの。まあ、自衛組のわしが居れば、ちょちょいのちょいでそんな地区も入れるので安心せい。それに、自衛できるに越した事はないが、それでは護衛役を買って出たわしの立つ瀬がないからのう。しかも、おまえは幼児化してしまった身。
「頼りにしてるぜ。
「おまえは自衛が第一の仕事。いや、
「うん。本当に見事な循環だ」
「いえ、どう考えても、私だけが循環していないですが」
「そう思っておるのなら、そう思い込んでおるだけじゃ。安心せい。おまえも循環しておる」
「そうだ。
「何でしょうか?」
「俺を社長ではなく、
「おお。そうじゃ。社長でも
「そうそう。だから、呼んでみ?」
「はあ。それで、社長の力になるのならば。ごほん。失礼します。
「何じゃ?
「いいえ。ただ、そんな感じがしただけです」
「そうなのか?
「まあね。もっと、ためらってほしかった。え。そんな、社長をいきなり名前で呼べませんって、もじもじしてほしかった。それにー。社長の方が呼び方的には親近感があったっていうかー。名前呼びになった途端、一気に距離が広がったっていうかー。一気に温かみがなくなったっていうかー」
「私はどうすればいいのですか?」
「いやいやいいのようん。俺が慣れればいいだけだし。だからこれからは名前で呼んでくれ」
「わかりました」
「よし!これでわしたちは最強のパーティーになったぞい!」
「イエイ!」
「わ。わ~い」
(2024.6.19)
しののめの影の息吹 藤泉都理 @fujitori
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