第4話 クロカン

 季節は梅雨の時期に入っていた。連日雨が降り、部活は室内で筋肉トレーニングをするメニューが続いていた。久しくサッカーボールを蹴れておらず、地区大会の開催日が迫っていることもあり、部の空気はピリピリとしていた。

 今日もまた筋トレか、と窓から恨めしく空を見上げていると、

「水沢はいるか?」

 体育の大堀先生が、教室の前方の戸から体を半分だけ出していた。大堀先生が僕に何の用事だろうか、と不思議に思いながら廊下に出る。

「水沢、この間のクロカンのタイムを覚えてるか?」

 大堀先生が前置きもなく訊ねてきた。先生には日頃からこういうところがある。足の速さと比例しているのか、せっかちで早とちりな性分だ。

「えーっと……」

 僕は予想外の質問に戸惑いながら空で先週の記憶を思い返した。

 坂田第一中学校では、毎年六月にクロスカントリー大会が開催される。学区内にある約二キロのクロスカントリーコースを一周する競技会だ。たかだが体育の授業の一環で、この大会に本気で挑んでいる生徒はあまりいない。

 目を閉じて頭を回転させるが、タイムを思い出せそうにない。

「陸上部のヤツらを差し置いて全校で一位だったんだから、もっと興味を持ってくれよなあ……」

 どうやらタイムアップのようだ。僕の回答を待ちきれなかった大堀先生が溜め息を吐いた。

「水沢のこの間のタイムな、全国レベルなんだよ」

 大堀先生が僕の肩に手を置いた。目を開けると、想像していた以上に近い距離に大堀先生の顔があった。

「水沢。陸上、本気でやってみないか?」

 痛い。

 大堀先生の目が、僕の目を射抜いていた。

「お前のその才能なら、高校から陸上を始めたって全然遅くないんだぞ。なんなら陸上は、高校から始める者も多いんだ。実をいうと俺もな、高校から陸上を始めたクチなんだ」

 僕の姿が見えていないかのように、大堀先生が語り始める。

「俺は中学生のときは野球部だったんだが、どうにもバッティングが苦手でなあ。三年生になってもレギュラーになれず、代走でしか活躍の場がなかったんだ。それで高校から陸上部に転向したんだ」

 大堀先生はまだ気づかない。僕が大堀先生の話にちっとも耳を傾けていないことに。

「ところが陸上部に入ったら、短距離走で入賞できるようになってな。陸上は個人競技が多いから、自分の努力次第で活躍できる可能性が他のスポーツよりも高いんだ」

 大堀先生が肩を開いて胸を張った。

 僕と大堀先生の後ろを、二人組の女子生徒が楽しそうに笑いながらすれ違っていく。

「大堀先生は、どうしておれに陸上部を勧めるんですか?」

 僕の喉はすっかり乾いていた。

「どうしてって、水沢のクロカンのタイムが全国レベルだって言っただろう?」

 大堀先生が不思議そうに目を引っ込めた。

 もし海斗が僕と同じタイムを出していたら、大堀先生は海斗に陸上部を勧めたりするだろうか。僕だったから、陸上の世界に誘っているのではないだろうか。 

「もし高校で陸上を始める気になったら、いくらでも進路の相談に乗るから声を掛けてくれよ。高校の陸上部の先生を紹介してやるぞ」

 大堀先生は腕時計に目を落とすと、あっさりと去って行った。

 僕ももう動き出していいはずなのに足が動かなかった。いや、頭が動かなかった。掻き乱された心が、ちゃぷちゃぷと波音を立てている。

 走るのは好きだ。好きだけど、サッカーのほうが好きだ。ずっと好きだ。

 僕が好きなのは、サッカーなんだ。

 大堀先生にそう言ってはっきり断らなかったのは、どうしてなんだろうか。

 僕はすぐにでも走り出したかったが、雨の音が気になってそれができなかった。



 僕と涼介を中心に三年生で話し合い、遊佐さんに平日の部活もコーチをしてくれるように頼んだ。大会に対する本気度が伝わったのか、遊佐さんはさすがに毎日とまではいかないが、可能な限り部活に顔を出してくれると約束してくれた。その約束通り、練習の残り時間が三十分を切っていても駆けつけてくれる日があるくらいだった。

 久しぶりの野外練習が終わると、いつも一緒に下校している涼介に、遊佐さんに用事があると伝えて先に帰ってもらった。

 今日の遊佐さんは、残業後に練習に駆けつけてくれており、いつもより疲れているだろうに、嫌な顔をせずに承諾してくれた。せっかくならファミレスにでも行くかと提案されたが、静かなところで話がしたいと言ってその誘いを断った。夕方のファミレスは高校生の溜まり場になっており、落ち着けない気がしたからだ。

 僕がジャージから制服に着替えている間、遊佐さんが近くのコンビニからコカ・コーラを買ってきてくれた。放課後の買い食いは禁止されているが、OBからの差し入れとならば許されるだろう。僕と遊佐さんは、フェンスに並んで寄りかかってコカ・コーラを飲んだ。

 見上げた空はまだ薄明るく、今手に持っているコカ・コーラの缶の色だった。もう本当にすぐそこまで夏が来ているんだな、と思いながら、僕は乾いた喉に炭酸を流した。

「遊佐さんって、坂工の何科に通っていたんですか?」

 僕は炭酸で込み上げてきた空気を引っ込めながら話を切り出した。遊佐さんが坂工出身であることは知っていたが、学科までは知らなかった。

「土木科だ」

 遊佐さんが目をギュッと閉じながら答えた。冷たいものを一気に飲んだせいで、おそらく頭にキーンときたのだろう。

「だから計測は得意だぞ」

 遊佐さんが目を閉じたまま、体が反るほど胸を張った。

「それから、俺ほどヘルメットが似合う男もいないぜ」

 ようやく目を開けた遊佐さんが、今度は決めポーズと言わんばかりに親指をピンと突き立てた。

「高校は楽しかったですか?」

「ああ。すげー楽しかった! クラスには男しかいなかったけど、いまだにアイツらとは月に一回は集まって飲んでるしなあ……」

 遊佐さんが満面の笑みで言った。普段「彼女がほしい」が口癖の遊佐さんだが、きっとその言葉に嘘はないんだろうなと思った。

「工業高校は、普通科と違って専門的な勉強もするんですよね? 入学してから、なんか違うなってなる人はいないんですか?」

 僕の質問に、遊佐さんは一瞬真顔になってから、

「そう言えば、俺たちのクラスに、一人だけ中退したヤツがいたな。そいつが高校をやめたのは、確か一年生の夏休み明けだったかな……」

 遊佐さんが空を見上げながら答えた。

「その人は、坂工に入学したことを後悔して中退したんですか?」

「いいや。それとはまた別の理由だな。夏休みに東京でとあるバンドのライブを観て、えらく感銘を受けたんだってさ。それで急に、自分もバンドマンになるとか言い出して、あっさり高校を辞めて上京しちまったんだ。武道館でライブをすることになったら、俺たちを招待してくれるとか言ってたなあ……」

 遊佐さんの目が、少年のもののように潤んだ。

「その中退した人は、武道館でライブができるくらいに成功したんですか?」

「まさか」

 遊佐さんが顔の前で手を激しく振った。

「そんなに人生、甘くないぞ」

 晴太はロマンチストだな、と遊佐さんが笑った。

「それならその人は、今何をしてるんですか?」

「巷だと、動画配信者になっているらしいっていう噂だが、本当かどうかはわからない。坂田に戻ってきていないのは確かなんだが……」

 遊佐さんが顎に手を当てた。

「そうなんですね……」

「こんな田舎町じゃ、引きこもるにも限界があるからな。戻ってきてたらすぐにわかるさ。中卒だし、その日暮らしみたいな適当な人生を送っているのが関の山だろう……」

 遊佐さんの口から少し厳しい言葉が出てきて、ああこの人もなんだかんだいって大人だったんだと気づかされる。彼女がいる部員に「さっさと別れろ」と詰め寄っていた人と同一人物だとは思えない。

「……で、晴太は、本当は何が知りたいんだ?」

 遊佐さんが僕の目をじっと見つめてきた。

「晴太が本当に知りたいことは、そいつのなれの果てじゃないだろう?」

 遊佐さんの重たい声に、僕の喉元がきゅっと絞まった。急に頭が回らなくなり、次の言葉が出てこない。その代わりに、喉がわなわなと震え始めた。それは決して炭酸を飲んだからではなかった。

 遊佐さんは、そんな僕を辛抱強く待ってくれた。

 烏がつまらなそうに鳴き声を上げながら、電線から別の電線へと飛び交っている。

「おれ、志望校に迷っていて……それで……」

 ようやく口から出てきた言葉は、僕を支配している感情のほんの一部だった。

「なるほどな。推薦の打診はきてるんだろう?」

「四校から……」

「四校も貰えれば大漁じゃないか。推薦をくれたどの学校に進学するかを悩んでいるのか?」

「そう言うんじゃなくて……」

「条件が不満なのか?」

「そう言うのでもなくて……」

 僕は答えると同時に首を振った。

「複雑な事情があるんだな。まあ、俺から言えることがあるとすれば、ただ一つ」

 遊佐さんが一本指を空に突き付けた。

「悩め! 脳みそを振り絞るほど悩め! とことん悩め!  悩めるなんて、最高の贅沢だから。晴太にはまだわからねえと思うけど、若さが足りない人間はさ、悩むこともできないんだ。……ったく、青臭くて羨ましいぜ」

 遊佐さんが僕の頭を両手で抱えて左右に振った。

「遊佐さんに相談したのが間違いだった!」

 僕は遊佐さんの手を振り払いながら叫んだ。

「失礼なヤツだな。昔の話をしていたら、何だかビールが飲みたくなってきたな。ちなみにな、無限の選択肢で悩めるのが子どもの特権なら、昔話をつまみにアルコールを楽しめるのが大人の特権だ」

 遊佐さんが喉を鳴らすと同時に軽やかな音が鳴った。何だろうと思っていると、遊佐さんがジャージのポケットからスマートフォンを取り出した。

「……あ、噂をすれば、今月の招集だ」

 遊佐さんがスマートフォンの画面を僕に向けた。

「久しぶりに、大山の話を訊いてみるか」

「大山……?」

 心臓が、ドクンと一突きした。

「ああ。さっき話した中退したヤツの名前だよ」

「下の名前は?」

「真琴だけど、それがどうかしたか? もしかして大山のことを知ってるのか?」

 遊佐さんが怪訝そうに眉をひそめた。

「その大山って人、妹がいたりしますか?」

「さあな。大山とは中学校も一緒だったが、同じクラスになったのは、高校に入ってからで、アイツはすぐに中退したから、兄弟関係を話すほどの仲ではなかったしなあ……。少なくとも一、二歳年下の妹はいなかったと思うが……」

 同じ中学校ということは、もしかして……。

 僕が黙ったままでいると、

「気になるなら確かめてやろうか? 大山と小学校から一緒だったヤツなら、妹がいるかどうか知ってるかもしれない」

 言いながら遊佐さんは、早速とばかりにスマートフォンを操作し始めた。数分も経たずに通知音が鳴った。

「大山、妹がいるらしいぞ。いくつ歳が離れているかまでは覚えていないとのことだが、小学校の在学期間は重なっていなかったそうだ。それが本当なら、少なくとも六つは歳が離れていそうだな」

「もし六歳差だったら、僕と遊佐さんと同じですね」

「確かにそうだな」

 遊佐さんがしみじみといった様子で頷いた。

 また着信音が鳴った。

「やったぜ、焼き鳥だ!」

 遊佐さんの興味はすっかり呑み会に移ったようだ、体を上に伸ばしながら叫んだ。誰もいないグラウンドに遊佐さんの声が響いていた。

 


 翌日。昼休みに保健室に行くと、マリアの姿がなかった。

 僕が入口の前で立ったままでいると、

「大山さん、隣の空き教室にいるのよ」

 ベッドのシーツを直していた五十川先生が、マリアの居場所を教えてくれた。五十川先生は腰を曲げ、手のひらを使ってシーツの皺を伸ばしていた。

「隣……?」

 保健室の隣に何の部屋があるのか、思い出そうとしたが思い出せなかった。いや、そもそも今まで気にしたことがなく、知らないと言ったほうが正しいだろう。

「今日は学校にスクールカウンセラーの先生が来ていて、大山さんはその方とお話をしているの」

 五十川先生が白衣で包んだ腰に手を当て、メイキングが終わったシーツを見下ろした。

「へえ……」

 僕はいつも座っている、マリアの正面に置いてある学習机の椅子ではなく、入口側に置いてあるソファに腰を下ろした。

「スクールカウンセラーの先生って、誰でも話を聞いてくれるんですか?」

「ええ。誰でも大歓迎よ」

 五十川先生は、もう一台のベッドのメイキングを開始していた。シーツの上を滑らせていた手を止め、わざわざ僕のほうを振り返って答えた。

「話って、何でもいいんですか? 例えば、進路の話とか……」

「もちろん。自分が悩んでいることとか、誰かに聞いてほしいこととか、何でも自由に話していいのよ。水沢くんも、スクールカウンセラーの先生と話してみる?」

「はい。話してみたいです」

 僕はソファから身を乗り出して答えた。

 学校に、そんな専門的な先生がいたとは知らなかった。

「水沢くんのこと、スクールカウンセラーの先生にお話しておくわ。今日は、もう昼休みが終わってしまうから、次回会いに行きましょう」

 五十川先生が微笑んだ。

「わかりました。お願いします」

 僕は五十川先生に向かって頭を下げた。

 スクールカウンセラーの先生は、一体どんな人なのだろうか。スクールカウンセラーの先生なら、マリアの心の支えになれるのだろうか。僕はそこに興味があった。

「五十川先生。マリアは一年生のときから保健室登校をしているんですよね? ずっと一人で寂しくなかったんでしょうか……?」

 五十川先生が、僕の向かい側のソファに腰を掛けた。

「実はね、去年はもう一人、保健室登校をしていた子がいたのよ」

「それで学習机が二つあるんですね」

 僕がよく使っている学習机の方は、そいういう理由があって置かれていたのか。

「そう。女の子だったこともあって、大山さん、彼女とは親しくしていたわね」

 僕が昼休みに保健室に通うようになって約二ヶ月経つが、マリアについてはまだまだ知らないことばかりだ。

「彼女が卒業して、大山さん心細かったと思うわ。でも最近は、水沢くんが保健室に遊びに来てくれるようになったから、寂しくないんじゃないかしら。前よりもずっと、よく笑うようになったし」

 五十川先生が笑顔を浮かべた。赤なのかピンクなのか判断に迷う色をした唇が、お手本のような曲線を描いた。

「そう言えば、五十川先生は、この学校に赴任して何年目ですか?」

 僕は照れくさくなって話題を変えた。

「私は今年で四年目よ」

「ここに通っていた生徒のことで聞きたいことがあったんですけど、その人は六年前の卒業生なので、四年前だと五十川先生は知らないですよね」

「そうね。わからないと思うわ。力になれなくて残念だわ。確か教頭先生が今年で七年目って仰っていたかしら」

 五十川先生が口元に手を当てた。

「教頭先生って、そんなに長い間、この学校にいるんですね。そりゃあ、おれの兄ちゃんのことも知っているわけですね」

「水沢くんのお兄さんなら、私も覚えているわよ」

「本当ですか?」

 僕の兄は、決して目立つ生徒ではなかったはずだ。成績が特別よかったわけでも、スポーツが得意だったわけでもない。ましてやモデルのような容姿をしていたわけでもない。

「ええ。お兄さんもよく保健室に来ていたのよ」

「ええっ? 一体何の用事で?」

 どきり、と心臓が震えた。

「そんなに驚くことかしら。水沢くんのお兄さん、保健委員だったの。それも委員長よ。だから保健室には定期的に出入りをしていたのよ」

「そうだったのか……」

 一瞬、兄が保健室登校をしていたのかと思った。

「そんな話、初めて聞きました」

 僕は心臓を撫で下ろしながら言った。兄とは不仲なわけではないが、在籍期間が重なっていた小学生時代と違い、小学生と中学生、中学生と高校生の間柄になると共通の会話もなく、顔を合わせてもそれまでだ。

「それにしても、まさか五十川先生が、おれと兄が兄弟だってことを知っていたなんて驚きです」

 そのことを知っているのは、担任の吹浦先生くらいだと思っていた。ましてや、生徒と関わる機会が少ない保健医の五十川先生が知っていたとは意外だ。

「そういう情報は、自然と入ってくるものなのよ」

 五十川先生が子どもっぽい顔で笑った。

「それにあの代は、修学旅行がとても大変だったから、特別よく覚えているわ……」

 五十川先生の顔が曇った。

「修学旅行?」

「先生たちの間では『地獄の修学旅行』と呼ばれ、今でもそのときの話が引き継がれているのよ」

 五十川先生が頬に手を添え、息を吐き出した。

「お兄さんから話を聞いたことはないかしら?」

「いえ、聞いたことないと思います……」

 兄の修学旅行に関する記憶は、お土産として東京ばな奈を貰ったことくらいしか覚えていない。

「修学旅行中に、生徒の四分の一がインフルエンザに掛かったのよ。それで先生たちが総出で、坂田と東京を何度も往復して、体調不良になった生徒を引率したの。宿泊先の旅館が大部屋だったせいで、集団感染してしまったのよ」

 五十川先生が当時の心境を伝えるように、もう一度深い溜め息を吐いた。

「それは大変でしたね」

「本当に大変だったわ。数時間置きに体調を崩す生徒が現れるのよ。同行していたクラス担任の先生たちだけではとても回しきれなくて、一、二年生の授業を自習にして、他の学年の先生たちも借り出されて……。教頭先生なんて、飛行機と電車を上手いこと使って、一日に二往復もしたのよ」

 兄は体調を崩すことなく、最後まで修学旅行に参加していたはずだ。それもあって、僕は覚えていないのだろう。

「水沢くんは保健委員としてお手伝いをしてくれたの。あのときは、とっても助かったわ。今年の修学旅行は何事もないといいわね」

「そうですね。そう言えば、マリアは修学旅行に参加するんですかね?」

 修学旅行は、今年も東京に二泊三日だ。一日目と三日目は集団行動だが、二日目は自由行動の日程である。

「大山さん、今のところは欠席する予定だそうよ」

「そうなんですね」

 残念だな、と口から漏れた。

「水沢くんから誘ってみたらどうかしら?」

「ええ!? おれが?」

 五十川先生からの突然の提案に、思わず声が裏返った。

「水沢くん、大山さんと一緒に修学旅行に行きたいんでしょう? 水沢くんが誘ったら、もしかしたら気が変わるかもしれないわよ」

 五十川先生が、ふふふ、と小さな笑い声を零した。

 果たしてそんなことがあるだろうか。マリアと一緒に修学旅行に行けたら楽しいだろうが、マリアがクラスのみんなの中にいる姿は上手く想像できない。

 僕は首の後ろが痛くなるまで、真っ白な天井を眺めていた。

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