今日のお詫び

山田波秋

第1話

テレビ局の偏向報道に対してインターネットが発達した今は『嘘がすぐにバレる』時代になった。


今までは「訂正してお詫び申し上げます」だけで済ませていたのだが、それだけではネットの炎上は止まらない。


結果として2026年、地上波放送権を持つテレビ局に対して午後21時から30分間『本日のお詫び』を報道する義務が課せられた。視聴者からの指摘に対して「間違っていたのか、間違っていたら正しい情報を出してお詫びする」番組である。


ネットでは「数値と円グラフが合ってない!」とか「インタビューの一部を切り取って別の意味で放送した」とかの情報が匿名掲示板に寄せられ、それらをまとめて放送局に”通報”する。


視聴者はその番組を見て「誤りを認めるアナウンサー、コメンテーター」に対して「ほら言った通りだ」と満足する。

特にコメンテーターが謝る姿は爽快であった。今まで「正義の味方」「庶民の味方」と演じていたコメンテーターが、いかに嘘をついていたか?を知ることとなった。


結果的に、その謝る姿を見たいが為に、この番組が1番視聴率が取れる事となった。

実に皮肉なものである。


そうなってくると逆にワクワクしてくるのがテレビマンの性。

巧妙にニュースやワイドショーに偏向・歪曲放送を差し込むことにより『本日のお詫び』に対してさらなる視聴率を取ろうとする。


国民 対 テレビ局


簡単な話だ。テレビ局は夜の21時半から翌日の21時までにどれだけ「ウソ」を紛れ込ませるか?

つまり、国民は「ウソ」を見つけるためにそのテレビ局の番組を見続ける事となるわけだ。


円グラフの数値とグラフを変えてみたり、テレビ局はあらゆる「ウソ」を仕込む。国民はそれを見つけて訂正を要求する。


もちろん闇雲に「嘘だ!」と言うと視聴者が誤りを認める事になる。結果的に「嘘をウソを見抜ける」能力が必要となる。


「チェック、ダブルチェック」と言う言葉は、昔飛行機の墜落事故があった際の報道のあり方を問いた映画のセリフであったが、国民が「チェック、ダブルチェック」をするようになった。つまり国民が色々なソースから「『ウラ』を取る」作業をするようになった。


いろいろな情報ソースを組み合わせて「真実」を探し出す。インタビューとかも別の局やネットにアップされている実際のインタビューを隈なく見て「真実」を知る。


結果、国民はテレビを”信じる”のではなく”疑って”見るようになった。結果的に10代20代の学力向上につながった。


「テレビを見るとバカになる」と言われて何年経っただろうか…。もちろん、当時はバラエティー番組に対する皮肉であった。


しかし、皮肉にも「テレビを見ると(本当を知るために)賢くなる」事となった。テレビは歪な形で復権する事になる。


世の中わからないものである…

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今日のお詫び 山田波秋 @namiaki

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