二年後の流れ星
Rotten flower
第1話
「
私は将来、医者になりたいです。
いろいろな人を救って笑顔にしたいです。
願わくば、世界から病気がなくなってほしいです。
」
私は学校へ行くようになった。そのあとぐらいのことだっただろうか。この国の南のあたりに爆弾が落ちた。敵国からの宣戦布告だとなり、世界を渦に巻き込む戦争が始まった。父が戦死して、私は酷く悲しくなった。
ちょうどあの願いから二年ぐらいだっただろうか。
あの日見た空と同じ、きっと同じ流れ星が流れた。
「
医者になろうなんて思いませんから、早く戦争をやめてください。
戦争をやめてみんなを笑顔にしてください。
」
結局戦争が終わった。そこまでは私が願った通りになった。今の私の首には鎖が繋がれている。親とは離れ離れになって。唯一明るいことと言えば新しい服を買ってもらえるようになったぐらいだろう。
二年前、あの願いはきっと曲解されてしまったのだろう。戦争は終わった。確かに終わったが、今も私は不幸せだ。
あの場所に戻ってきた、違うのは首輪がついていること。あの日の夜空と同じ流れ星が流れた。
私はまた願う。
「
あの日、あの時。家族みんなで笑い合えたあの時間。あれを私にください。私にはそれだけでいいです。
」
食卓を囲む。明るいランプに照らし出された家族、笑顔で話す娘と、美味しい料理に舌鼓を打つ夫、それを見て笑顔が移る母の姿が映し出されている。
娘が縁側から外を眺めると、そこには美しい流れ星が流れていた。
二年後の流れ星 Rotten flower @Rotten_flower
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