星さん、またね

妄想先生

第1話

都会から離れたとある田舎町。

暗い暗い夜中に、少年が1人で丘の上から空を眺めていた。

沢山の星が輝く中で一際輝く青い星。少年はその青い星が大好きで、星が見える日は毎晩こっそり抜け出して1人で空を見上げていた。

「ねぇ君、お星様が好きなの?」

毎晩のように星を見ていると、突然見知らぬ少女が声をかけてきた。綺麗なその瞳は、まるで少年が好きな青い星のようだった。

「うん!特にあの青い星が大好きなんだ!」

少年は指を刺しながら笑顔で答える。

「そうなんだ。私も好きだよお星様。一緒だね」

その少女は星が見える夜には必ず少年に会いに来るようになった。

2人はどんどん仲良くなり、遊んだり色んな話をするようになっていった。そして日に日に青い星の輝きは強くなっていった。

「ねぇ、どうしてあの青い星が好きなの?」

「うーん、なんだかあの青い星を見てると心があったかくなるんだ。1人じゃない気がして。」

「ひとりじゃない?」

「うん。ぼくのお父さんとお母さんはぼくがちっちゃい時に死んじゃったんだって。でも寂しくないよ。青い星が、一緒だから」

「そっか…」

少年は強がるわけでもなく、青い星を見ながら微笑んでいた。

しかし少女はどこか悲しげだった。

それからも2人は毎日丘の上で遊んでいた。その度に青い星は輝きを増していった。

「今日大人たちがあの星の噂をしてたんだ。これ以上こっちに近づいたら危ないからって…」

「……….」

「青い星、こわしちゃうんだって…」

「…、こわい?」

「ううん、ぼくは…、ここに近づきすぎて危なくなったとしても、青い星はこわしてほしくない…。ぼく、青い星が大好きだから」

「きっと君だけだね、そんなこと言うのは。ねぇ、明日もここで会おうね。ぜったい」

2人は小指を交わらせる。その時の2人の顔は色んな気持ちでぐちゃぐちゃだった。

そして次の日、少年はいつものように家を抜け出し丘へと向かう。

そう、いつものように。

君に会うために。

少女はすでに丘の上で空を眺めていた。一際輝く青い星。

「わたし帰らないといけなくなったんだ。長く留まりすぎたみたい。」

遠くで大きな音が響く。

「そろそろいかなきゃ」

少女は隣に立つ少年に背を向け走り出す。

「まって!もうちょっとだけ!」

「ありがとう、私も大好きだよ」

「え…?」

その時大きな爆発音が響いた。

少年は反射的に腕で顔を覆い隠し、目を開けた時には少女の姿も青い星も消えていた。


ほんとうは もっと いっしょに

いたかった。だから つぎ うまれたら 

またみつけて

愛してね


その言葉は少年には届かない。

彼が真実を知ることは無いだろう。

それが意識か無意識か

少年は数多の星が輝く空を見ながらつぶやく。

「星さん、またね。」

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星さん、またね 妄想先生 @Mousou_Sensei

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