第22話  最終話 青木刑事部へ

そんな訳で俺は日本酒二本提げて吉田家を訪ねた。吉田家の大広間は大賑わいだった。娘さん夫婦達も大歓迎してくれた。命の恩人が居なかったら、こんな場は設けらせなかったと娘達から感謝された。なにせ父が息子と宣言しているくらいだから、その歓迎ぶりは度を越えていた。

「今日はお招きを頂きありがとう御座います。それと報告があります」

「なに?  まさか警部補に昇進なんて言うんじゃないだろうな」

「まさかそう甘くありませんよ。巡査部長だってオマケみたいなものですから」


 俺はおどけながら直立不動してみんなの顔を見渡し。

「本官は来月付けで刑事課に配属が命じられました。大先輩に刑事の心得を教わりたいと思います」

 吉田さんには以前から刑事になりたいと話していた。悔いはないのかと問われたが、私の夢でしたからと伝えてあった。みんなが拍手喝采し祝ってくれた。

 ただ俺が刑事になれたのは吉田さんが総務課長や森下警部に青木の希望を叶えて欲しいと頼んであったらしい。俺がそれを知ったのは数年先の事である。

「青木、おめでとう。でも伝授するのは嫁を貰う心得だ。見合い写真を渡したがまだ返事貰ってないぞ。それとも光来軒の娘が忘れられないのか?」

 みんながドッと笑った。


  了

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警察官 出版記念作品 西山鷹志 @xacu1822

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