校内放送

雨宮 徹

校内放送

 僕は困っていた。美術室の黒板にいたずら書きをしたら、こんな校内放送があったのだ。「美術室の黒板にいたずら書きをした生徒は職員室に来なさい」と。


 僕は当然名乗りでないつもりだった。しかし、一緒にいた友人が言った。「お前が書いたんだ、いいつけてやる」と。


 結局、僕は友人によっていいつけられて、職員室に呼び出されるはめになった。黒板にいたずら書きしただけで、先生が雷を落とすなんて、おかしな話じゃないか。


 雷が落ちるのを覚悟していたら、美術の先生はこう言った。


「黒板の絵はすばらしかったわ! あなたには芸術家としての才能がある! でも、黒板に書いたから、消えてしまうのがもったいないわ」と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

校内放送 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ