Cランクダンジョン破壊編

第7話

親父の墓参りをしてCランクダンジョンに潜ろうと思う。


いつも通りアロハシャツを着てサングラスをかけて原付にのり親父の墓を目指す。


家の前の道路がピンクで鮮やか。何回見ても心が穏やかだ。


家から50分乗って初めて来る人は120%迷子になるであろう山の奥の寺に来た。


寺の桶と柄杓を借り水を入れ、親父の墓前まで行く。

何度見てもうちの墓はわかりやすい。


精霊が集まっているから。

この何基あるかわからないなかで唯一、親父の墓だけ精霊が集まっている。

この精霊達のおかげで墓がずっと綺麗だ。綺麗な花が咲き乱れ甘い匂いも漂う。


『ひさしぶりー』

『やぁ』

『お土産は?』

『ひさしぶりー!!』

『ここね、熊さんが来るんだよーおっきいんだよー!!』

『元気?』


妖精達が騒ぎながら寄ってくる。


「やぁ。俺は元気だぜ。いつも墓守ありがとうな。親父は絶対喜んでるぜ。そんで残念ながらお土産はねぇんだわ。今日はダンジョンってのに潜るから荷物は最低限にしときたいんだよ。だが魔力水ぐらいはあげれるから今日は勘弁してくれ。今度ホールでショートケーキ持ってくるからよ。」


『言ったね!!』

『ショートケーキ!!』

『ホール!!ホール!!』

『魔力水!!魔力水!!』

『早く、早く、魔力水!!』


1人の妖精が言った。


『えー、ダンジョンに行く前に魔力水は大丈夫なの?』


「当たり前よ。普段魔力なんて使わずみんなの力借りてるだけだからよ。魔力なんてあってもなくても変わらないんだよ。まぁ回復もするし気にすんな」


『そっか、なら遠慮なく魔力水をもらってあげる!!』

『魔力水!!』

『魔力水!!』

『魔力水!!』


魔力を水に溶かして墓に柄杓で水をかけ、さらにもっと魔力を水に溶かして妖精用の石グラスに注ぐ。


『ありがとー』

『ありがとー』

『ありがとなー!!』

『元気でなー!!』

『また来いよー!!』

『ショートケーキ忘れんなよー!!』

『ダンジョンには気をつけろよー!!』


「おう!また来るわ!!墓守よろしくなー!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る