異世界転生の際に手に入れたチート能力で武器商人としてこの世界を牛耳っていたのがバレたw世界中の勇者に命を狙われてて草

陽炎

武器商人、仲間を増やす。

社長!命、狙われてます……。

ドッシーーーン!!


 わたくしユージ、数秒前まで元気いっぱいに空を飛び回ってたレッドドラゴンを撃ち落としました。


 この世界に転生する時に神様に貰ったスキルの一つ、自在に雷を落とすことができる能力。何発でも撃てる。使い勝手が良くて俺のお気に入りだ。


 本当は勇者が倒さないといけないモンスターなんだけど、そのうち復活するから大丈夫だろう。流石に勇者たちもまだこの最終ステージまでこないだろうからな。


 なにはともあれ、コイツの牙と、昨日周回したブルータイガー(頭三つあるから素材集めしやすいんだよな)の牙で作る大剣の注文が多くて困るんだよなぁ。


 けど、昨日はフードで顔を隠した怪しい奴に納品したし、明日山賊二十人に納品すればとりあえず落ち着くな。早めに素材持って帰って加工しないと。魔王との会食に遅れてしまう。



 さっそくレッドドラゴンから素材を頂いていると、部下のマリーが馬に乗って全速力で駆けてきた。小柄な女の子だから馬に振り下ろされて吹っ飛んで行きそうだ。


「社長ー!これ見てくださいー!」


 左手で手綱を持ち、右手で何やら新聞のようなものを振っている。


「マリー!馬を危険な場所に連れてくるなと言ったろ?」


 俺が後ろの今にも噴火しそうな火山を指さしながら言うと、マリーは待ってましたと言わんばかりにドヤ顔をした。


「心配いらないよ!私ね、ついに耐火の魔法を使えるようになったんだ!」


 見ててね、と近くのレッドスパイダーに魔法をかけようとするが、いっこうにかかる気配が無い。


「あっ……あれ……?」


「そいつ元々耐火持ってるぞ……」


「あっ……」


「…………」


 俺が黙っていると、マリーは「そんなことはどうでも良くて!」と必死に誤魔化した。


「これ!これ見てくださいよ!」


「ん?やっぱり新聞か。えーっと……?」


 その新聞の大見出しにはこう書かれていた。


『ここ最近のモンスターや山賊の武器が高度になっている原因が判明!とある武器商人による仕業!』


 そこには俺の顔がバッチリ載っていた。背景には俺の店の内装が写っている。


「誰が撮ったんだこの写真……」


「噂によれば、フードをかぶった奴が新聞社に駆け込んでいったとか……」


 まさか、昨日の怪しいフードのやつか……。


「社長!もっとヤバいのは次のページです!」


 マリーはそう言いながらペラリとページをめくり、見出しを指さした。


『例の武器商人を指名手配!世界中の勇者に討伐指令!』


「………これマジ?」


「マジです」


「………」


「やっぱり、この仕事から手を引きますか……?」


 マリーが心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。確かに、普通の武器商人ならここで手を引いて余生をビクビクしながら過ごすのだろう。だが、俺の気持ちは最高に高ぶっていた。


 なぜかって?そりゃあ、本来世界最強の勇者にもなれるほどのチート能力を持っているからさ!


「いいや、俺は逃げない。逆に迎え撃ってやるさ!これから製造する武器全てを魔王をはじめとるするモンスター、山賊や海賊たちに提供して、世界中の勇者を返り討ちにしてやる!ただし、あくまでも俺達は影から戦うんだ。俺達は武器商人だからな」


「さっすが社長ー!」

 

 マリーは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。


 おそらく勇者たちは自分の手柄欲しさに、同時には攻めてこないだろう。まずは各方面のモンスターの長や山賊にこのことを説明して協力してもらうしか無い。だが、モンスターに関しては何とかなるだろう。なんたって、このあと魔王との会食だからな。


「マリーいくぞ!まずは魔王の城だ!」


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