第25話 虐め

床屋に行ってこい、少しでも髪の毛が伸びると父に床屋に行かされた。床屋は母屋から三軒先に在り、幼稚園児の頃から妹と二人でお金を持たされ通わされた。当時、もんちっちという猿の人形が流行っていたが、それぐらい髪の毛を短く切らされた。七五三に着物を着せる為、母が、髪の毛を伸ばさないと結えない、と父と言い争って居たのを覚えている。幼稚園のクラスメイトの女子は、皆長い髪の毛をしていて、可愛らしい髪飾りも付けていたのを私は羨ましく思っていた。小学校に上がると、高学年の男子からも、お前男かよ、と言われ、もんちっちみたいな髪型が大嫌いだった。

そして常に髪の毛を切れ切れ言う父も、大嫌いだった。

週刊少女〇〇とか月間少女〇〇とかに出てくる漫画の主人公も皆ロングヘアーだし、テレビの歌番組に出てくるアイドルもロングヘアーだったし、何よりロングヘアーは色々アレンジ出来るし、ダントツ可愛い。

私は祖母や母譲りの栗毛の猫っ毛だったので、髪の毛が伸びると縦ロールになった。

高校生になった時に少し伸びた髪を整えてわくわくしながら登校していたら、学年指導の教師に、パーマかけてるだろ!パーマかけてんじゃねぇよ!切ってこい!と、怒鳴られ、翌日、また、髪の毛を短く切らされた。その時私に怒鳴った教師は、数年後、教え子とイケナイ関係になり、学園をクビになる。私は心の底から、ざまぁみろ!と思った。

小学六年生の頃に仲が良かった子と、近所の文房具店の2階にある同じ学習塾へ通っていたのだが、中学校に行っても同じ塾だよね?と聞いたら、うん、と答えたので母にも同じ塾で良いと伝えていたら、彼女は他の塾を受験して見事合格し、あっさりと私との友情を捨てた。そもそも塾なんて頼って無かったし、別にいいか、と思い適当に勉強していたら、逆にその塾からスカウトが来て、私は試験無しで入塾する事になった。もちろん、その塾に落ちた子達が同学年には、沢山居る訳で、その中でも色黒の男性歌手にそっくりな金持ち不細工双子女子が落ちていて、また中学校でも私は、虐められることになる。流石に今回の件は、母が原因の塾を勧めたので、祖母にも母にも虐めがバレる事になる。祖母は、人の噂は七十五日、そのうち落ち着くからね、と言っていたが、虐めや嫌がらせは卒業するまで続いた。

中学生になると新しく部活が始まるが、私はソフトテニス部の衣装が良かったが、小学校の時の恩師との微妙な約束の為、吹奏楽部に入部した。残念ながらその不細工双子も同じ部だったので、クラスだけではなく、部活でも虐めや嫌がらせは続いてしまい、音楽や部が纏まらないのはあんたのせいだ!と、生徒に気に入られたいぶりっ子な部活の担当教師が、私を呼びつけて言い放ち、私は罪の無い一人よりその他大勢を取る教師も、ただの人だと悟らざるおえなくなった。校外学習も私に来るな!とその教師が言ったので、母が朝起きて来ない娘を起こしに部屋に来て、何故起きないのか問い質し、部活の担当教師に言われたまま伝えたら、流石にそれは行き過ぎた指導との事らしく、教育委員会で問題になり、その担当教師は数年間担任を持てなかったらしい。その教師とは、同窓会で二十五年後に会うことになるが、虐めに加担した事すら覚えていなかった様で、ヘラヘラしていた。当時は体罰なんて日常茶飯事で、校外学習で椅子に座る時、後ろの誰かが私のパイプ椅子をふざけて引き、私はおもいっきり尻餅を付いて床に倒れてしまい痛くて立てなかったのだが、すぐに保健体育の女性担任教師が飛んで来て、私のお尻を分厚い底のスニーカーで蹴りあげた事もあった。私は下半身麻痺にならなくて良かったと思った。私は中学一年生から、子宮内膜症だったが、当時はそんな病名は解らなかったし、子宮内膜症なんて言葉もメジャーではなかったので、子宮内膜症になって苦しんでいたが、何より誰からも理解されなかった。小学生まで足も速かったので、本当に月経痛が酷すぎて走れないのに、わざとふざけてやっていると思われた。まったく教師なんて、本当にただの人だ。何でもかんでも私のせいにして問題を片付け様とする。そんな単細胞の教師達とバカで不細工なクラスメイトと三年間も一人で闘う訳だが、私の身体は毎月の月経での大量出血で、血液が全体の四十四%しか無くてド貧血だったし、月経痛も陣痛並だったし、気持ち悪くて三日以上食事も取れなかったし、寒かったし、完全にこちらが不利だった。小学生の頃は体力もあり、立ち向かえたのに、中学生になったら体力を奪われた。残すは頭脳のみ。奴らの行動の三手先をよみ、対処する。面倒臭い。イライラが家庭にも顕著に現れ、御正月の家族での毎年恒例初詣に、上下真っ黒のジャージを着たりした。何故か黒を身に纏う事を祖母達は毛嫌いして生きていて、私にも産まれてから一度も黒い服は着せられていなかった。のに、真っ黒の服を着た私を見た祖母は発狂した。弥生さんも発狂した。除夜の金より響いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る