第15話 アルバイト
高等学校の校則の一つはアルバイト禁止だった。御嬢様学校、地元では、そう呼ばれていた。なので、アルバイトしてお金を稼ぐ必要性は無いだろう、という先生達の感覚らしい。
それでも、私は色々な事をしてみたかったので、コンビニエンスストアでのアルバイトの面接に行ってみた。当時はコンビニエンスストアが珍しく、社長さんも誰でも良かったのか、すぐに働ける事になった。隣町だったので、父に車で送迎してもらった。防犯カメラもまだ付いていなくて、小太りで頭髪がバーコードの様なパートのおじさんは、おでんの味付けを懸念して何度も何度も味見していた。よく原付バイクをノーヘルで運転して来る二つ先輩のお姉さんは、ショウケースに入っているアイスクリームを何度か味見していた。無法地帯だった。私はコンビニエンスストアのバイトの時給が安かったから、少し時給が高い斜向かいのガソリンスタンド店でアルバイトをする事にしたら、コンビニエンスストアの社長が、辞めないでくれ!と、もう面接も受かっていたガソリンスタンド店まで、追いかけて来た。そう言われましても。。と、丁重に御断りして、待ち合い室への扉を開けた。
一~二年した頃、久しぶりに私がアルバイトをしていたあのコンビニエンスストア店の前を通ったら、お店は閉店していた。
私がアルバイトをしていた時は、とても繁盛していたのに。。
某有名ホテルの中華料理レストランでも、時給が高かったのでアルバイトをしてみた。当時はエスニック料理がブームで、中華料理レストランなのに何故かブームに乗ってとても繁盛していた。支配人さんもとても気前が良くて、九時間働いていると、九じゃ中途半端だから十時間働いた事にしてあげるよ、と、タイムカードをいつもオマケしてくれた。半月で、学費が稼げた。私が働き始めたら急に忙しくなったらしい。
どうも生まれながら思い当たる事があり、私は人混みが嫌いだから、常に空いているお店や人が居ない場所に行くのだが、私がその地に足を踏み入れると、混む。あっという間に人集りになる。本当にうんざりする。店は繁盛するから良いのだろうけど。。楽なアルバイトを探して行くのに、忙しくなる。また辞めて、暇そうなアルバイトを探すが、無駄な努力になる。の、繰り返しだった。何故か楽をさせてもらえない。繁盛するから経営者さん達は嬉しいのだろうけど。
でも、私が辞めると潰れる。
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