第13話 香水
店によく期限切れギリギリの菓子パンを買いに来ていた、イケスカナイ隣家の男。黒塗りのセンチュリーなんて乗り回して、シャネルの5番なんて振り掛けて。キモッ。
「 何だよ、飯食わしてもらってんのかよ、金払えよ、親に、ちゃんとよ。」
偉そうに隣家のイケスカナイ男が、棚卸しの為に商品を数えている私に向かって言った。期限切れの売る事が出来なくなった商品を消費しているのに、知った風な口を聞くんじゃないよ、マジむかつく、と商品を数えていたのに邪魔をされてイライラした私は、アイツを無視した。
私は大人になるまで、隣家にこんな奴が棲んで居たなんて、知りもしなかった。
クサッ。。
香水掛けすぎ。色黒で、無駄に横縦デカくて、髭も濃くてモジャモジャで、本当にむさ苦しい。女子校育ちの私には、半径百メートルに近寄らないで!という感じ。わざわざ帯付きの百万円札束をクソ汚いadodasのジャージのポケットから出して、何が、此で足りるかな?だよ、クソがっ。偽物だから、ジャージ!と毎日アイツは来る度に私をイラつかせて居た。
私は、毎日の様に買いに来るアイツがウザくて消えて欲しかった。
「血吐いて死んだって!」
「え?マジ??」
あら、あらあら。。死んじゃった。本当に死んじゃった。
アイツが亡くなった三日後、事務所の扉を開けたら、シャネルの5番の香りがした。
チッ、死んでからも来たのかよ、と私は思った。
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