第12話 神社
近所は、蜘蛛の巣状態に道が細くぐちゃぐちゃしていて、小さな家が密集していた。奥地に進むと、気を付けていないと見落としてしまう程の小さな小さな神社があった。子供の身長程の高さの生け垣に囲まれたその敷地には、古い小さな民家が建っていた。子供心に、神社の敷地に家があるんだぁ不思議だなぁと思っていたが、祖母に、あそこには絶対に近付いては駄目だよ、と言われて居たので、生け垣の横の道を友達とぴょんぴょん跳ねて、中を覗こうとした位で、神社には入った事が無かった。何を祀って居るのか?謎のままだが、そうとう昔に建てられて居て、何を祀ってあるのか大人達ですら解らないらしい。が、とにかく、その敷地には入ってはいけないらしい。
ん?でも、住んで居る人がいるよ?神主さんかな?
祖母に聞いてみた。
神主さんなんて昔から居ないよ、あの人達は、勝手に神社の敷地に住み着いたんだよ。
えー。。そんな事して良いのだろうか?と子供心に思っていたのだか、祟り、という言い方で、住民はその神社に住み着いた人達を腫れ物扱いしていた。
その夫婦には、子供が三人居たのだが、上二人の男の子は頭がおかしくなり、座敷牢に閉じ込めてあり、三番目の女の子は何とか嫁に出したが、離縁され赤子を連れて戻って来た。
パーンパーンパチパチ。。
冬の足音が聞こえる頃、二階の寝室で寝ていたら、スプレー缶の破裂音の様な爆発音が聞こえた。
音のする方の窓を開けたら、一面畑なので、いつもは真っ暗なはずが、明るい。畑から百メートル程先の家が、ヒュークルクルクルクルパーンたまに花火の様な音を出しながら、ボンボンボンボン燃えている。
「うぉぉぉ。。」
今度は何?
声が聞こえる方の窓を開けたら、目の前の道路に街灯に照らされた、ボロボロにキレた薄汚れたTシャツに半ズボン、靴は履いていない、達膝で両腕を上げて叫ぶ男の人が見えた。
誰?
あの神社に住み着いた人達の長男だった。
どうやら、座敷牢から飛び出したらしい。
放火して楽しかったのか?出られて楽しかったのか?テンションがマックスの様だった。
翌日、出戻りの妹を見た。
薄いピンクのフリルの沢山付いたネグリジェを身に纏い、ノースリーブから見える腕には墨で書かれた文字が沢山あり、チラチラ降る雪が坊主頭に落ちては消えても気にもせず、泥が付いて汚れた足には靴は無く、二つ鏡のカーブミラーに登り御満悦だった。
数日後、彼らの自宅も燃えた。
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