第4話 祖母
「祖母は本当の誕生日は、二週間前なの」と、教えてくれた。
どうやら、今で言う、未熟児だったらしい。昔は助からない事が多かったから、なかなか名前も付けられなかったらしい。
祖母は、三姉妹の真ん中に産まれる。曽祖父は土建屋さんだったらしい。若い衆に子守りを頼むが、遊びたい曽祖父の弟子達は、祖母を女郎屋に連れて行き、お姉さん達に子守りをさせて居たそうだ。祖母は、未熟児だったせいもあり、とても小さくか細かった。金糸銀糸や朱色の綺麗なお着物を着せられ、髪には藤の簪、真っ白い足袋を履かされ、朱色の鼻緒の草履を履いている色白の祖母は、お人形さんの様に可愛く、お姉さん達の人気者だったらしい。祖母は、病気の宝庫で、生き延びる為に、幼い頃は、ヘビを鰻だと騙されて食べさせられて居たらしい、それが解ってヘビが嫌いだったので、とてもショックだったと聞かされた。身体中にギザギザの手術の傷痕が大小沢山あった。
祖母が棲んで居た自宅から百メートル程の所は、小高い丘の様になっており、小学校が建っていた。私が通って居た頃には、創立百二十五周年だったのだが、よく祖母から、ちょうど、小学校からこの家は、お寺のお墓までの通り道なんだよ、皆、霧が出ると道に迷うから、霧が出ないと良いね、と、教わった。
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