第3話 祖父
「十一人兄弟の十一番目に産まれた。だから統一と言うんだって。」
「ふぅん。。」
そう言われても、私が産まれるだいぶ前に祖父は他界している。
自分の上に、兄弟姉妹が十人も存在している感覚って、どんななの?考えられないわ。
祖父は、とても祖母想いだったらしい。ほぼ寝たきりの祖母の為に、テレビを購入してあげたり、祖母が移動する時には、抱き抱えてあげていたらしい。婚約指輪も、祖父がオーダーメイドでお願いしたらしい。
祖父は、がたいが良く、人柄も良く、路上生活者の人達を自宅に連れて来ては、お風呂に入れて着替えもプレゼントし、ご飯も食べさせて、お小遣いも持たせる、そんな事をしょっちゅうやっていた。連れて来られてホイと丸投げされた祖母達は、御世話に大変だっただろうと思うが、更に地元のお寺さんの参道も舗装してあげたりして、世間的には徳を積んでらっしゃる方というイメージ。食肉加工や養豚場なども手広く手掛け、会社を株式会社にし、地元の議員選へ、と、思う矢先に、スキルス性胃癌であっという間に亡くなった。四十一歳だった。
母屋も家業もバカでかい車庫も、弥生さん夫婦の家も、御兄さんの新しい家も、竹藪も何もかも、みんな統一さんの遺した物だった。
そう、数々の美術品も、分厚い本も、壷も、見えるもの全部統一さんが遺した物だった。
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