第35話 試合が終わって(修正版)

 初回、母校の攻撃で奇跡の先制点を上げ、我々は大盛り上がり。その勢いでビールで乾杯をしました。

 三回までなんと無得点に抑え、もしかして……と期待したところ、帝京高校は打者の二巡目から爆発しました。四回、五回で合わせて10得点入れられ、結局、10―1で六回コールド負けでした。

 終わってみれば、完全に力負けの試合です。だけど、OGとして誇らしいよ。来年は休みが許す限り、つぐみお姉さんが応援に行くからね。

 最後の礼の時は、力一杯拍手を送りました。

 完全に高校野球に嵌まった私が感慨に耽っていると、山田くんはちょっと顔を出してくるので、後で合流しましょうと言い残して、席を立ちました。

 お昼をスタジアムグルメを堪能しようと回りましたが、結局、たこ焼きとビールと相成りました。この暑さで乙女の胃袋は、がっつり男飯は受け付けませんでした。

 山田くんと合流し、もっと涼しい場所に移動です。そして、本来の目的の短歌の時間です。



「ところで何処で歌会をするのですか。いつもの様にお酒を飲んで、騒いでいたら、普通の店なら追い出されますよ」


「う〜む、その点については同意だが、今回の店はゴン太に任せているんだ。心当たりがあるらしい」


 当のゴン太夫妻は、自家用車を取りに行っている。バンタイプで全員が乗れるとのこと。二人共お酒は一滴も飲んでいない。


「お待たせ。みんな乗って。赤坂のお店に行くよ」


 えっ、お高そうなお店ですか。私、そんなに持ち合わせが無いのですが。クレジットカードも学生の時に作った一枚だけなのに。大丈夫だろうか。


「お金のことは心配しなくても大丈夫よ。私が経営しているお店のひとつを、貸し切りにしただけだから、自由に飲んでね。マスターがカクテルも作ってくれるわよ」


 私と山田くんの頭に疑問符がついているのを見たゴン太さんが、


「ああ、小夜はお店を何軒も多角的に経営しているんだ。今回はお願いして、貸し切りでお店を開けてもらったんだよ。さあ、着いたよ。みんな先に行って、車を停めてくる」


 目的のお店は、個性的なガラスカーテンウォールのビルの最上階にありました。


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