第二章 魔力暴走、恐怖の『千雷』
門を通り抜けて街に入った。街並みはプロイセンの伝統的な建造物に見えた。街に入ったはいいが、金がないため、すぐに働きに行く必要があった。雇ってくれるところはないか店を歩き回った。飲食店や商売業などの店は受け入れてくれなかった。最後に目についたのはギルドという店だった。
中に入ると居酒屋のような雰囲気だった。奥に進み店主のような人に雇ってもらえるか聞いた。
「―もし、雇ってもらえたら何でもします… …」
俺はその場で頭を下げた。店主は言った。
「ギルド登録ですね。まずはお名前と属性をお書きください」
書いている途中に二つ思ったことがあった。
「日本の文字しか書けなくて、どう書けばよろしいでしょうか」
「その文字は解読魔法によって翻訳されます。なので母国の文字でお書きください」
最初に名前を書いた。次に雷の属性だった。
「雷の属性ってなんですか」
「雷はライジング・サンダーですね」
凄い厨二病感が半端ない名前だった。書き終えると店主が回収し、もう一枚紙を出していて名前を書かされた。
「そちらは注意事項です。討伐途中にやられてもご親族に保険は適用されない事、討伐は完了しない限り毎日一回は行ってもらいます」
なかなか鬼畜な注意書きだった。他に雇ってくれそうな店はない事で受け入れるしかなかった。サインし、ギルドに登録された。
「ギルド登録が完了しました。今からできるミッションはありますが。やっていきますか?」
「お願いします」
ミッションの内容はシェルファーのカケラを集めることだった。少し前に例の女性にシェルファーの鉱石はエルフの骨からできるものとわかった。どうやらエルフの骨が粉砕してカケラが散らばっているのを取りに行くという内容だった。俺はどこにあるか聞くと店主は答えた。
「ノールド鉱山です。地図をお渡ししますね」
地図を見ると最初にいた場所も載っていた。森や鉱山、町などの名前は載っていてもそこの草原には何も書いていなかった。そして、ノールド鉱山は北西に向かって3キロくらいで歩いて行けそうな距離だった。
ノールド鉱山の目の前まで来た。前までは怪物達ががうじゃうじゃといたが今はギルドの依頼によって少数になったらしい。高山の中に入ると、人々が掘っていた形跡が沢山あった。奥に進むと左右の分かれ道になっていた。左に行く事にした。そしたら、また分かれ道になっていた。次は右に行く事にした。そうするとまたまた、分かれ道になっていた。次も右に行く事にした。そうすると入口に戻った。一度、最後の分かれ道に戻り左に向かった。しかし、シェルファーのカケラはなかった。だが、あるものがあった。設計図だった。これを見て、シェルファーのカケラを探しに回った。
数十分が経ち奥に進むと周りはシェルファーのカケラで輝いていた。俺は手で賭け集めた。背負っていたショルダーバッグに入るだけ入れた。満帆になり、帰ろうとした瞬間、出口から、怪物が現れた。魔力は少し回復し、三回撃てるくらいだった。怪物の特徴は筋肉が上達していて三メートルくらい大きく、ツノの生えていて皮膚が赤色だった。鉄球を振り回し襲いにかかる。俺は構えた。両手に魔力を集中させ、近くに来るのを待った。そして、直前まで来た怪物は鉄球で攻撃してきた。下にしゃがみ込み、何とか凌いだ。そして今、魔力を放出させた。『千雷』と。しかも、両手でやったのだから威力は二倍のはずだ。しかし、怪物は胸が焦げただけに思えた。そして、暴れ狂った。鼓膜が破けそうな雄叫びだった。
雄叫びが収まると走って襲いにかかる。やばいと思い、俺はその場から走って逃げた。走って地図を開くが、地図が上手く見えず適当に走り出口を探した。しかし、目の前は行き止まりだった。俺は覚悟をした。来るんならきやがれと。最後に右手に全身の魔力を集中させた。その間に振り回していた鉄球が当たり、体ごと吹っ飛ばされる。背中が壁にあたり、激痛が走った。だが、ここで寝込めばやられてしまう。ここで死んでたまるかと思い、気合いで魔力を高めた。『千雷』を撃ち、頂点に立つほど激しい雷に思えた。そして、雷は怪物の体を突き破った。何とか、助かったと思った。すると奥からゾロゾロと同じ種族のような怪物が襲いにかかる。流石に魔力も残ってなく、お手上げだと思った時、その奥からギルドらしき人が怪物を襲いにかかった。
「大丈夫か!怪我はないか」
「背中を少々」
「結構血が溢れてるではないか」
その人は俺の背中に魔力を込めて撃った。
「これは、ヒールと言って、回復魔法だ。すぐに傷口が塞がるぜ。しかし、よく三玉(さんぎょく)の獣邪(じゅうじゃ)を一体打ち倒したな」
「獣邪?」
「獣邪は魔王配下の族名だ。邪悪な獣で獣邪だって言うんだとよ」
怪物達にそんな呼び方があったとは初めて知った。俺はもう一つ気になった。その時、獣邪が襲いかかって来た。俺らは何とか避けたが、体力が限界を超えていたため、座り込んでしまった。
さっきの人が俺を担いで洞窟の外に出た。俺は洞窟に残った人達が気になった。
「あの人達を置いてきてよかったんですか?」
「あぁ、大丈夫さ。五、六人いたけど、一人だけでも倒せるさ」
このギルドの人達は強いことがわかった。後もう一つ聞きたい事があった。
「三玉ってなんですか」
「獣邪のランクだよ。強さによって決まってるんだ。五玉、四玉、三玉、準二玉、二玉、一玉、一玉焦(いっきょくしょう)、山進冠(さんしんかん)とね」
三玉と言っても、あまり大した事のないように思えた。
「じゃあ、俺が家まで送るからどこの町か教えてくんねぇか?」
「家は、福岡の博多駅近くにありますが」
「聞いた事のない町だな」
「はい、別の世界から来たもんで」
「異世界転生者か。最近増えてきたもんだな」
「俺以外にいるんですか?!」
「あぁ、此間だって、あんたの二つくらい下の子がいたもんよ」
という事は中学一年くらいって訳か。どうしてこの世界にやって来たのか。または、迷い込んだのかと仮説を立て、考えた。考えているとギルドの人が声をかけて来た。
「多分仲間が倒し終わったと思うから近くの町の宿屋に泊めてやるよ。払うのオレじゃねぇから一番高ぇ場所連れてってやんよ」
恨みのあるよう微笑みだった。洞窟から出て来たギルドの人達は俺を担いで近くの街まで運んでくれた。宿屋に着くと、赤髪のギルドの人が声をあげて怒鳴っていた。
俺くらいの身長で気の弱そうなギルドの人が俺を部屋まで連れて行ってくれた。
「仲間達煩くてごめんね。いつもああだから面倒臭いのよね」
俺は名前を聞いた。
「ボクはフェア・ストール。ギルドランクはB何だけど、君があの獣邪を相手にして勝つなんて、とっても強いんだね」
「まぁ、ジークンドーをやってましたが」
フェアさんは眉を寄せた。
「とにかくすごいんだね。けど今日は体力を使い果たしてると思うからもう休みなよ」
そう言って部屋から出て行った。変わった人だなと思った。そしたら、フェアさんがドアを少し開けて言った。
「おやすみ、それじゃあ」
俺はベッドの横になり気を失った。
破壊王と魔術師 @Majuchushi
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