第17話 誰のせいでもないよね

葬儀のあとからは連絡しあうことなど無かった。


私は父が亡くなり、義母との戸籍上も他人になったことに安堵していた。

借金癖のある義母にはずいぶん苦しめられた。

父がいたからこそ、それも受け止めたが

これからは私の役目では無い。



私は日常を生きていた。


つい先日、いもうとからLINEがあった。

「話したいことがあるんだけど。」


こう言う時はロクな事がない。

どうしようか、、。

私は困りながも、無視できず。

「何かあったの?」と返信した。


「例えば、突然にお姉ちゃんのところへ行ってもいい?」

それは、どう言う意味なんだろう。

まさか、うちに転がり込む??

どうして?今更?


「どうかした?」とLINEを送り返す。


「段々と歳をとって、疲れてきた。」

確かに、いもうとは51歳になっていた。

手に職も無く、生活費を稼ぐのは簡単な事じゃないんだろう。

若い頃のように、その容姿でちやほやされる

事もないだろう。


「同じだよ。仕事は疲れるよね。

私も一日、一日終わるとほっとするよ。」

それだけしか返せなかった。


娘に話した。

お母さんは不憫だと思ってるんでしょう?

いつも、それで都合良く使われてきたんじゃない。

お母さん、もう、いいんだよ。

あの人にも子供達がいるんだし、そっちに頼ればいいんだよ。

絶対に一緒に住みたいとかは断りなさいよ。


そう言われて、ほっとした。

何とかしなきゃいけないんじゃないかって

思うと、鉛を飲み込んだように体も頭も重かった。

私、悪い事してないよね。

私のせいじゃないよね。


誰かにそうだよ、あなたのせいじゃないよと

言って欲しい時がある。




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名前はいもうと 菜の花のおしたし @kumi4920

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