贈り物

猫怪丸

贈り物

春の日差しはまばゆく、心地よい風が古い校舎の前で踊る。高校最後の日を迎えた私は、屋上にて友人と思い出に花を咲かせていた。


「美咲はやりたいこととかあるの?」


澄子が冷静な表情で尋ねた。


美咲は胸の奥から湧き上がる想いを言葉に乗せる。


「いろんな国に行ってみたいし、新しいことにもチャレンジしたいな。具体的には考えてないけど。」


美咲は苦笑いをしつつ、澄子に視線を向ける。


澄子は微笑みながら、美咲の夢を応援するように語る。


「そういうところ、美咲らしくていいんじゃない。私は応援するよ。」


「澄子は?」


美咲は興味津々に尋ねる。


澄子は微笑みながら美咲に答える。


「私も大体は美咲と一緒かな。」


彼女の言葉に、美咲は感謝と理解の気持ちがわき上がる。


「ありがとう、澄子がどんな道を選んでも、私もずっと応援してるね。」


二人は自分の夢や希望について熱く語り合った。未来への不安もあるが、この瞬間を共有できる喜びが私たちを包み込んだ。


卒業式の幕が下り、再び校庭で集まった。制服を最後に着る日。懐かしさと新しい始まりへの期待が交錯する中、私たちは青春の終わりと始まりを感じた。


「またね。」


澄子がそっと言う。


美咲と澄子は手を取り合い、笑顔と涙で溢れた。それぞれの未来への旅立ちが始まる。美咲たちは青春の日々を振り返りつつ、友情と絆を胸に明日へと歩み出す。


卒業式の後、ひとり部屋で卒業アルバムをめくっていた美咲。友人たちの笑顔が写る写真を見つめ、心の中で青春の記憶を彷徨う。


「どんなところなんだろうな。」


美咲はひとりつぶやいた。


その時、家のチャイムが鳴った。


出てみると、そこには幼馴染の悠斗が顔を覗かせる。


「明後日なんだろ?」


美咲は微笑みながら悠斗の言葉に頷く。


「うん。そうだよ。」


すると、悠斗は手に持っていた包みを差し出す。それは小さな箱だった。


「開けてみていい?」


そう聞くと、悠斗は無言でうなずく。


感激と共に美咲は小さな箱を開けると、そこには星のペンダントが輝いていた。美咲の好きなデザインの、輝く星。


「これは…?」


美咲は驚きを隠せない。


悠斗は照れながら答える。


「星はいつも照らしてくれる。だから、どんな時も忘れずに、自分の道を進んでほしい。」


美咲の胸には感謝と幸せが溢れる。このペンダントは、新しい旅のお守りとなるだろう。


その日から、美咲は悠斗の贈り物を身につけて、新しい場所へと旅立った。初めての街での生活は戸惑いもあったが、友人たちとの出会いや経験を重ねるごとに、美咲も成長していくことを実感した。


美咲の未来は輝き、星のように煌めいていた。彼女は澄子や悠斗、そして大切な友人たちとの青春の日々を胸に刻みながら、新たな旅路を歩んでいくのだった。

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