第25話 メール
高校の階段を登りながらいつも思うことがある。
正直いって男子なら共感できると思う。
実は俺は上を見ながら階段を登らない。
物理的にできないわけでは無いが
大抵の男子は見ないようにしている。
何故かというと……上を見ると
上にいる
女子のスカートの中が見えそうになるからだ。
一見幸運の様に思えるが、これは
見る気がなくても見てると勘違いされるのだ。
これが中々にキツイ。
一度覗き魔と言われると
一年間はそのあだ名である。
冤罪だと言っても誰も聞いてくれない。
理不尽だと思う。
そんな訳で俺は階段で上を見ない。
「うーんと…キャッ!」
「…?えっ。」
声がして上を向くと目の前に何か箱?のような
ものがある。俺は避けきれなかった。
「あっ」
俺は箱が顔にぶつかった。
一瞬に感じる長い時間の間、空中にいた。
「白…」
そう言って俺は階段から落ちたらしい。
最近よく痛い目にあう。厄月かもしれない。
「だっ大丈夫ですか!?」
誰かの声がする。とても頭が痛い。
だが、どうやら血は出ていない。
おそらく頭をぶつけただけだろう。
階段のぼり初めて良かった。
もっと上でだったと思うと恐怖を感じる。
そして、さっきの声の人が
隣にいることに気付く。
リボンの色から同学年の女子。
髪は長めの幼馴染に少し似ている気がする。
「あ、ごめんなさい!
この箱を運んでて、階段の下が見えなくて…」
指をさしている箱を見ると
かなりでかいダンボールだった。
なるほど…これなら下は見えないな。
「あっあの…怪我は…?」
「あっあぁ…血は出てないし大丈夫だと思う」
そういうが、何度も謝ってくる。
流石に謝りすぎなのでなんとか止める。
幼馴染似ているが性格は違うな…
あいつなら一回軽く謝って終わりそうだ。
「多分大丈夫。
俺が上を確認してなかったのも悪いし」
「でっでも…一応保健室に…」
「大丈夫だって」
「あっありがとうございます!
でも何かお詫びはしたいですが
思いつかない…
あっ、とりあえず私の連絡先渡します!」
「えっでもお詫びなんていらないけど…」
「良いからお願いします!」
何度もそう言うので俺はその子と連絡先を
仕方なく交換した。
教室に入ると幼馴染が話しかけてきた。
「遅かったな。購買行っていただけだろ?」
「色々あってな。軽く頭ぶつけちまった」
「ふむ…階段で女子のスカートの中が
見えたとかでみとれて頭ぶつけたと予想する」
ノーヒント状態でよくここまで読めるな…
流石というか怖いというか…
「うーん当たらずも遠からずが答えかな。
階段上からダンボールが
落ちてきたんだよ」
「あららそれは可哀想に」
明らかに質素な反応の解答だ。
「興味なさそうな反応だな」
「実際ないからな。
お前のことだからそれぐらいなら
大丈夫だろ。知らんけど」
「まあそうだな。
このまえなんか殴られて脳震盪だもんな」
「いやー
まさか脳震盪起こすとは思わなかったな。
あれは少し面白かった」
幼馴染はクスクスと笑っている。
「お前少しは俺を心配してくれよ?全く…」
話していると携帯がなる。
メールだ。
「あ、悪い。メール来たわ」
「おっ?女か?彼女か?」
幼馴染は楽しそうにワクワクしながら言う。
「俺にそんなのいるわけないだろ?
分かってていうなよ」
「分かってるから面白いんだ」
幼馴染の話を耳で聞きながら
メールを確認する。
差出人はさっきの女子。
「あーさっきの件のメールだったわ」
「なら良いや。つまらん」
幼馴染は興味を失ったらしく、
どこかへ行ってしまった。
メールを改めて確認する。
……うん。見るからに謝罪文だ。
長々と謝罪の言葉が連なっている。
あまりに長く、途中で読むのを諦めた。
よく同じ言葉が重複せずにここまでかけるものだ。
文才があるに違いない。
俺は適当に返事の文章を送る。
内容は謝罪の必要はない事を簡潔に伝えた。
送信してすぐに返事が来る。
内容はこちらの要求通り謝罪の文は
無かった。
安心していたが
だが最後の言葉が気になる。
"度々、暇な時にメールしても良いですか?"
…罪悪感でとかだったら正直しない方が
相手の為だ。だが、メールぐらいは良いか。
了承のメールを送る。
そして一週間後、
メールで話す習慣が出来た。
高校で人気者の幼馴染は何故か俺にだけ当たりが強い 皇帝ペンギン @tukepenguin
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