第14話

モンスターの軍勢から町を守って数日。


朝から冒険者ギルドに行ったノノンとミヤは、ギルマスであるエドワードに呼ばれて応接室に通されていた。


「ノノン様、ミヤ様。実はお二人のお話を聞いた国王様から招待状が届いています」


エドワードは一通の豪華な封筒を差し出した。ノノンとミヤは顔を見合わせ、驚きの表情を浮かべる。


「国王様からの招待状...」


ノノンが封を切り、中の手紙を取り出すと、丁寧に書かれた文字が目に飛び込んできた。


「拝啓、ノノン様。貴殿らの勇敢な行いに深く感謝し、是非とも王都にてその功績を称えたいと存じます。つきましては、直ちに王都にお越しいただきたく、心よりお待ち申し上げております」


ミヤは興奮気味に手を握りしめた。


「ノノン様、これってすごいことですよ! 国王様から直々に招待されるなんて!」


「そ、そうなの?」


「はい! 王都はとても素晴らしい場所らしいですよ。美しい建物や大きな広場、たくさんの人々が集まる市場もあるそうです」


「へぇ~、そうなんだ。王都に行ってみようかな」


その様子を見て、エドワードが微笑んだ。


「ミヤ様の言う通りすごくいい所ですよ。さて、王都へは用意された馬車に乗って行くことができますが、いかがなさいますか?」


「あ、いえ。私はこの世界を見て回りたいので、自分で王都に向かいます!!」


「かしこまりました。この招待状は決してなくさないようにお願いしますね」


「はい!」


ノノンは元気よく返事をし、アイテムボックスに招待状を仕舞うと、ミヤと共に冒険者ギルドを後にした。


2人が旅立つためにギランティアの門に向かうと、既に国王様に招待された噂が回っていたのか、ノノンに救われた多くの冒険者達がノノン達の見送りに来ていた。


「ノノン様、本当にありがとうございました!」


「王都でのご活躍を期待しています!」


「気をつけて行ってください!」


ノノンは少し照れながらも、皆に手を振り返した。


見送りの声援を背に、広大な草原をノノンとミヤは進んだ。





暫く歩いていると、宇宙が見えそうなほど晴れた青い空を飛ぶ鳥を見て、ミヤがふと呟いた。


「あんな風に青空を飛べたら気持ち良さそうですね」


その言葉を聞いて、ノノンに電流が走る。


(そういえば、サポートキャラって呼び出せるのかな?)


SWOスターワールドオンラインにはプレイヤーが呼び出せるサポートキャラがいる。


ゲームでは一瞬出てきて魔法を一つ打って帰っていくのだが、この世界でも召喚できるのかとノノンは考えた。


「ミヤちゃん、もしかしたらあの鳥みたいに空を飛べるかも」


「え?」


「アリエル、来て!」


その瞬間、光が集まり、一人の美しい人型の女性が現れた。彼女は輝く金色の髪に大きな白い羽を持っていた。


(ほ、本当に召喚できちゃった!!)


彼女はノノンを見て微笑むと、突然両腕をガっと広げた。


「ノノン様〜!!」


「ちょっ、え!?」


アリエルは勢いよくノノンに抱きつき、ノノンは驚いてバランスを崩しそうになった。


「アリエル、落ち着いて!」


ノノンは困惑しながらもアリエルをなだめた。


暫くしてアリエルは離れると、ノノンに向かって美しい笑顔を見せた。


「申し訳ありませんノノン様。久しぶりにお会いできて、嬉しさのあまり...」


ミヤは少し引き気味にその様子を見ていたが、ふとアリエルの翼に目を向けた。


「ノノン様、この方は空を飛べるのですか?」


ノノンは笑顔で頷いた。


「そうだよ。アリエルは空中戦が得意なの! アリエル、私達を空に連れて行ってくれる?」


アリエルはミヤを見て、一瞬だけ険しい表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。


「もちろんです! しかし、ノノン様。このヒューマンとは一体どういったご関係なのでしょうか?」


「ミヤちゃんはね、私の大切な友達だよ」


「ちゃん付け...」


アリエルはその言葉を聞いて一瞬表情を硬くしたが、すぐに満面の笑みを浮かべた。


「そうですか。長い事お1人で旅をされていたノノン様が、ついにパーティーを組まれたのですね。そ、それにしてもまだ"友達"ですか...セーフですね」


(マズイです!! このままでは私達の、いや、私の大切なノノン様がどこのユニコーンの骨かも分からない小娘に取られてしまいますッ!!)


「何の話?」


(し、しかし、今は空を飛びたいというノノン様の願いが最優先ですね)


「いえ。何でもございません。それではノノン様、ミヤ様、私の手を取ってください」


ミヤはころころと変るアリエルの表情に少し戸惑いながらも、差し出された手を取った。


ノノンもアリエルの反対の手を取り、頷いて合図をする。


すると、彼女は純白の綺麗な羽を大きく広げた。


その瞬間、3人の体は宙に浮き、どんどん青空へと昇って行く。


「わぁ〜、すごいです!!」


ミヤはその小さくなっていく岩や木を見て目を輝かせた。


「じゃあ、このまま近くの町まで飛んでいっちゃおうよ! アリエル、いい?」


「もちろんですノノン様! このアリエルにお任せ下さい!!」


こうして3人は新たな町へと風のように飛んで行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

お助け女神様!VRMMOの自キャラに転生したので、困っている人がいたらどんどんお助けします!! イチゴオレ @Ore_Ichigo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ