第13話
「少し、お話を伺いたいのですが?」
「ひぃぃっ! くるな化け物ぉぉ!!」
そこには腰を抜かし、鼻水を垂らしながら涙目になる、紺色のローブにフードを被った男がいた。
男は震える手で何かを握りしめている。
「もしかして、あなたがモンスターを操っていたのではないですか?」
ノノンが静かに問いかけると、男は怯えながらも口を開いた。
「くっ、くるな!」
その時、ミヤとガゼル達が突然走り出したノノンを追いかけてやってきた。
「ノノン様いきなりどうしたんですか!? ってどうしたんですかその人!?」
男は怯えた表情を浮かべていた。しかし、その瞳には狂気が宿っている。
「そうだ、私がモンスターたちを操ったんだ! この七宝具の一つ、『支配者のオーブ』を使ってな!」
男は黒いオーブを取り出し、高らかに掲げた。
「なっ!? モンスターを操ってただと!?」
レイラが驚きの声を上げる。
「しかし、お前たちにはこれを渡すわけにはいかない...どの道、私はもうお終いだ...」
そう言うと、男はオーブを地面に叩きつけた。
そして、懐からナイフを取り出し、それを自分の首に突き刺し自害した。
突然の出来事に一同は驚き、その場に静寂が訪れる。
「これが、伝説の七宝具...?」
ガゼルがオーブを拾い上げ、その威力を感じ取る。
「こんなものが本当に存在するなんて...」
エレスも驚きの表情でオーブを見つめた。
「あの、伝説の七宝具ってなんですか?」
ミヤがガゼル達に疑問を投げかけた。
「七宝具ってのは、伝説や神話に登場するほどの力を持つ魔道具だ。その力は常識を超越していると言われてんだ」
エレスがさらに補足する。
「例えば、この『支配者のオーブ』のように、モンスターを完全に操るものや、不老不死になる腕輪、一つだけ願いを叶えるペンダントとか。それが七種類あると言われているんだ。どれも道具が認めた者しか効果を発揮しないらしい伝説の存在だけどね...」
(一つだけなんでも願いが叶うペンダント...)
ミヤは胸元をぎゅっと握る。
彼女は心の中で、かつて自分が願ったことが何であったかを思い返していた。このペンダントがもし伝説の七宝具の一つであったなら、ノノンがここに現れたのは偶然ではないのかもしれない。
(ノノン様が現れたのは、このペンダントの力だったのかもしれない...)
◎
次の日
朝日が昇り、町は昨日の戦いの勝利を祝うお祭り騒ぎに包まれていた。
町中には色とりどりの旗が飾られ、音楽と歓声が響き渡っている。
「すごい...お祭りみたい!」
ノノンが仮面の下で目を輝かせながら言った。
「これもみんなノノン様のお陰ですよ!!」
ミヤは誇らしそうに言った。
「みんなのお陰だよ。もちろんミヤちゃんもね」
ノノンはミヤの頭を優しく撫でた。
ミヤは嬉しそうに目を細める。
そして、2人は冒険者ギルドへと向かった。
ギルドの前には多くの冒険者が集まり、ノノンを見つけると一斉に歓声を上げた。
「英雄様のご登場だ!」「英雄様だ!」「あなたのおかげで救われました ありがとうございます!!!」「お陰で腕の傷が治っただぁ! 感謝しますだぁ!!」
ノノンは少し照れながらも、人々の役に立てたことを嬉しく思った。
ノノンがギルドの中に入ろうとすると、ガゼルが近づいてきた。
「ノノン、ミヤのレベルを測ってみたいんだが、ちょっといいか?」
「あれ? もうガキとは呼ばないんですか?」
ミヤが少し意地悪な顔をして言った。
「うっ。ほら、一緒に戦った仲間をガキだなんて呼べないだろ?」
ガゼルが照れ臭そうに頬をかく。
ノノンは微笑みながら頷いた。
「もちろんです。ミヤちゃんはいい?」
「はい、お願いします」
ギルドの中は騒がしいお祭りムードで溢れていた。冒険者たちが笑顔で乾杯し、戦いの勝利を祝っている。
「おい、エドワードさん! ミヤのレベルを測ってほしいんだ!」
「おや、ガゼル様、ノノン様。それにミヤ様。今回の件、本当に感謝いたします」
エドワードは深く頭を下げた。
「さて、ミヤ様のレベル測定ですね。セリーヌさん」
エドワードは受付窓口にいるセリーヌに目配せをする。
すると、彼女はステータスを映し出す水晶を取り出した。
「こちらです、ミヤ様」
「はい」
セリーヌが水晶球を差し出すと、ミヤは少し緊張しながらも手をかざした。
すると、水晶球が瞬時に輝き始め、ミヤのステータスを映し出した。
「これって...!」
セリーヌが驚きの声を上げると、水晶をしっかりと見つめた。
エドワードもその光景に目を見開く。
「これは...驚いたな」
名前:ミヤ Lv.18
種族:ヒューマン
職業クラス:魔法使い
特別属性:女神の付き人
「すごいねミヤちゃん! レベル9から18になってるよ!」
「ちょっと上がりすぎじゃないですか!?」
ミヤも自身の結果に驚く。
「特別属性...こんな項目初めて見ました。もしかしたら、これがミヤ様の急成長の理由かもしれません」
エドワードが感心しながら言うと、様子を見にきていた周りの冒険者たちもざわめき始めた。
この結果にガゼルは嬉しそうに言った。
「これはすげぇな、ミヤ。お前はもう立派なAランク冒険者だ!!」
「そうですね。これでも誰も文句は言わないでしょう」
エドワードが言葉を続ける。
「今回の功績を鑑みて、ギルドはノノン様をSランクに、ミヤ様をAランクに昇格させることを決定しました!!」
「え、私がいきなりSランクですか!?」
「ミヤもそんなに上がっていいんですか!?」
「「「「「うおおおおおおお!!」」」」」
しかし、ギルド内には歓声と拍手が響き渡った。
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