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君が
「ああ、これが‥‥やっと、これで‥‥」
感極まりながらも彼女は立ち上がり、ふらふらと歩き出す。塔内の研究室へと。
――森の中、朽ちた小屋の側――
数日かけて魔女は一つの宝玉を完成させた。
それを持ってきたのは樹海の片隅‥‥ぼろぼろに朽ち果てた小屋の跡。その傍らにある小さな墓標。
魔女が呪文を唱えると、墓の下から小さな石棺が土を押しのけて出て来た。その蓋が一人でに開く。
中には‥‥小さな人骨が横たわっていた。大きさからして生後間もない赤ん坊だろう。
「あれが魔女の子供さんかい」」
呟くスターアロー。
事の顛末を見届けるため、君達もこの場に同席していた。
魔女が遺骨の上に宝玉をかざし、呪文を唱える。そしてそっと手を離した。
宝玉は宙に浮いたまま、その中から光を放つ。
その時‥‥不思議な事が起こった!
宝玉から光が蔓のように幾本も降り、遺骨に絡みついた。
そこから細胞が、肉が、臓器が、皮が、次々と生み出されてゆく。再生してゆくのだ。
遺骨が一人の赤子となる。宝玉の光が薄れ、最後の輝きが注ぎ込まれる。
宝玉が消えて消滅するのと入れ違いに、赤子の肌に血色が戻った。
赤子の鳴き声が森にこだました。
魔女が手を伸ばし、しっかと赤子を抱きかかえる。
「ああ、ヘメラ‥‥私のヘメラ‥‥」
子供の泣き声に母親の嗚咽が混じった。
「まぁ、なんだ。今度の探索行も成功したって事だな」
スターアローが君に囁く。
君は当然、それに頷いた。
・君(主人公)が男なら――
https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093076787822938
・君(主人公)が女なら――
https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093076787911386
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