第48話 歴史
全然知らない人だった件について。
どうしようか、この変な状況。話しかけてきた相手に目を瞑っている俺。
………とりあえず目を開けようかな。
「ふぅ、やっと目を開けてくれた。てっきりその状態で無視され続けられるのかと思ったよ」
目を開けると美少女がいた。誰だコイツ?
肩で切り揃えられた水色の髪に赤い瞳、服装的に教師であろうことが分かる。全く記憶にない。
「突然で悪いけど、ちょっとついてきてもらえるかな?」
といって相手は勝手に歩いていく。俺に選択権はないのかな?
………まぁ、ここが暗ーい裏路地とかならともかく、俺がいる場所は魔法都市エリオールの魔法学校、怪しいやつではないだろう。
俺はスタスタと水色美少女についていった。
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俺はソファでぐたぁとなっている。
少し視線を動かせば紅茶を入れ途中の水色がいた。
俺はあの水色に導かれこの本が沢山ある部屋へとやってきた。部屋は少し散らかっている程度だ。教師用の部屋とかなのかな?
カチャ
目の前に紅茶カップが置かれる。
気づいたら、いつの間にかソファに座っている水色がいた。名前が何なのか分からないんだけど。
「紅茶どうぞ。よく来てくれたね、歓迎するよ」
「そりゃどうも」
(『
魔法を使っていることを相手に気づかれないように魔力の流れを隠しながら、毒がないか調べる。………特に毒は入ってなさそ―――
「別に毒なんて入れてないよ」
っ!
まさかバレてしまったか。とはいえここで動揺したら疑っていたことがバレてしまう。ここは冷静に平静を装う。
「と、特に疑ってないさよ」
声が少し裏返ってしまったのと、口調が変になってしまったが大丈夫だろう。
……そう信じたい。
「まぁいいや、私は歴史研究者だ。歴史について調べ、研究している」
ふぅん、そういえば最初に会ったときも、『歴史に興味はあるかい』とかいってたしな。
「そしてその研究結果を私はあらゆる人に広めている。なぜだか分かるかい?」
「全くわからん」
「そうだろうと思ったよ」
回りくどいな。さっさと言えよ。
「表情にでてるよ。はぁ、仕方がないな、教えてあげよう」
はよいえ。
「それは…………人の驚く顔が面白いからだ」
趣味、わるっ。
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どさっ
テーブルの上にたくさんの書類や本が置かれる。
ガラガラガラ
黒板も俺の目の前に持ってこられる。
「さぁ、歴史の授業を始めよう」
唐突に歴史の講座が始まった。
カリカリカリ
黒板に絵が描かれる。何かの地図か? なんかメガネもかけてるし張り切ってるな。
「3000年前の出来事から話そう。君は3000年前の悲劇『邪神降臨』を知っているかい」
「知りません。先生、教えてください」
一応ノリに乗っておこう。こういうのはノリが大事なんだ。水色は長い棒を持ち描いた絵を指しながら喋る。
「そうか、ならば教えてあげよう。3000年前、ここアテール大陸より東にある世界最大の大陸シーレントに邪神が唐突に降臨した」
「へぇ」
「邪神はこの世界に降りたあと何の理由もなく、破壊の限りを尽くした」
「ほぉ」
水色が紙を見ながら語る。あれって資料なのかな? それとも台本?
「人類はもちろん抵抗したさ。あらゆる剣豪、魔導士、英雄などが邪神に挑んだ。しかし邪神は強大だった。人族、魔族、エルフ、ドワーフ、吸血鬼、魔獣、ありとあらゆる生物を別け隔てなく殺していった」
「なんか邪神ってヤバイ奴ですね」
「あぁ、そうだとも。邪神はヤバイ奴だ。当時、この世界の中で最も栄えていた大陸が邪神によって数日で滅ぼされたんだ。シーレントを滅ぼした邪神は南下し、中央大陸バハネットへと移動した」
破壊の限りを尽くした邪神が他の場所へと移動したのか。要するに……
「次の展開が読めますね」
「君が思っている通りであろう。バハネットでも邪神は破壊の限りを尽くした。だが人的被害はそこまででもなかったらしい。3000年前の大英雄アルスの先導のおかげだと言われている。そしてそれを期に邪神はこの世界から失せた」
へぇ、歴史ってすごいな。面白い。
「じゃあ、大英雄アルスは邪神を倒したってことですね」
「そうとも言われてるし、そうじゃないとも言われている。そもそも邪神は神。上位存在だ。大英雄と言えどもアルスは人間。戦って勝てる相手ではないはずだ。まぁ、証拠がないからなんとも言えないけどね」
ふぅん、そういうもんか。
「とはいえここで邪神による被害が収まるわけでもない。邪神の魔力はあらゆる生物に影響を及ぼした。代表例は……ミジンコかな」
えっ、ミジンコ?
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冒険者の果てなき旅 しろめし @neoshiromeshi
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