第47話 お手入れ


 凄まじい爆音が鳴り響く。


 さすがは魔導兵器、すごい威力だな。

 そしてエリオールの人々はこれをどうやって夏祭りに使うというのか。

 頭のネジが吹っ飛んでんのかな?





 音が鳴り止んだため、スッと顔を上げる。


「おぉ〜、えげつねぇ」


 その惨状に思わず声がもれる。

 魔導兵器が放った光の通った場所の地面は抉れ、熱波を放っていた。


 既にボルボックスの姿はどこにもない。恐らく魔導兵器により灰すら残らず消し飛ばされたのであろう。防衛戦、終了だな。

 一時はどうなるかと思ったけどなんとかなったな。



「しゃぁぁぁぁ、勝ったぁぁぁ」


「はっはっは、愚かなプランクトンが。魔法使いを甘く見すぎたな」


「うまい酒でも飲んで、ぱぁぁぁぁっとやろう!」


 なんかこの都市の連中ってすぐ調子に乗るよな。あとあと痛い目に会いそうな気がするんだが。

 気をつけてほしいものだな。




 ______________________




 ボルボックスを倒した翌日。俺は杖の手入れをしていた。


 昨日はボルボックスを討伐したあと報酬をもらい、部屋でゆったりと過ごした。なかなかにアグレッシブな日だった。



 なぜ俺が杖の手入れをしているのかというと特にすることがないからだ。


 俺は今拭いているこの杖をかなり愛用している。

 俺が倒した龍の素材にたまたま手に入れた世界樹の枝という高価な素材を使っているからだ。


 なんて素晴らしい逸品。見れば見るほどその素晴らしさがわかる。デザインも優雅さがあり、性能も申し分ない。


 他にも杖を何本も持っているが一番気に入っているいるのはこの杖だな。









 この杖を手入れし終わったら、次はミスリルの剣だ。使ったことは一度もないがときどき手入れしたくなるのである。

 ミスリルは非常に希少で高価であるため、このミスリルの剣は非常に高かったが買った。かっこ良かったからだ。

 いつか使うときが来るだろうと思って買ったものの一度も使っていない。




 あと俺は人前で絶対に武器の手入れをしないと決めている。



 数年前、俺が冒険者ギルドの酒場のすみっこで使ったこともない剣を必要以上にフキフキしていたら、知り合いの冒険者に


「お前、何ニマニマしてんだ。気持ち悪いな」


 って言われたことがある。ニマニマしている自覚がなかった俺はショックを受け、羞恥心でその冒険者を殴った。


 あれ以来俺は人前で武器の手入れをしていない。



 この剣が日の目を見るのはいつになるのだろうか。




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 武器の手入れが終わった俺は、フラフラと校内を歩いている。許可はもらってないが別にこれくらいいいだろう。


 周りにいる学生を見ると浮き足立っているように見える。妹から聞いたんだが近々体育祭があるらしい。魔法学校の体育祭はかなり盛り上がると聞いた。


 体育祭か、楽しみだな。

 学生の頃は憂鬱でしかないが、今思うと懐かしいものだ。ただ運動神経がいいやつがいい思いをするのはどうかと思う。



 俺はなんとなく近くにいた男子学生を見た。その男子学生の周りには取り巻きがいる。女子だ。楽しげに話し合っている。


 ちっ、いい思いしやがって、なんか見覚えがあるがそんなの関係ない。

 あの学生には暗黒龍の角を媒介にした呪いをかけてやろう。

 世界に公平をもたらす必要がある。


 と思いこっそり不能の呪いをかける準備をしていると



 トントン



 肩トンを数回される。


 思わぬ出来事に冷や汗が流れる。

 俺は危険を感じ、極限集中状態へと移行する。


(バカな。察知されただと!いや、そんなわけあるか。まだ実行する前だぞ。唱える前から呪力を感知するだなんて無理な話だ。いや、もともとかけるつもりなんてなかったんだ。そうフリだけだ。フリなんだ、これは。……そうだ!俺はあの決闘場で見た学生に呪いの危険性について教えようと……うん?いやそもそもこれは俺に注意するためなのか?そうじゃない可能性がある。もしかしたら妹かもしれない。いや、妹の可能性のほうが高いな。なら肩トンする理由はなんだ。復讐か。俺が昔やってた肩トン『花火ファイヤーフラワー』の報復かもしれない。そうなると俺の取るべき行動は……)


 この間、わずかコンマ2秒。極限集中状態により思考加速されたのだ。

 俺は振り向く。



「やぁ、初めまして。突然だけど君は歴史に興味はあるかな?………なんで目をつむっているんだい?」




 全然、知らない人だった。


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 読んでくださりありがとうご……6万文字大幅に超えた件について。

 無駄なことは書けませんね。これも無駄なことですね。

 


 再投稿は6月の中旬ごろからです。すみません。

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