掲示板で助けを求めた少女のもとに、偶然にも近くに転移した異星の戦闘機パイロットが!
尾道カケル=ジャン
第一話「出会い」&こんな設定で
【遭遇】誰か助けてw【A級クリーチャー】
1:名無しの能力者
町の近くならD級しかいないし余裕余裕w
とか思ってたらA級と出くわしました
助けて
2:名無しの能力者
便所に書き込んでないで組合に通報しろ
3:名無しの能力者
はい解決
4:名無しの能力者
お前らテレビ見てないのか?
組合本部が襲撃されてシッチャカメッチャカになってんぞ
5:名無しの能力者
今どきテレビとか……
6:名無しの能力者
ネットはハッカー系能力者が検閲してるし……
っぱ元気だけはあるマスゴミ系能力者が放送してるテレビよ
7:1
そのマスゴミにあおられて余裕っしょwwしたアホが自分です
どうしたらいいんでしょう?
武器は効かないし、逃げれそうにないし
8:名無しの能力者
アホだと自覚できるヤツだけが生き残る資格がある
しっかり反省できたらだが
9:1
救援依頼を出すっす!
手料理つき200万でどうっすか!?
お願いします、何でもはしませんから!
10:名無しの能力者
やっすwww
しゃあねえ、A級だけどヒマだし行ってやるか
11:名無しの能力者
混沌とした世界に英雄現る
12:名無しの能力者
あらやだイケメン
13:名無しの能力者
この兄貴になら掘られて良い
14:名無しの能力者
200万で安いはコイツうぜぇ思ったけど
A級への依頼料としたら安すぎる
15:A級能力者
あくまで趣味だからそこんとこよろしく
つーわけでどこいるのお前
16:名無しの能力者
…………
17:名無しの能力者
おーい
18:名無しの能力者
……戦艦島、です
19:名無しの能力者
( Д ) ゚ ゚
20:名無しの能力者
( ゚Д゚)
21:A級能力者
( ゚Д゚)
22:1
目があいましたね!
は、早く助けて!
なんか肌がビリビリしてきましたもうダメだぁ……
23:A級能力者
こ、ここでハイ止めたしたらA級が廃るっ
やってやろうじゃねえかこの野郎!
24:名無しの能力者
ヒュー!
25:名無しの能力者
戦艦島に行くとかまじかよ兄貴!
26:名無しの能力者
ん、ビリビリ? 電流?
本部襲撃した時と同じ反応じゃね?
27:名無しの能力者
え?
28:名無しの能力者
え
29:名無しの能力者
突然現れたから転移系の能力持ち言われてるけど
それと同じ現象?
30:1
あ、あぁ、あ……
31:名無しの能力者
どうしたイッチ!?
32:名無しの能力者
イッチしっかりしろ!
33:A級能力者
落ち着けイッチ、まずは安全の確保だ
それから何があったのか教えろ、それによって装備変えるから
34:1
A級も、B級も、他にもクリーチャーがぜんb
35:名無しの能力者
い、イッチ?
36:1
すごい
てつのりゅうが、ぜんぶ、平らげちゃいました
すごい……すごい!
すごいです、お祖父さまも鉄龍を見たら元気になるかも!
いいなぁ、わたしもあんなふうにお空を飛んでみたい!
37:名無しの能力者
わかった、わかったから!
38:名無しの能力者
とりあえずもちつけ
39:名無しの能力者
……丁寧口調、具合の悪い祖父とやら、そんで戦艦島……
40:名無しの能力者
なぁ、鉄の龍ってなんだ?
41:名無しの能力者
そうでしたそうでした、これです!
《ttp://picture……》
42:名無しの能力者
わ、なんだこれ?
43:名無しの能力者
まさしく鉄の龍だな
44:名無しの能力者
なんかすんげー気色悪い塗装だな
45:名無しの能力者
お前そこ動くな隠れてろいいなすぐ行くから!
46:名無しの能力者
塗装というか、体液?
あれ、本部を襲撃したクリーチャーの血もあんな色d
《No Signal…》
《No Signal……》
《No Signal………》
*
「掲示板、使えなくなりましたね。はぁ……」
ため息をつきながらスマホをカバンにしまう。
メンツのため、本部の失態を隠すためか、鉄龍の情報を広めないためか。
まぁ、組合がどうなろうと関係ありません。
「お祖父様に報いない組織なんて知りません……はぁ」
分かってはいます。メンツがなければ仕事ができなくなること。仕事ができないとお祖父さまも、みんなも困るってこと。
理性がバカな自分をけなして、お祖父様を敬愛するわたしが組合を……
「すごい、ですね」
グルォォォォンン……
わたしの考えなんてちっぽけだと言わんばかりの咆哮が、はるか空から振ってくる。
見上げれば、鉄の龍が空をゆうゆうと飛んでいた。
「鉄の龍。いえ、あれは人の手によって作られた機械なのでしょうね」
鼻の先につけられた風車が起こした風で空を飛ぶ。
似たような発想は今までにもありました。けれど、現状のモーター技術では到底馬力を稼げない。
だから、かつて空をおおいつくした鉄の鳥たちは、今はいないんです。
「あ、降りてくる」
その鉄龍がこちらに降りてきました。
鉄龍が量産したクリーチャーのつみれを避けつつ、昔は多くの自動車が通った、今ではヒビだらけの道路に脚を伸ばして……キュキュッて音を立てつつ着地。
「わぁ……っと」
思わず駆けつけそうになるのを、鉄龍に乗っている人に止められます。
たしかに、あの高速回転する風車に巻き込まれたら大変なことになりそうですから。
「変な塗装、いえ体液? 本部を襲ったクリーチャーに似ているという」
鉄龍のことを観察しつつ、ドキドキする胸を必死に抑え込む。
だって、鉄龍に乗っている人と対面するのが楽しみで……
鉄龍のモーター音が静かになってから、ガラスのおおいを開けて、鉄龍の乗り手さんが話しかけてきました。
「よう、アンタ。ここらへんに組合の連絡所はないか?」
「組合……その鉄龍、やっぱり能力で動いているんですね」
「ん、ん?」
「え?」
あれ、話が噛み合いませんね……
「もしかして、はるか星の向こうから来たんですか!?」
「はぁ? 嬢ちゃんなに言って……ともかく、あの弱っちいクリーチャーもどきは駆除しきったか」
弱っちい、もどき? A級相手になにを言っているんでしょう、って!
ゴーグルとヘルメットを脱いでご尊顔が……わ。
「ふぃ、暑い暑い」
バサリと、ヘルメットにしまい込まれていた茶色い髪がカーテンみたいに広がって。
ゴーグルで見えなかった金色のツリ目が、私をにらみつけてきました。
「大丈夫か、アンタ」
「……ひ」
「ひ?」
「一目惚れです!」
はぁ? と。
わたしを救ってくれた鉄龍乗りさまは、珍獣でも見るような目を向けてきたのでした。
――――
▼少女
大財閥の相談役である祖父を持つ少女。若いゆえに優しく、そして無鉄砲なため、時々暴走しては周囲の肝を冷やしている。祖父の大病を治す薬を手に入れるため、戦艦島と呼ばれる遺跡に乗り込んだ
遺跡でクリーチャーに襲われ絶体絶命なところを、謎の鉄龍とその乗り手に救われる。当然、あとでしこたま怒られました
▼鉄龍の乗り手
異星の傭兵。キザで、ニヒルな笑みがよく似合う女性……なのだが、あわれ少女に見つかってからは大財閥の一員となり、技術を伝えたり空戦したり、業務外でじゃじゃ馬な彼女に振り回されたりな日々を送ることに
▼鉄竜
プロペラ式の戦闘機。サトウキビ原料のバイオ燃料を使うエンジンに換装し、所属マークを財閥のものに変えて空を飛び、クリーチャーのことごとくを駆逐することになる
▼第57地球
地球からの移民者たちが根付いた惑星の一つ。外惑星とつながるワープゲートが使えなくなり、その際の混乱で技術や文化の多くが失伝する
石油が石炭が産出しないため内燃機関の技術ツリーが進んでおらず、代わりにモーター技術が発展している
▼クリーチャー
第57地球の原生物が変質した姿。機動兵器の大火砲が有力なものの、バッテリーと電気モーターでは馬力が足りず搭載できない。そのため仕方なく歩兵で対処している
▼能力者
組合によって管理されている、いわゆる超能力者。生身で強力な攻撃ができるため、クリーチャーへの尖兵として活躍中
鉄龍が飛ぶようになってからは職を失うんじゃないかと戦々恐々している
掲示板で助けを求めた少女のもとに、偶然にも近くに転移した異星の戦闘機パイロットが! 尾道カケル=ジャン @OKJ_SYOSETU
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