ショートショート

@yomikakiko

第1話 小説っぽいもの

私は町っぽいところを歩っていた。道っぽいところでおばさんっぽい人に交通会館っぽいとこはありませんか、と聞かれたのでそれっぽいところならありますよ、と道案内のようなことをした。


おばさんっぽい人と別れて多分二股になっているであろう道を右に行くと、商店街ぽいところが見えてきた。八百屋っぽいものがあって、そこに店主のおじさんっぽい人がいた。私に「そこのたぶん綺麗?なお嬢さんっぽい人!今日はネギが安いみたいだよ!買っていってもいいんじゃない?もちろんこれは買えという意味じゃないよ!買っても買わなくいいけど、買うという可能性にかけて話しかけているよ!」と威勢のいい感じの声かけをしてきた。

私が「このネギは鮮度がいい的な感じですか?」と聞くとおじさんっぽい人は「どうかなぁ、仕入れたところの話では、どうやらそうみたいだね。でも確定はできない!」と答えた。

私はネギを買うそぶりを見せつつ静かにフェードアウトして八百屋を離れた。


私はその次にたぶん和菓子屋?っぽい店に入った。お店の看板っぽいものは真っ白で、お饅頭っぽいものが陳列されているショーケースのようなものを見ても、普通は商品名が書かれているであろう札も真っ白で何も書かれていなかった。

私は店員っぽい女みたいな人に聞いてみた。

「あのう、すみません、このお饅頭っぽやつ?って、おいしい的な感じですか?」

「・・・・・・」

店員っぽい女みたいな人は何も言わないっぽかった。さっきの八百屋っぽいおじさんっぽい人は、すごく誠意のあるっぽい人だったなぁ、と悲しい気持ち的なものを抱きつつ、お店をあとにした。


私はまた商店街っぽい通りのようなところを進んだ感じになった。

なんか通りにはすごいゴミ?が散乱してるっぽかった。市役所に抗議でもないけどちょっと考えてみてほしいなぁ、でももちろんそうしなくてもいいよ、みたいな電話をしようかなぁ、しなくてもいいかなぁ、っていう考えが頭をほんの少し横切らないでもなかったけど、あれが本当にゴミがどうかもわからないっぽいし、私がそれを言っていいかどうかもわからなかったのでとりあえず放置的なアレでいいか、と結論が出たでもないけどそういう成り行きになった。


ああ、青空みたいだ。空が晴れている感じではあるな。私は空を見上げながら思ったが、天気予報ではたぶん晴れるんじゃないかなぁ、でももしかしたら曇りのち雨になるかも。外れたらごめんね?と言っていたので、結論づけるのはよくないな、と思って思考を中断した。


よく見ると、何か銀色っぽい未確認っぽい飛行物体っぽいものが空に浮かんでいたっぽかった。

あれはなんだろう?と思っていると、一緒に歩いていたであろうおじさんっぽい人が「果たしてあれは何であろうか?おそらく鳥ではないだろうか?しかし結論づけてあとで問題になっても困るので、限りなく鳥に近い何かだと言っておこう!」と叫んだ。

それに対して、近くにいたおばさんっぽい人が「こんなことを初対面の人に意見するのは大変失礼だと存じておりますが、あれは飛行機のような物体ではありませんでしょうか?ご気分を害されたら大変申し訳ありません」と言った。

それを見ていた青年っぽい人が「いや、あれはーーーーーーーーーーーーーーー」


『日頃仕事や家事でお疲れのところ、このような緊急速報を大変申し訳ありません。本日午後14時28分ごろ、どこかの地域にミサイルっぽいものが落ちたようですが、なんだかよくわかりません。情報が入ってき次第伝えようと思いますが、それができなくてもクレームや抗議の電話はご遠慮いただきたいとーーーーーー』

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