かつて子供だった少女と、金色の狼

尾道カケル=ジャン

「なんでみんなは戦うの?」

 少女の問いに大人たちは答えます。

「子供を守るためさ」

「わたし一人が生き残ったら、どうやって生きていけばいの?」

 大人たちは誰も答えられませんでした。



「この薬を使い何を成すので」

 金色の狼が問いかけます。

 かつて子供だった少女は答えました。

「一杯のコーヒーを守るためさ」

「自分も、お店も、店員も、街道も、商人も、役人も貴族も王も、すべてをですか?」

「全ては一つのため。その過程で多くの人が救われるのだから、良いことだろう?」

 金色の狼は、その目に狂気と熱を見ました。

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かつて子供だった少女と、金色の狼 尾道カケル=ジャン @OKJ_SYOSETU

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