前世ルーレットの罠

めいき~

櫻散(さくらちる)

これはあの世でルーレットの話、それは死んだときに強制的にあの世で引かされるルーレットである。神がいい加減なめんどくさがりの幼女になってからというもの、今まで審議を重ねて来世のガチャ要素を決めていたのだが。



「そういうの時間の無駄だから」と一言で一蹴、ケツを左手でかきながら屁をこいてごろりと横になって右手でおもちゃのダーツを投げる。


的が回転し、その的も天使達の手作り感のある的が用意されていた。



そんな中、一人の女がその様子を見て。


だったら、的に細工すればいいと思い付き。やさぐれて干からびた天使の隙をつき的をすり替えた。



「これで、あたしの来世はバラ色よ♪」


小さくガッツポーズを決め、順番に並び女の番になって的がグルグルと回りだす。



そこで、ふと女が気がつく。


「あれ?あの的私がすり替えたやつと違うような……」



矢が刺さった瞬間、的が止まって(ていへん)と書かれた所に刺さっていた。



「なっ!!」天使も残業が続き、ふらふらでそれに気がつかず。魔法陣で転送される瞬間に、女は見てしまったのだ。


女の一人後ろの別の女が、自分の的と女がすり替えたていへんの文字が無い的を。


しかも、一人後ろの女の的は9割がていへんスタートのモノだったのだ!!



「ちょっ、それは不正じゃ……」自分の事を棚にあげて言いかけるが、もう矢が的にささってしまった以上転送は始まってしまっている。



「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

しゅいんと、不正をしようとした女が消え。

後ろの、女がニヤリと笑う。



「うぉっしゃぁぁぁぁ!、これで来世は勝ち組っ!!」


※本当に叫ぶとばれるのでリアクションだけで無言。


※実はこの前世の魂が引くルーレット、前世で行いが酷かったりすると底辺スタートの比率が上がっていくシステムで。運気も底辺だから自殺したり事故ったり病気になる確率が爆上がりし毒親やブラック企業にあたる確率が急上昇して死亡するとまたここに戻ってくる欠陥システムだった。



そして……、不正しようとした女の不正シールがぺろりとめくれ。



的全部が、(ものごっつさいこうにていへん)と書かれていた。


その的をみて、すり替えた方の女の眼が点になって鼻血と血涙が止まらない。



「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!私の的は一人前の女の的よぉぉぉぉぉ!!」


幼女神はシラネと言いながら、魔法陣を起動して白いハンカチをひらひらとふっていた。


「ぐぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「天使達、そいつ現世に転送したら休憩していいよ。後とボーナス出すから」


「イエス・マム!!」


急に元気になっていそいそと転送を始める天使達、魔法陣の中で透明な壁を叩きまくる女。


しゅんと音がして、魂が来世に飛ばされて。


「ほあぁ!」との台詞を最後に消えて行った。



ここは、あの世。

来世を決めるルーレットの間で、今日も魂達の叫びがこだまする。


アナタの前世もひょっとしたら、ルーレットで決められていて。

罠にはめられたかもしれない、ただの運かもしれない。


櫻が儚く散る様に、前世も来世もそれを決める希望は儚く散る。

前世ルーレットの罠これにて終幕!





(おしまい)

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