第四章 戀歌楼の案内人
一、約束
それは、この
異形という名の、不完全な魔導人形の
この国に昔から存在していたが、ずっとその存在を隠されていた魔導士。帝都の中枢で政府に助言をしたり、新たな技術を授けたりしていた彼は、何百年も生き永らえてきた自身の死期が近いことを知り、その知識を引き継ぐ魔導技師を育てた。
彼らはマナを制御する魔導具の開発に成功し、枯渇する資源の代わりとなる新たなエネルギーを生み出す。すべてを彼らに託し、
この
「彼らのデータが、今度はあなたの存在を完璧なものにする」
薄暗い地下室の地面を等間隔に置かれた青白い光が照らしている。通路に沿ってずらりと並べられた水槽のような筒状の培養液の中で、無数の管に繋がれた者たち。その一番奥にあるひと際大きな水槽の中で。ずっと眠り続けている。
器。いずれ、あのひととなるはずの、入れ物。
「人間はいくらでもいる。導かれるようにここにやってくる」
この娼館は、異形を愛でる者たちによって永遠に在り続ける。
あなたという存在の、礎となるために。
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