四、うたう



 君のためにだけにうたう。

 俺の大切な、愛おしいつがい

 俺だけを愛してくれる君の気を引きたくて。


 今日も、うたう。


 本当は、君以上に君が好きでたまらない。

 ぜんぶ、知ってる。

 俺を身請けした客たちに、君がしていること。


 ぜんぶ、知っていて知らないふりをする。


 君は頭がいいから、ひとの欲望が何たるかを知っているから、ひとは簡単に騙されてしまうんだ。


 知っていて、俺も促す。

 そうやって何度でも、君のところへ還る。


 穢れた翼は、君のためにある。

 このうたは、君のためだけにうたう。


「あいしてる」


 君にだけ"うたう"、たった五文字の愛の言葉うた




□■ 第二章 金糸雀のうた ~了~ ■□


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