三、番
烏は一度決めた
「烏といっしょが、一番好き」
言って、烏の膝の上にいる
癖のように、噓つきな彼はそうやって笑う。
肩にかかるくらいの長さの不揃いな白髪から覗く
本能という機能が烏にはあり、女主人である
客に抱かれたその身体を抱くのに抵抗はない。
これは俺のものだ、と口にすることはない。じっくりと嫉妬の鍋で煮詰められた果実は、どこまでも甘くてまるで毒のようだ。毒を喰らう喜び。これは、自分だけが味わうことができる、唯一のもの。
身請けされてはすぐに出戻って来る
「俺のこと、放さないでね?」
透き通るような白い肌。
そこに残るたくさんの痕。
他人が彼に付けた痕。
白い翼と瑠璃色の翼が交わって、その身も繋がったまま、呪いのように口ずさむうた。
知っている。
ぜんぶ、彼の思い通りなのだということを。
「俺は、君のものなんだから」
俺のもの。
俺だけのもの。
誰にも渡さない。
「あいしてる」
君が紡ぐその"うた"は、俺だけのもの。
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