四、あなたにすくわれる



 あのひとのあかいゆびさきにくちづけをした。

 ぼくのはじめてを、あなたにあげたよ。

 

 あなたはぼくのおねがいをかなえてくれたけど、ぼくはあなたのおねがいをかなえてはあげられないんだ。


 ごめんね。

 だって、ぼくにはなまえなんてないもの。


 ごめんね。


 あなたにすくわれることを、ぼくはこころのどこかでのぞんでいたんだ。


 またいつか、あなたにあえたらいいな。なまえもしらないあなた。すぐにわすれてしまうけど、そのときはごめんね。


 あいたくなったら、いつでもあいにきて。



 ぼくはずっと、ここにいるからさ。




□■ 第一章 金魚すくい ~了~ ■□



※つづきは12/7からとなります


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